仕事が私にくれたもの:ゲラルド・フェローニ ロジェ ヴィヴィエ、デザイナーのゲラルド・フェローニが語るものづくり。
Culture 2024.06.23
靴をデザインしているとリラックスできる。
ものづくりに、ストレスなんてまったく感じない。
トスカーナの靴職人の家系に生まれたゲラルド・ フェローニ。「若い頃から、家の仕事の手伝いでデザイン画を描いていて、それがとても楽しかったんだ」と振り返る彼は、2018年にロジェ ヴィヴィエのクリエイティブディレクターに就任した。
「ロジェ ヴィヴィエは特別なメゾン。大き過ぎないからこそ、高いクラフトマンシップを存分に活かし、すべてをスペシャルなアイテムに仕上げることができる。それは創業者のムッシュ ロジェ・ヴィヴィエの時代といまも変わることのないメゾンの普遍的な部分。加えて、僕らには唯一無二の遺産も多くある」
就任当初、ゲラルドがまず着手したのがロジェ ヴィヴィエらしいスニーカーを作ることだった。「メゾンを現代化するにあたり、スニーカーは欠かせない。僕自身、スニーカーを履いて育ったからね。ヴィヴィエは新しいものを常に発明し、未来を見据えた人だった。彼がいまの時代を生きていたら、同じようにスニーカーをデザインしたと思うよ!」
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ゲラルドの予想通り、ロジェ ヴィヴィエらしいエレガントなスニーカーは大ヒット。現在も継続的に人気を集め、いまやメゾンの定番品となっている。
「過去のレガシーと現代性を織り交ぜ、新鮮なものを作るのは簡単ではない。新しい素材、アイテムを取り入れながら、ヴィヴィエらしい視点でまったく新しい何かを生み出すのが僕の仕事だからね。工場に出向き、素材や木型に触れていると、アイデアが浮かぶことも。手先を動かし、職人たちと会話している間に自然と考えがまとまってくる。さらに僕は全体のシルエットを大切にしてデザインするから、ジュエリーも作りたかった。僕自身、アンティークジュエリーのコレクターでもあるんだ。それで会社を説得して、ジュエリーラインを始めたんだよ」
彼にとってデザインすることはとてもリラックスできる作業で、ストレスを感じることはないそう。
「幼い頃から、ものづくりをする環境にいたからかも。自然な流れでこの仕事をしているよ」
*「フィガロジャポン」2024年4月号より抜粋
text: Tomoko Kawakami