エマ・ストーン、最新作『哀れなるものたち』を語る。

Culture 2024.01.24

オスカー受賞女優エマ・ストーンは、ヨルゴス・ランティモス監督の映画『哀れなるものたち』で見事な演技を披露した。女性の解放を描いた魅力的なストーリーだ。

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第14回ガバナーズ賞でのエマ・ストーン。(ハリウッド、2024年1月9日)photography: Getty Images

ヨルゴス・ランティモスの新作映画のヴィクトリア朝時代のヒロイン、ベラは他に類を見ないほど濃密で大胆なキャラクターである。実際、このストレートで危険な役柄を引き受ける女優はほとんどいなかっただろう。しかし、『女王陛下のお気に入り』の後、エマ・ストーンは、インディペンデント映画界をリードする存在となったギリシャ人監督のためなら、どんな挑戦もいとわない。金獅子賞を受賞し、ゴシック小説を映像化した映画『哀れなるものたち』の中で、ルイ・ヴィトンのアンバサダーでもあるアメリカのスター、エマ・ストーンは、狂気じみた博士によって蘇生された女性を演じている。彼女は成人の体で目覚めるものの、最初はうまく話せず、純真で、不器用だった。しかし、2時間の間に彼女は世界を発見し、恐怖と快楽を知り、知的・肉体的な自律を獲得していく。『ラ・ラ・ランド』の主演女優でオスカー受賞女優でもあるエマ・ストーンは、セクシャリティさえも完全に解放された、この逸脱したキャラクターで高速で人生を駆け抜ける。#MeToo運動の視点から再評価された映画『フランケンシュタインの花嫁』のような作品であり、この作品により彼女はすでにゴールデン・グローブ賞にノミネートされ(7つのノミネート)、主演女優賞と、プロデューサーとして作品賞を受賞。アカデミー賞の有力候補のひとりとなっている。

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ーーマダムフィガロ : 「ベラは社会規範にとらわれないヒロインで、自由奔放です。それがあなたにインスピレーションを与えたのですか?」

エマ・ストーン : 目覚めたとき、彼女はまるで子どものようで、何も知らない無垢な状態です。彼女は条件づけられておらず、社会が彼女に何を期待するかも知りませんし、恥も偏見も知りません。彼女は間違いを犯す権利を主張し、何よりも優先する自由への激しい欲望をもって自分の人生を築いていきます:ジェンダー、慣習、男性の視線など全て。彼女は単に耐え忍ぶキャラクターではありません。皮肉や悲惨な状況に直面しても、彼女は目をそらしません。彼女にとって、世界を変える唯一の方法は、それに向き合い、そのあらゆる側面を経験することです。

ーー女優としての役選びにおいても、同様のことを心掛けていますか?

ある意味、そうです。私は役割を選ぶ幸運に恵まれているので、女性の複雑さを反映したキャラクターを演じるよう心掛けています。それは男性と同じくらい複雑なものです。

ーー『哀れなるものたち』はフェミニズム映画ですか?

女性が権力を握る話ほどフェミニズム的なものはないと思います! ベラは生まれ変わることを選びませんが、何になるかは彼女次第です。最終的に、それは私たち全員が目指すものです。彼女は、好奇心を追求し、評価を無視することで得られるもののシンボルです。残念なことに、2024年とはいえ、女性がどうあるべきか、どうあるべきでないかという議論はまだ存在します。女性は男性と対等に扱われるべきであり、我々は自分の身体をコントロールする権利があることを再認識することはとても重要です。

ーーあなたはヨルゴス・ランティモス監督のミューズのひとりになっています。ふたりを結びつけているものは何ですか?

友情、そして何よりも感性をシェアしています。ヨルゴスは私より控えめに見えるかもしれませんが、自由を愛し、思いやりのある環境でのみ働くことを好んでいます。私たちはふたりとも真剣に仕事に取り組んでいますが、深刻に考えすぎることはありません。

ーーヌードやセックスのシーンに臨む上で、この信頼関係が必要だったのでしょうか?

それは必要でした。セットで裸になるのは繊細な気持ちになりましたが、泣いたり、足でピアノを弾いたりすることも同じくらい緊張を引き起こしました。セックスはパズルの1ピースにすぎません。肉体の快楽にふける一方で、ベラは食べ物、哲学、旅行、ダンスなどにも興味津々です。このような包括的な経験こそが、彼女が自分なりの世界観を築くきっかけとなっているのです。

ーー撮影では、インティマシー・コーディネーターと仕事をしましたね。フランスでは、インティマシー・コーディネーターは存在意義を見つけるのに苦労しています......。

私自身はその考えに(当初)反対でしたが、間違っていました。私はヨルゴスのことを十分信頼していましたが、彼にとっては譲れないものでした。エル・マカルパインは、すべての俳優のために非常に安全な環境を作り、ダンサーのように、スクリーン上でラブシーンをよりリアルにする振り付けを考えました。彼女は他の誰よりも芸術的な協力者でした。

ーー保守的なハリウッドでは、あなたほど大胆な女優はほとんどいません。従来の規範に外れた行動を取るのは難しいですか?

ヨルゴスが提案することは、ラブシーンの表現も含めて珍しいけれど、私はそれを障害とは思いませんでした。それは、他のキャラクターと同じように、そのキャラクターの一面なのです。性的な側面や身体の発見は、我々がここで完全に表現しようとしている人間の経験の一部なのです。ベラが自分の身体を受け入れているときに、なぜ目をそらす必要があるでしょうか? この側面を見せないことは、キャラクターが知らない社会構造が存在するということを意味します。それは無意味だし、女性は自分の欲望を恥じるべきだという信念を助長するだけです。

ーーあなたはこの映画をプロデュースしています。支援するプロジェクトに何を求めますか?

フランスでは、作家たちは本当に尊重されており、彼らが最終的な判断権を持っています。制作会社側の指示で映画監督が押さえつけられることは少ないでしょう。しかし、アメリカでは、多くの映画作家が芸術的独立のために戦い、自分たちのプロジェクトが手元から離れていくのを見ることがあります。私は、仲介役、進行役、さらには悪役として、彼らのビジョンを最後までやり遂げる手助けをしたかったのです。芸術を愛するがゆえに、私は悪役を引き受けます!

text: Marilyne Letertre (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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