仕事が私にくれたもの:ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール サンルイCEO、ジェローム・ドゥ・ラヴェルニョール。
Culture 2024.02.29
1586年創業から続く伝統を守りながら、
現代のライフスタイルに合わせて革新する。
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438年もの歴史を誇るフランスのクリスタルメーカー、サンルイ。現在はエルメス・グループの傘下として、テーブルウェアをはじめさまざまなインテリア製品を展開する。同グループに入社して30年、現在サンルイのCEOを務めるジェローム・ドゥ・ラヴェルニョールは、ふたつのメゾンに共通するDNAについてこう語る。
「扱う製品は異なりますが、両者は同じ価値観を共有しています。第一に優れた職人技術を持っているということ。第二に品質に対する妥協のなさ。第三は伝統と革新を続けているという点です」
サンルイのクリスタルはすべて手吹き職人によって作られるが、技術を習得するには約10年かかるという。こうした伝統を守りながら現代のライフスタイルに合った革新をいかに行うか。ジェロームはその戦略を担う。
「サンルイのシグネチャーは美しいカットグラスですが、インテリア製品にもその技法が使われています。何通りにもカスタマイズできるシャンデリアや充電式LEDを使ったモダンなライトなど、絶えず新しい試みを続けています」
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今回の来日は、2024年2月にオープンする麻布台ヒルズのブティックに関する打ち合わせも目的のひとつ。幅広い製品をより多くの人に体感してもらいたいという。
「展示できる商品はコレクションのごく一部ですが、これまでになく多くの照明をご紹介する予定です。お客さまの自宅を画面上で想定し、3Dでシャンデリアのサイズやデザインをプランニングすることもできます。サンルイの製品を使うことは同時に歴史に参画すること。ブティックでは、ブランドのアンバサダーになった気持ちで体感していただきたいのです」
連綿と受け継がれてきたメゾンに長年携わってきたジェロームは、世界中の人々にそのDNAを伝えるため今日も世界を駆け巡る。
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*「フィガロジャポン」2024年2月号より抜粋
text: Junko Kubodera photography: ©Saint-Louis