仕事が私にくれたもの:ヴァレリー・メシカ ジュエリーメゾン、メシカを作り上げたヴァレリー・メシカ。
Culture 2024.05.25
控えめでエフォートレス、スタイリッシュで自信をくれるジュエリー。
Valerie Messika パリ生まれ。父はダイヤモンドのエキスパート。1998 年にソルボンヌ大学を卒業し、フレッドやシャネルの ジュエリーウォッチ部門でキャリアを積む。2005年にジュエリーブランド、メシカを設立。
「私が8歳の時だったかしら。父親のオフィスでダイヤモンドに触れた途端、その輝きに恋をしてしまった。以来ダイヤモンドへの情熱は変わらず続いています」と語るヴァレリー・メシカは、2005年にパリでジュエリーブランド、メシカをスタートした。
「控えめでエフォートレス、スタイリッシュなのにセクシー。そして、身に着ける人に自信をもたらすジュエリーがコンセプト」と言う。そんな彼女が少女の頃からずっと夢中なのがファッションだ。
1970年代のクレイジーな夜が放つエネルギーを表現したハイジュエリーコレクション「ミッドナイト サン」から。イヤリング(WG×ダイヤモンド)¥3,894,000/メシカ(メシカジャパン)
「パリで育った私にとってファッションはとても身近なもの。幼い時から、特にムッシュ サンローランの世界観が大好きでした。彼がデザインする服はとてもマニッシュだけど、同時にとてもフェミニン。サンローランが描く女性像に憧れ、ものづくりにおいても強く影響を受けています。ダイヤモンドそのものも重要な着想源ですが、建築や旅、街行く女性の装いなど、日々のすべてがアイデアに繋がります」
2007年に発表した動くダイヤモンドのコレクション「ムーヴ」が話題を呼び、新世代ジュエラーとして注目の的となったヴァレリーは、さらに創造性を追求するため、15年にパリにハイジュエリーのアトリエも開いた。ビヨンセやリアーナら、感度の高いセレブにも支持されるメゾンへと成長する。
「メシカのジュエリーの輝きは特別です。それは、ダイヤモンドをパズルのように隙間なく敷き詰めているから。私のデザインを実現するには、とても高い技術が求められます。だからこそ、私の傍にいつもそれを形にしてくれる優秀な職人たちが必要なので、彼らとともにアトリエを立ち上げたのです」
ブレスレット(WG×ダイヤモンド)¥5,533,000/メシカ(メシカジャパン)
宝飾デザインについて学んでいないからこそ、伝統的な決まりに縛られることなく自由に発想を広げることができる、とヴァレリー。大胆で、常識にとらわれないクリエイションもメシカの魅力だ。
「デザイン画を描いている時は子どもの頃に戻ったようにワクワクするし、アイデアが実際のジュエリーになった時は毎回、興奮しますね」
*「フィガロジャポン」2024年7月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami