我が愛しの、ジェーン・バーキン ともに作る、奏でる、歌う。アーティストの音楽論。【坂口修一郎】

Culture 2024.06.19

ジェーンの歌声や表現に魅了された、同じ音楽に関わるアーティストたちは、特に何を聴き、彼女の姿をどう見ていたのか? その影響は永遠に──。


坂口修一郎

ミュージシャン・プランニングディレクター・BAGN Inc. 代表

母のような愛情で、
日本を励ましに来てくれた。

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中島ノブユキ、栗原務、金子飛鳥との4人編成。2011年の渋谷クラブクアトロのステージにて。

セルジュのアルバム『メロディ・ネルソンの物語』のジャケット写真のジェーンは、シャルロットを妊娠中なのですが、この時僕も母のお腹の中にいました。奇しくも僕とシャルロットは同じ1971年7月21日生まれ。ジェーンと出会ってからそのことがわかり、参加したツアー中よくその時の話をしてくれました。ジェーンは誰に対してもフラットでいい意味で周りを緊張させない人。ジョークと旅が大好き。コンサート前でも時間があれば美術館や観光名所に足を運ぶのはしょっちゅう。フランス人クルーと日本人ミュージシャンというチームでのアメリカツアー中も、率先して通訳したり、落としものをした人がいれば追いかけて渡し、といつも驚かされていました。初めて会った時、カシミアのセーターの背中に穴が空いていて笑いましたが、本当にそういう人。

東日本大震災直後の緊急来日した渋谷クラブクアトロでのライブで、初めて演奏した曲が「Jane B.」でした。行方不明のジェーン・Bという女性の特徴を箇条書きしただけの歌詞。それを自分で歌っているのが演じているのかなんなのか。不思議だなと思いながらステージで彼女の後ろに立って聴いていました。バンドだけで演奏確認のために入った渋谷の小さなリハーサルスタジオまで僕らを追いかけてきて、一緒にリハーサルをしたことも思い出です。

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ワールドツアーへの同行時。

コンサートツアーで特に盛り上がる曲は「En Melody」「さよならは早すぎる」、そして美しいメロディと裏腹な歌詞で彼女がめちゃめちゃ尖っていた若い頃の歌「ジョニー・ジェーンのバラード」でしたね。ワールドツアー「Jane Birkin Sings Serge Gainsbourg"VIA JAPAN"」では、いつもジェーンがメンバーひとりひとりの紹介をしてくれて、その時だけはそれぞれのメンバーとジェーンとの時間。日本でも海外でも、大きな舞台で演奏する後押しをしてもらったような気がします。

毎年4月になると東日本大震災後の混乱の中に来日してくれたことを思い出して、彼女の曲を聴きたくなります。

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Shuichiro Sakaguchi
1971年、鹿児島県生まれ。無国籍楽団ダブルフェイマスで活躍した後、2010年より鹿児島で野外イベント、グッドネイバーズ・ジャンボリーを主催。11年の東日本大震災後、来日したジェーンのチャリティコンサートをオーガナイズし、その後ワールドツアーにも同行。@shun_sakaguchi

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▶︎ジェーン・バーキン、永遠のファッションアイコンの魅力を紐解く。

*「フィガロジャポン」2024年3月号より抜粋

coordination: Hitoshi Kurimoto

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