アヌーシュカ・ドロン、家族を引き裂いた事件を振り返る。
Culture 2024.02.29
音声録音、"暴力シーン"、息子の病気......。女優アヌーシュカ・ドロンが2月28日、仏ラジオ局「フランス・インター」の取材に応じ、一族を揺るがすスキャンダルについて語った。
第72回カンヌ国際映画祭(2019年5月19日)に出席したアラン・ドロンとアヌーシュカ・ドロン。photography: Abaca
「ジョ二ー・アリディ一家よりひどい」と彼女は言った。アヌーシュカ・ドロンが2月28日、仏ラジオ局「フランス・インター」の取材に応じ、家族を分裂させている事件について語った。2023年11月、アントニー・ドロンは妹アヌーシュカを告訴した。2023年11月にアントニー・ドロンは妹に対して申し立てを提出し、彼女が父の認知機能検査結果が悪かったことを兄弟たちに隠していたと非難した。一方、妹アヌーシュカはそのことを知らなかったと主張している。1か月後、弟アラン=ファビアンも同様に訴訟を提起し、30歳のアヌーシュカが「悪質な手段を使って彼と兄を脅迫している」と主張した。1月初旬、アラン・ドロンとアヌーシュカ・ドロンは反撃に出た。アントニーに対して中傷、誹謗中傷、脅迫、嫌がらせの訴訟を起こしたのだ。
「エゴだらけでまるでナイフで切りつけられるようで苦しい」と、アヌーシュカ・ドロンは水曜日の朝、「フランス・インター」で述べた。レア・サラメにインタビューを受けた30代の彼女は、その状況をまるで地獄だと打ち明けた。彼女は、「家族間で問題解決するべきで、全世界に公開されることは望まない」と語った。
「自分たちの個人的な問題について大げさに話しているだけで、言っていることは富裕層に特有の問題でしかない。無神経だと思う」と彼女は嘆いた。なぜ公の場で発言することにしたのかと尋ねられた彼女は、「ある時点で、私は自分自身のためにここに来て発言せざるを得なくなった」と強調した。
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パパのお気に入りの娘
そして若きアヌーシュカはこう続けた。 「彼らは私を金持ちのお嬢さん、パパのお気に入りの娘、そして、お金に執着し、税金逃れをし、父親の面倒を見ず、父親を愛していない人間に仕立て上げようとしている。彼らは、私が父に対して抱いている誠実な愛に幻想をかぶせている」。アヌーシュカ・ドロンは、こうした家族間の亀裂の発端について尋ねられ、こう答えた:「どうしてこんなことになったのでしょう? 長年にわたり表面化していなかった問題だと思う。残念ながら、私たちを団結させることができなかったのは父親だった。物事が卵の中で腐っている(つまり、早い段階で対処すべきだったということ)という表現があるけれど、私たちはそれに当てはまる状況にあると思う。」
雑誌「ELLE」の最近のインタビューで、アヌーシュカ・ドロンが幼少期に目撃した父と兄弟の "暴力シーン"について語った。「彼らのことだから私が詳細を語るべきではない。でも実際、家族内に言葉の暴力、身体の暴力など暴力があった。当時子どもだった私は、いつも邪魔しようとしていた」と彼女は「フランス・インター」のインタビューで明確に述べた。アヌーシュカ・ドロンは、自身が育った環境に罪悪感を感じていたことを嘆いた。「(父は)なぜ娘をそんなに愛しているのに、息子たちとの関係がこんなにも良くないのか? 私は長い間その罪悪感を抱いてきた。でも、ある時点で、それを修復するのは私の役割ではないと悟った」と彼女は断言した。
録音された不和
弟のアラン=ファビアンが、アヌーシュカの知らないところで録音した音声をSNSに投稿したことについて、彼女は人生の終わりを考えたと告白した。『パリ・マッチ』が発売されてから4日が経ち、私は最悪の状態だった。夜のニュース番組「Journal de 20 heures」で言ったことは本当よ。そう、10秒間、窓から飛び降りたくなるような絶望を感じたわ」と彼女は語った。
「私の耳に入ってきたのは、兄、あるいは兄と呼ぶべきかわからないけれど、アントニー・ドロンが『そんなのはただの言葉に過ぎない』と言ったこと。私はアントニーに対し、ただの言葉に過ぎないという理由で行動に移す前に、言葉のせいで深刻な状況に苦しむ人や家族がいることを理解してほしい。一方で、私の言葉を真剣に受け止めてくれた他の家族、友人、そしてサポートしてくれた人々に囲まれて、私はとても幸せだと思う」とも述べた。
アヌーシュカによると、彼女が父に絶望を語っていたときに録音されたものだという。「33歳のとき、私の人生で初めて父は私を認識できなくなった。(そのショックで)私は私で自分が誰か分からないような気持ちに陥った」とキッチンでの出来事を語った。
「数週間にわたり、私たちは家族内で議論をしていた。兄たちが父に後見人を置こうとしていることを知ったから」と30代の女性はさらに述べた。「父にそのことを説明すると、数ヶ月前から計画されていたことがわかった。そして父だけでなく、私にも危機が迫っていた。音声録音のせいで私は深刻な状況に陥った。」
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スイスでの治療
アラン・ドロンの娘はまた、将来の遺産相続に絡む税制上の理由から父をスイスに連れて行った、と主張する兄アントニーの非難にも反論した。「最期を迎えるためにスイスに連れて行ったわけではない。アントニーが暴力的な言葉を使うので、私も言い返した。父を治療するためだった」。
「父はスイスに治療を受けに行った。でも父が治療を受けないことを選択して、私も彼の決断を尊重した。とはいえ、介助を必要とせず、治療を見送るまでの間、私は自分ひとりで戦い、奮闘していた。私としては、彼をスイスに呼び寄せ、彼の重篤な病気を診る腫瘍学の専門医や他の専門医に診てもらうことを常に望んでいたから。」
アヌーシュカ・ドロンは母ロザリー・ファン・ブリーメンとの傷ついた関係についてこう語った。「母は、私が限りなく愛情を注ぐ女性、でも多分私よりも息子との関係性が強いし、私もそのことをわかっている。母をすごく愛しているし、母にもっと私を見てほしい。」
ふたつの心配ごと
インタビューの中で、アヌーシュカ・ドロンは父親の健康状態と、腎臓病を患っている4歳の息子リノの健康状態について、心配ごとがふたつあることを語った。「息子は長期間、病気を患っているけれど、息子にも人生の楽しみを感じさせてあげたい。父の家にいるときは息子のことが心配だし、息子といるときは父のことが心配。9月から私生活が地獄のよう」と彼女は語った。
現在の心境について、アヌーシュカ・ドロンは疲労感を口にする。「この2ヶ月間、私たちは関係を壊してきた。下品で、恥ずべきことで、父親に対する敬意を表することもなく、威厳もない」。兄たちに関しては、アヌーシュカ・ドロンは、もうけじめをつける準備はできていると言い、「元のように戻ることは難しい」と述べた。
text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi