歌声に癒やされる、最新アルバム3選。
Culture 2024.05.19
歌の良さを堪能できる10年ぶりの復帰作。
『フライング・オン・エイブラハム』ダイアン・バーチ
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キャロル・キングやローラ・ニーロの再来などと称されて華々しく登場し、音楽ファンから圧倒的な支持を得た米国のシンガーがついに復活。一時期はダークで実験的な世界観にシフトしていたが、新作はデビュー時の印象を覆すことなく安定したポップソングを揃えた。時には朴訥に、時にはソウルフルに歌い上げる彼女の歌声は、卓越したソングライティング能力に裏打ちされた楽曲の良さと相まって心の琴線に触れる。プリンスやスティーヴィー・ワンダーも魅了したという声の魅力は不変だ。
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コロナ禍の苦しみを乗り越えた喜びの歌。
『ライト・ヴァース』アイアン&ワイン
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シンプルなアコースティックサウンドに乗せて、ほのかな多幸感を抱かせる歌。米国サウスカロライナ州出身のシンガーソングライターであるサム・ビームによるソロプロジェクトの新作は、グラミー賞ノミネートの前作から7年ぶり7作目。穏やかでフォークロアな雰囲気を纏いながら、コロナが明けた後の日々の生活で感じたことを歌にした。フィオナ・アップルとのデュエットというブルージーな話題曲もあるが、基本的には淡々と歌い綴る美しいインディーフォークといった印象だ。
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ジャズの未来へ向かって進むUKのユニット。
『ブルー・エクリプス』ブルー・ラブ・ビーツ
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この先、ジャズはどのような進化を遂げるのだろうか。そんな難問に対するひとつの答えとなるかもしれないのが、ビートメイカーのナマリ・クワテンとマルチ奏者のデヴィッド・ムラクポルによるユニットだ。2016年のデビュー以来、先鋭的なビートとあらゆる楽器との融合を推し進めていたが、本作ではさらに大きく発展。ヒップホップ、R&B、エレクトロニカといったさまざまなジャンルを内包し、エモーショナルなボーカルナンバーからクールなインストまで強力なビートを提示している。
*「フィガロジャポン」2024年6月号より抜粋
text: Hitoshi Kurimoto