仕事が私にくれたもの:ライラ・ゴハール モンクレールが讃えるフードアーティスト、ライラ・ゴハール。
Culture 2024.04.17
大人になっても、子どものような想像力が
遊び心に触れることは、癒やしになる。
フランスが生んだラグジュアリーなファッションブランド、モンクレールが4月21日まで、『An Invitation To Dream(夢への招待状)』と題した没入型エキシビションを開催中。ミラノ中央駅を世界最大級のパブリックギャラリーに変身させた。
モンクレールにとって、夢を見ることはクリエイティブなパワーの原動力だ。この展覧会は、今日のカルチャーを牽引する傑出した才能の持ち主たちに、彼らのような夢を抱くよう、人々を鼓舞し、刺激を与える内容。ミラノ中央駅構内にある200以上のビルボードやスクリーンをジャックし、歌手のリナ・サワヤマやアーティストのダニエル・アーシャムなど、クリエイティブな先駆者たちのポートレートや印象的な言葉を展示。
その未来を切り開くクリエイターのひとり、フードアーティストでコラムニストのライラ・ゴハールに話を聞いた。エジプトで生まれた彼女は、アメリカで食べ物を保存して彫刻にするなど、食品を創作の媒介とし、国際的に活躍する稀なアーティストだ。
ミラノ中央駅をモンクレールがジャック。
「私はいつも食べ物に興味がありました。でもミシュラン星付きのレストランで働いて、最終的に店を持つという考えはなく、料理を一種の芸術として捉えていました。仕事はギャラリーや美術館など、少し緊張感のある空間で行われることが多いですね。会場に入ると最初は落ち着かなくても、緊張がほぐれて打ち解けるプロセスが私にとって重要です。料理をきっかけに、ある種のエネルギーが生まれたり、それが崩壊したりする。私の作品は、少しシュールで風変わりな物になりがちですが、それが本物かどうかも分からない。私が作ったパンやケーキのようなイスを見ると、人々はまるで子どもの頃のような不思議な感覚になるそう。でも、それこそが本当に意味のあることなのです。大人になると人は現実的になり、驚きの感覚を失います。再び想像力や遊び心に触れることは"癒やし"なのです」
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text: Tomoko Kawakami