休日に訪れたい、今月おすすめの展覧会4選。

Culture 2024.02.23

テキスタイルの多彩な可能性の開拓者。

『須藤玲子:NUNOの布づくり』

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1983年にテキスタイルデザインスタジオNUNOの設立に参加し、以来デザインディレクターとして創造性と実用性に富んだテキスタイルを生み出してきた須藤玲子。日本の伝統的な染織技術と現代の先端技術を組み合わせ、従来にない素材をテキスタイルに取り入れた。産業の持続可能性にも目を向けるなど、世界の第一線を走り続けてきた活動を紹介する本展では、日本各地の職人や工場との協働作業、素材の可能性を広げるその取り組みについて、普段は見ることのできない布づくりの舞台裏を豊富な資料やマルチメディアインスタレーションで展観。NUNOオリジナルテキスタイルを用いたこいのぼりが大空間を泳ぐインスタレーションは大きな見どころだ。

『須藤玲子:NUNOの布づくり』
会期:開催中〜5/6
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城・水戸)
営)10:00〜17:30 最終入場 
休)月、4/30(4/29、5/6は開館) 
料)一般¥900 

●問い合わせ先:
tel:029-227-8111
www.arttowermito.or.jp

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いまも問いを投げかける写真家の思考と実践。

『中平卓馬 火―氾濫』

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日本の戦後写真の転換期となった1960年代末から70年代半ば、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家・中平卓馬。その存在は森山大道や篠山紀信ら同時代の写真家を刺激し、ホンマタカシら後続世代にも多大な影響を与えてきた。初期から晩年まで劇的なエピソードによって彩られた中平のキャリアを5つの章で辿る本展は、あらためてその仕事を丁寧に再検証する。なかでも2~4章では1977年に不慮の昏倒と記憶喪失により中断した中平の仕事がどこへ向かおうとしていたのか、そこにいたるまでの70年代の展開を特に詳しく紐解いていく。今日もなお看過できない問いを投げかける中平の写真を巡り、その思考と実践の軌跡を辿る待望の展覧会となる。

『中平卓馬 火―氾濫』
会期:開催中〜4/7
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー(東京・竹橋)
営)10:00〜16:30最終入場 ※金・土は19:30最終入場
休)月(3/25は開館)
料)一般¥1,500

●問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.momat.go.jp

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古都の伝統芸術に正面から対峙する試み。

『京都市美術館開館90周年記念展 村上隆 もののけ 京都』

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現代美術の最前線で活躍する村上隆は、日本の伝統的な絵画表現とアニメや漫画、ゲームなど大衆文化を結びつけただけでなく、戦前から戦後の日本人の感性のありさまや社会の様相、さらに資本主義経済や政治、宗教をもフラットに捉える「スーパーフラット宣言」を提唱し、国際的なアートシーンに重要な影響を及ぼした。本展は、日本画を専攻した村上が初期より深く関心を寄せてきた江戸時代の絵師たちが活躍した街であり、いまなお芸能と芸術が交わり合う古都を舞台に、大多数が新作となる約170点で構成。全⻑12mにおよぶ現代の「洛中洛外図」のほか、京都の伝統文化や京都を主題とする文学作品などから着想して描きおろされた数々の作品が初公開される。

『京都市美術館開館90周年記念展 村上隆 もののけ 京都』
会場:開催中〜9/1 
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都・東山)
営)10:00 〜17:30 最終入場
休)月(4/29、5/6、7/15、8/12は開館)
料)一般¥2,200

●問い合わせ先:
tel:075-771-4334
https://kyotocity-kyocera.museum

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近未来の世界状況に真摯に向き合う作品群。

『遠距離現在 Universal / Remote 』

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全世界(Pan)の規模と非対面の遠隔(Remote)というふたつの視点から、グローバル資本主義やデジタル化社会といった現代美術が従来扱ってきたテーマを新たに捉えなおす本展。網の目のように世界に張り巡らされた通信ネットワークや監視システムの過剰さ、精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、あるいは孤独死の問題が示す現代人の孤立などに焦点を当てた作品群は、いまの時代とこれからのポストコロナ時代の世界に真摯に向き合うものばかりだ。ソーシャルディスタンスや非対面コミュニケーションといったコロナ禍社会の条件や、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況を踏まえて名付けられた近未来SFのような展覧会タイトルにぞくっとさせられる。

『遠距離現在 Universal / Remote 』
会期:3/6〜6/3 
会場:国立新美術館(東京・六本木)
営)10:00〜17:30最終入場 ※金・土は19:30最終入場
休)火(4/30は開館) 
料)一般¥1,500

●問い合わせ先:
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.nact.jp

*「フィガロジャポン」2024年4月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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