大分の魅力をアートで再発見!「Oita Cultural Expo! '24」の見どころ6選。

Culture 2024.04.27

「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」の開催にあわせ、大分県にてスタートした「Oita Cultural Expo! '24」。国内外で活躍するアーティストの展覧会やカルチャーイベントが県内4地域で開かれるのをはじめ、住民のガイドによるアトリエ訪問や、地域の食文化を体験するバスの旅、カルチャーツアーが行われる。大分市と別府市のカルチャーイベントを中心に、見どころをご紹介!


見どころ1. Yottaの巨大こけしバルーン『花子』が大分駅前に出現!

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過去に京都の清水寺や東本願寺などに登場し、大きく注目された『花子』が大分駅前に出現! 「ありがとう」や「楽しんで」などと話しかけてくるのも楽しい。

JR大分駅北口前広場にて「えっ、こけし?」と驚いてしまうのが、木崎公隆と山脇弘道による現代アートユニットYotta(ヨタ)の手がけた『花子』だ。和やかに笑みを浮かべた全長12メートルのこけしのバルーンが寝転んでいるが、なぜこけしなのだろうと思うかもしれない。

アーティストの山脇は温泉地の良い気を運ぶ土産品でもあるこけしが祖母の家にあったことから、それを大きくして大分の人々に良い気を届けたいと、巨大なこけしを県の中心に置くことを考えついたという。誰もがスマホのカメラを向けるほど、物凄いインパクトだ。

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見どころ2. アートの宝庫!大分の中心市街地。
〜アーケード商店街にある『金時』と『穀』。OPAM、さらにはストリートアートまで〜

大分の中心市街地へと歩いていくと、アーケード商店街のガレリア竹町ドーム広場にはYottaによるレトロな車を用いた作品、『金時』と『穀』(たなつ)がお目見え。トヨタ・センチュリーに派手な装飾を積載した『金時』は単なる改造車ではなく、石焼き芋車というから驚き。トランクの焼き釜で薪を使って、実際に芋を焼き上げることができる。

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デコトラのような焼き芋販売車『金時』。実際に焼き芋を販売している。もともとは2010年に行われた「六本木アートナイト」へ出品するために作られた。金色に染まる車体と「石やきいも」と看板に書かれた装飾が目立つ。今回の芋は大分県特産の「甘太くん」を使用。

白い『穀』は米に圧力をかけて作る「ポン菓子」の製造・販売車だ。大砲のような機械でポン菓子を作ることができ、突発的にデモンストレーションも実施される。このほかYottaは『くじらのカーニバル』や『青空カラオケ』などの作品を中心市街地各所に設置するだけでなく、府内五番街に設けたアトリエにて公開制作も行う。"鬼の存在"に着目して制作を続けるYottaは、国東半島に鬼の伝説が残ることに興味を抱き、自然がダイナミックで人々の熱量を感じる大分の地がとてもおもしろいと言う。

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Yottaの『穀』。ポン菓子は九州が発祥地とされる。なお会期中に公開制作を行うYottaは、最終日に大分から始まる新作のプレゼンテーションイベントを行う予定だ。何が飛び出すか、いまから期待したい。

大分市内にはほかにも、同市出身の建築家、磯崎新の設計したアートプラザや、建築家の坂茂が手がけ、大分ゆかりの作家の作品を中心にしたコレクション展やさまざまな企画展を行う大分県立美術館(OPAM)もある。アートや建築ファンにとって見逃せないスポットも多い。ビルのシャッターや地下道、また古いビルの合間などに設置された15のストリートアートを鑑賞しながら、大分の街をのんびり歩くのもおすすめしたい。

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大分県立美術館(OPAM)1階アトリウム。ガラス張りの開放的な空間が心地良い。手前のカフェスペースの向こうには須藤玲子の『水分峠の水車』が展示されている。

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思わず見落としてしまうような細い通路に設置されたアート作品、Ryu Ambeの『HAVE YOU EVER BEEN ON A TRIP?』(大分市中心部にある奥の細道ビル通路壁面)「おおいたストリートアートMAP」を手にしながら作品を見て回りたい。

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見どころ3. 別府で展開中。アーティスト、栗林隆によるふたつのプロジェクト。

国内外からの大勢の観光客で賑わう温泉地、別府にてカルチャーイベントを手がけるのは、現在、日本とインドネシアを往復しながら国際的に活躍するアーティストの栗林隆。JR別府駅から海へ向かって歩くこと約10分。ヨットハーバーの隣接する北浜公園では、世界中のアーティストが次世代に残したい作品を船に乗せ、アートエネルギーを届けるという「Tanker Project」が展開中。ここでは会期のはじめに映像作品の上映やトーク&ライブイベントが行われるなど、別府における「Oita Cultural Expo! '24」のひとつの拠点となっている。

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栗林隆の「Tanker Project」。写真は4月6日夜に行われたライブイベント「Play with the Earth」の様子。志津野雷とPlay with the Earth Orchestraが出演し、雨が混じる中、大勢の観客で盛り上がった。

「人々を元気に」をスローガンに、大きな釜で薬草を入れて湯を沸かし、蒸気をパイプで特定の空間に送り込む『元気炉トリップ』が、北浜公園をはじめとした市内各所にて展開している。服を脱いで、薬草の香りを感じながら熱い蒸気を全身で浴びていると、身体も心も爽やかとなり、明日への活力が湧いてくる。別府の温泉巡りのプラスαとして、ぜひ体験したい。

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体験型アート『元気炉トリップ』。体験は1回500円(特製タオルつき)。スチームサウナの体験時間は基本的に自由だが、かなり汗をかくので着替えを持参しよう。

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見どころ4. 地域の人々とともに育てる! 温泉地に現れた『植物元気炉』。

源泉数、湧出量ともに日本一を誇る別府は「別府八湯」と呼ばれるように、異なった泉質を有する8つの温泉郷から成り立っている。ここにも立ち寄りたいスポットのひとつが! あちこちから湯けむりがもうもうと立ち上がり、硫黄の匂いも感じる鉄輪(かんなわ)温泉に新たに公開されたのが、栗林隆の『植物元気炉』。ヒノキとガラスを組み合わせて作られた作品はまるで一種の植物園のよう。大分県内はもちろん、全国各地より募って集めた多種多様な常緑植物が植えられている。

栗林は「植物が成長することにより、そのエネルギーが訪れた人々に返る」と考え、地域の人々と協働して育てていこうと提案。少なくとも10年間は設置し、人と植物、人と人との交流の場にしたいと言う。『元気炉トリップ』とは違って中には入れないが、植物の成長はもちろん、時間や天候によって表情を変えていくのも見どころ。

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高さ約4メートル、幅約5.5メートルの『植物元気炉』。別府駅から車で約15分、鉄輪温泉内の大谷公園に設置されている。公園の小屋にある無料の足岩盤浴もおすすめ。

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『植物元気炉』の内部(プレスツアー時に特別に公開)。日当たりや湿った環境などを考慮しながら、ゴムやガジュマルなどの植物が植えられている。いまは温める機能はないが、今後は追加する可能性もあるとのこと。

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見どころ5. GALLERIA MIDOBARU(ガレリア御堂原)でアートな宿泊体験。

数多くある別府の温泉宿のなかでも、アートに囲まれた空間で宿泊を体験できるのが、2020年にオープンしたGALLERIA MIDOBARU(ガレリア御堂原)。堀田温泉に位置するガレリア御堂原は、路地の多い別府の町を模した立体的な建築構造で、柔らかい土の感触を伝えるような赤茶色の外観が特徴。

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別府湾を一望する堀田温泉の高台にあるガレリア御堂原。一部を除くアート作品は宿泊客でなくとも見学できる。別府駅より車で15分ほど。

館内ではロビーやテラスから一部客室に至るまで、さまざまなアート作品を展示。別府出身の写真家、草本利枝が鉄輪と亀川にある地獄地帯を撮影した写真がバーのスペースを美しく彩る。また別府タワーなど、市内のモチーフを取り入れた大巻伸嗣のインスタレーションも圧巻。ロビーを鮮やかに照らし出す。

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草本利枝『Another Water』。近年はインバウンド客にも大人気の別府の"地獄巡り"。色彩鮮やかな温泉の光景を写した作品は、まるで抽象画のよう。

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大巻伸嗣『Gravity and Grace-ゆだま-』 別府駅前に立つ別府観光の生みの親、油屋熊八の銅像のモチーフも表現されている。奥に見えるのは別府湾。

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見どころ6. 「Oita Cultural Expo! '24」を肌で感じられるカルチャーツアー。

明治12年創設の竹瓦温泉をはじめ、多くの共同浴場が点在する別府は、細い路地にレトロな建築がひしめき合う。ビルや商店の壁面にはアーティスト、マイケル・リンの作品があったりするなど、街中でもアートを見つけられる。共同浴場や観光地と歓楽街が渾然一体となるような街並みもユニークだ。

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路地を華やかに演出する、マイケル・リンの『温泉花束』(井上デンキセンター新宮通り側壁)。別府で見つけた浴衣やタイルに着想を得た11種類のポスターの模様から構成されている。

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別府市内の築100年以上の長屋を改装したミュージアムショップ「SELECT BEPPU」。1階には大分にゆかりのある職人やアーティストの作品や雑貨などを販売。2階ではマイケル・リンのふすまを用いた作品を展示している。

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「SELECT BEPPU」2階の「マイケル・リン」ふすま絵鑑賞エリア。別府現代芸術フェスティバル2009「温浴世界温泉」への出品作。会期を終えても継続的に公開されている。

最後にカルチャーツアーについてご紹介したい。大分市では、Yottaの作品とアトリエを巡る散策ツアーを実施。別府市では、在住のアーティスト勝正光が街の見どころを詳しく紹介するスペシャルなツアーが行われる。(詳しくは公式サイトを参照)ひとりやグループで気ままに回るのも楽しいが、カルチャーツアーに参加すれば、よりアートや街の人々の活力を肌で感じられるはず。今後さらに盛り上がりを見せる「Oita Cultural Expo! '24」で、アートを通して大分県の魅力を再発見したい。

「Oita Cultural Expo! '24」
会期:開催中~2024年6月30日(日)※イベントにより異なる
会場:大分県大分市、別府市、佐伯市、臼杵市、竹田市、国東半島(豊後高田市、国東市)
www.oita-cultural-expo.com
www.instagram.com/oitacexpo24

text: Harold

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