『マッドマックス』最新作、アニャ&クリスに聞くフュリオサ誕生秘話。

Culture 2024.05.30

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若きフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイ。

ジョージ・ミラー監督による伝説のシリーズ、待望の最新作『マッドマックス:フュリオサ』がついに完成した。2015年に公開され、アカデミー賞10部門にノミネートされ6部門を制覇した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のカリスマ的な女戦士フュリオサの若き日を描く前日譚である。

世界の崩壊から45年、ディメンタス将軍率いる暴走族「バイカー・ホード」にさらわれ、家族も奪われた幼いフュリオサは、生まれ育った故郷「緑の地」に帰ることだけを心に秘め、壮絶な現実に立ち向かう、というストーリーだ。

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フュリオサとクリス・ヘムズワースが務めるディメンタス将軍、中央は警護隊長ジャックを演じたトム・バーク。

前作から9年、アイコニックなこのサーガを引き継ぐのは、いま最も旬な俳優であるアニャ・テイラー=ジョイとMCUでの"雷神ソー"役で人気のクリス・ヘムズワースだ。知性と身体性に富んだ若きフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイは、前作でシャーリーズ・セロンによって体現されたカリスマティックな女戦士のエッセンスを引き継ぐというプレッシャーに負けることなく、自分なりのフュリオサ像を見事構築。このシリーズで類稀な世界観を創り上げたジョージ・ミラー監督と仕事をすることこそ、この作品へ参加する一番のモチベーションだったと語る。

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オーストラリアプレミアの翌日に行われたインタビューでは、ふたりの息の合ったコミュニケーションで和やかに進んだ。

「ジョージ・ミラー監督は、(言葉ではなく)表情で演じることにとても厳格でした。荒んだ世界で生きているフュリオサは、ちょっとした表情も時として命取りになるのです。そういう危険と隣合わせで、生きているキャラクターなの、目だけで演技をするように指導されました。俳優としては、ツールとして使えるのが目だけというのはかなり厳しい。心の中で叫んでいても、その叫びは目で表現しなければならないのです。でも、そういった制限下での演技にチャレンジをするならジョージ・ミラーのような監督の下で仕事がしたいと思いました」

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己の欲を満たすために手段を選ばないディメンタス将軍。

一方、フュリオサを追い詰める残虐なディメンタス将軍を演じたクリス・ヘムズワースは、シリーズの舞台となっているオーストラリア出身の俳優ならではの思い入れを語ってくれた。「僕は、子どもの頃から『マッドマックス』の世界に親しんできました。オーストラリアの俳優にとっては、『マッドマックス』は間違いなくアイコン的なシリーズです。前作の『怒りのデス・ロード』を観た時はその素晴らしさに本当に驚いて、自分のエージェントにジョージ・ミラーとなんとしてでも仕事をしたいと宣言したくらい。実は、父親がバイクに乗っていたこともあり、1作目のスタントマンたちはみんな知り合いでした。僕にとってはノスタルジーを感じさせるシリーズでもあります。今回は作品に出演できて本当に光栄でした。父と一緒に幼少期に見ていたのでシリーズ1作目に登場するブロークンヒル(オーストラリアのニューサウスウェールズ州の都市)に訪れることもできましたし。つまり、この役はなにがなんでもやりたかったんです。またオファーが来たら、もう一回やりたいくらい楽しかったです。ヒーローには、いろいろな制限が課せられるし、みんなの期待にこたえなければならない。それに対して(ディメンタスのような)ヴィランは、もともと掟破りの存在だし、ユーモアを振りまいて(観客を)安心させたと思ったら、次のシーンでは暴力的に爆発するといった具体にジェットコースターのようなパフォーマンスを観客に提供できるし楽しいですね」

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定めた目標に対し体当たりするフェリオサの姿は、観客を虜に。

"復讐のエンターテインメント"といわれる本作だが、アニャは「フュリオサのモチベーションとなっているのは、復讐心というより"約束を果たす"ことにあると思います」とフュリオサの爆走の原動力を分析する。

「ディメンタスはサバイバルが生きる原動力になっていると思う。復讐心に燃える局面もあるけれど、なによりも荒野を生き抜いていくことの難しさが彼のキャラクターを形成しているんだ。彼が生きている世界では、命なんて安いもので、やるかやられるかの日々をどう生きるのか、毎日突きつけられているんです」(クリス)

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前作に引き続き登場するイモータン・ジョー。

そんなふたりが対峙する緊張感あふれるシーンはこの作品のハイライトだろう。

「あれは決定的なシーンなので撮影前はとても不安でしたが、同時にワクワクもしていました。あのシーンでもし観客が手ごたえを感じることができなければ、このストーリーは失敗ですからね。僕たちは撮影1週間目からリハーサルを念入りに重ねていき、僕が現場にいた最後の一週間で撮影されました。ディメンタスというキャラクターの背景が明らかになり、観客が彼が一体何者なのか、彼がなぜああいう行動をとったのか、彼がなぜあのような醜悪な人間になっていったのか、そして彼が苦悩を強いられたことも観客は知ることになるでしょう。人は、いろいろ局面の中で変わっていくものですが、そんな中でも高潔な道を歩もうとする人もいます。邪悪な道に踏み込んでしまう人もいる。ディメンタスは後者ですが、そんな彼も共感が得られるシーンになっていると思います」(クリス)

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口数が少ないフュリオサ。アニャ・テイラー=ジョイの目の演技が光る本作。

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この重要なシーンの立役者はアニャだったのだという。
「脚本では、セリフの応酬のシーンでした。けれど、ここは言葉ではなく身体で表現してみたいと私から監督に提案しました。取っ組み合いの闘いです。フュリオサというキャラクターは神話的であると同時に、生身の人間です。なので、このシーンはひとりの生身の人間として表現したかったんです。うれしいことに監督もクリスも同意してくれて、あのシーンが成り立ちました」(アニャ)

「アニャからの提案はとてもよかった。それがなければ、あのように上手くいかなかったと思います」(クリス)

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「マッドマックス」シリーズの重要キャラクター、武装戦闘集団ウォーボーイズ。

哀しみや愛といった感情を秘め、闘い抜くフュリオサのクールな美しさはアニャに共通しているように見える。

「私は、いま目の前にある現実はいつか消え失せるものだと思っています。どんな苦しい状況にあっても、いずれそれは記憶になっていく。デフォルトで郷愁を感じているといってもいい。映画の撮影をしている時は、さらにそうなんです。映画づくりは、サーカス団員たちと同じで、一緒にどこかにいって団結して撮影したら、やがてそれぞれ散っていく。でも、今回は特に私たちは何か特別なものを作っているという意識が通底していましたよ」(アニャ)

『マッドマックス:フュリオサ』
●監督/ジョージ・ミラー
●主演/アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース、トム・バーク
●2024年5月31日(金)全国ロードショー!日本語吹替版同時上映 IMAX®/4D/Dolby Cinema®(ドルビーシネマ)/ScreenX
(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.
https://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuriosa/index.html

text: Atsuko Tatsuta

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