いま観に行きたい、おすすめの展覧会4選。

Culture 2024.01.10

ポップアートに込めた社会への強い提言。

『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』

231221-art-01.jpg

ポップなイメージが世界で愛されるキース・ヘリング。「アートはみんなのために」という信念のもと、地下鉄の駅やストリートなど日常にアートを拡散させ、社会への強いメッセージを発信した。エイズによる合併症で31歳で世を去るまで、社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズと同性愛に対する偏見と支援不足に対し、アートを通して闘い続けた。象徴的な光り輝くベイビーなどアイコニックなモチーフから、6mの大型作品まで約150点が揃う本展。活動初期のサブウェイドローイング、トレードマークのモチーフによる『イコンズ』や彫刻、ポスター、晩年の大型作品まで一堂に会する。80年代ニューヨークの喧騒さながらの劇的な展示空間で、彼の作品世界を体感する機会となる。

『キース・ヘリング展 アートをストリートへ』
会期:開催中〜2024/2/25
会場:森アーツセンターギャラリー(東京・六本木)
営)10:00〜18:30最終入場 ※金、土は19:30最終入場
会期中無休
料)一般¥2,200  ※事前予約制

⚫︎問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://kh2023-25.exhibit.jp

---fadeinpager---

憂世を忘れさせる甘美で官能的な作品世界。

『マリー・ローランサン―時代をうつす眼』

231221-art-03.jpg

20世紀前半に活躍した女性画家ローランサンは、パリのアカデミーで学び、キュビスムの画家として活動を始めた。ドイツ人男爵との結婚により第一次世界大戦中は国外へ亡命したが、離婚を決意し、パリに戻ると個展で成功を収め、亡くなるまでパリで制作した。「前衛芸術運動」「流派(イズム)」中心の近現代美術史の文脈に収まらない存在であった彼女は、時代の要請を理解して自らの方向性を模索し、パステルカラーの独自の画風を生み出し、さらに自作詩やバレエの舞台装置や衣裳デザインも手がけるなど幅広く活動した。本展ではブラックやピカソ、藤田嗣治など同時期にパリで活躍した画家たちの作品と比較しつつ、憂世を忘れさせる甘美で官能的なその作品の魅力を紹介する。

『マリー・ローランサン―時代をうつす眼』
会期:開催中〜2024/3/3 
会場:アーティゾン美術館(東京・京橋)
営)10:00 〜17:30最終入場 ※2/23以外の金曜は19:30最終入場
休)月(2/12 は開館)、2/13
料)ウェブ予約チケット ¥1,800

⚫︎問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.artizon.museum

---fadeinpager---

20世紀モダンに重ねて見直す近未来像。

『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン』

231221-art-02.jpg

1920年代、欧米では第一次世界大戦からの復興による工業化が進み、「機械時代(マシン・エイジ)」と呼ばれる華やかでダイナミックな時代を迎えた。1920年代と30年代のパリを中心に、欧米や日本における機械と人間の関係を巡る様相を紹介する本展では、工業生産品と調和する幾何学的なアールデコ様式とともに、人間の力を凌駕する機械への賛美や反発から生まれたレジェ、ブランクーシやデ・キリコ、ダリらの作品を取り上げる。また日本でも関東大震災以降、東京を中心に急速に進んだ近代化を捉えてモダンな都市像を表現した杉浦非水のポスターなどが多数出展される。さらにAIの高度な進化を目の当たりにする現代と重ね合わせて、機械と人間を巡る関係性を見直していく。

『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン』
会期:開催中〜2024/5/19 
会場:ポーラ美術館(神奈川・箱根)
営)9:00〜 16:30 最終入場 
会期中無休 
料)一般¥1,800 

⚫️問い合わせ先:
tel:0460-84-2111
www.polamuseum.or.jp

---fadeinpager---

私設美術館の建築に宿る、家族の歴史と記憶。

『梅田哲也展 wait this is my favorite part  待ってここ好きなとこなんだ』

231221-art-04.jpg

回遊型の作品を発表してきた梅田哲也による舞台公演のような個展。青山の三角形の土地に引っ越してきた家族が自宅を改装して始めた小さなスペースが起点となり、プライベートミュージアムとして開館した本施設を主役とするツアー型の展覧会となる。鑑賞者はところどころで登場するキャストに誘導されながら展示室やバックヤードを巡り、日常の風景を異化させる仕掛けに遭遇する。開館前の昭和中期から建物に刻まれた行動の痕跡を辿り、創業家の家族の記憶と鑑賞者とのタイムラインが立体的に交差する。「自分が生きてきた場所で大好きなものを知ってほしい」という彼らの根源的な動機に触れ、この美術館で自分なりの好きな場所や事物を見つけるユニークなツアーになるはずだ。

『梅田哲也展 wait this is my favorite part  待ってここ好きなとこなんだ』
会期:開催中〜2024/1/28
会場:ワタリウム美術館(東京・神宮前)
営)13:00 〜18:00 最終入場
休)月
料)一般¥ 2,800 ※事前予約制 

⚫︎問い合わせ先:
tel:03-3402-3001
www.watarium.co.jp

*「フィガロジャポン」2024年2月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

いいモノ語り
言葉の宝石箱
パリシティガイド
Business with Attitude
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories