オランダのマクシマ王妃、パリを訪問!

Culture 2023.12.06

オランダのマクシマ王妃は2023年11月29日、オランダ人アーティスト、ヴィヴィアン・サッセン展を見学するため、パリのマレ地区にあるヨーロッパ写真美術館を訪れた。フランスの「マダムフィガロ」誌の記者による同行取材リポート。

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オランダのマクシマ王妃は、パリで開催中のヴィヴィアン・サッセン展を訪れた。(パリ、2023年11月29日)photography: Abaca

11月の肌寒い朝、急ぎ足で通り過ぎようとしていた人々がいぶかしげに足を止めたのは、カメラマンや記者たちがヨーロッパ写真美術館(MEP)の前で群がっていたからだ。ロープも張られている。何事だろうと美術館に目をやると、オランダのマクシマ王妃が美術館の門をくぐるところだった。自撮り棒やプロ用カメラ、脚立などの重装備を見れば、たとえ取材陣であっても王妃の写真を撮るにはひと苦労であることがわかるだろう。

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王妃の訪問

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オランダのマクシマ王妃をアーティストのヴィヴィアン・サッセン自ら案内。(パリ、2023年11月29日)photography: Abaca

歩数まで計算された見学が始まった。取材を許された記者やカメラマンが館内に通された。ベテランカメラマンは一歩も譲らない。王妃の「クリアな」画像、つまり誰かの頭や他社のカメラが映りこまない写真を撮るには場所取りが重要だからだ。いずれにせよ、各社取材陣は互いにややギクシャクしながらも、王妃のスタッフと美術館側が綿密に準備した行程に従い、部屋から部屋へと移動した。

どの部屋でもやることは同じだ。ロープが張られた後ろで誰もが静かに王妃の登場を待つ。王妃が現れると、一斉に活気づき、控えめな押し合いへし合いが始まり、フラッシュがたかれる。体をねじ曲げたり、できるだけ腕を上に伸ばして頭越しにカメラを構えたり(この体勢を取ると体はプルプル震えるが、鮮明な写真を撮るには効果的だ)と、体を張っての写真撮影だ。

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取材陣と王妃

王妃の方は当然のことながら取材慣れしている。今日の装いはキャメルのロングコートに茶色のハイヒール。昨晩、パリ装飾美術館を公式訪問してブリジット・マクロン大統領夫人の出迎えを受けた際に着ていた、華やかなイリス・ヴァン・ヘルペンのガラドレスとは対照的なシンプルさ。見学はまず取材陣抜きで始まった。案内するのはヴィヴィアン・サッセン本人、当美術館のサイモン・ベイカー館長、今回の展覧会のキューレーターのクロチルド・モレットだ。

堂々とした女性の身体を表現したシュールレアリスティックで色彩鮮やかな作品を王妃は見て回った。しばらくしてようやく、王妃がリラックスした微笑みで取材陣の前に現れた(その時だけはみんな驚くほど規律正しかった)。ボディガードを伴っていないことに驚きながら写真を撮ろうとすると、王妃はサッとドアの向こうに姿を消してしまった。

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巨大なコラージュ

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巨大なコラージュ作品の前での王妃とアーティスト。(パリ、2023年11月29日) photography: Abaca

美術館の別な場所に移動する時間だ。ここにはヴィヴィアン・サッセンの巨大コラージュ作品が展示されている。イグアナ、ペットボトル、乳首、女性の顔などを巧みに組み合わせた大作だ。我々はここでも、写真を撮る隙間を見つけようともがいた。

ここで取材陣は二手に分かれることになり、一部のカメラマンは別な部屋へ。我々はその場に残り、ラッキーにも最前列に陣取ることができた。巨大コラージュ作品の前で王妃はアーティストから展示作品の説明を受け、アーティストが「そしてこちらは......」、さらに「あちらの作品は......」などと言うのを聞いていた。すると突然、王妃はにっこりしながら「そしてこちらはカメラマンたち」と言うと、我々取材陣をからかうような目で見た。しばらくすると王妃は姿を消し、次に巡り会ったのはアーティストの作品をビデオ上映する暗い部屋だった。ここでも我々は写真を撮るのに四苦八苦する。なんとか成功した。

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パンプス

廊下に出てプレス担当者から告げられたのは、王妃が2人のオランダ人アーティストフォトグラファー、カーライン・ジェイコブスとサラ・ファン・ライと交流することになっており、立ち会えるのは3社の記者のみとのことだった。幸い、私たちもその3社のうちに入っていた。カメラマンたちが中庭で待つ間、私たちはある部屋の隅に通された。オランダのマクシマ王妃と先述の2人のアーティストのほか、ヴィヴィアン・サッセン本人、サイモン・ベイカーMEP館長、フランソワーズ・ガイヤールMEP会長、アルノー・ヌガチャ・パリ副市長(欧州・国際関係・フランス語圏担当)、ヤン・フェルステーグ・在フランスオランダ大使がいた。

なかなか壮観な光景だ。スマホ録画するチャンスと喜んでいると王妃のスタッフが飛んできて、撮影をやめるように言われた。もちろんすぐに従った。王妃には逆らえない。王妃は出席者の話を熱心に聞いているように見えたが、王妃が片方の靴を脱いでいることに我々は突然気づいた。足が痛いのだろうか。それにしても、王妃が公衆の面前で靴を脱いでもいいものか。急に身近な存在に感じられて親近感がわいた。

その後、王妃はしばらく多分野で活躍するフォトグラファーへの関心や、アートとファッションの世界のつながりについて語り、やがて会合はお開きになった。私たちは、王妃が美術館の階段でまた写真撮影に応じるのをガラス戸越しに見ていた。撮影後、王妃はヒールを気にしながらそろそろと歩いて行った。王室であろうとなかろうと、痛い時は誰でも痛いのだ。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)

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