ヨーゼフ・ボイスを、現代日本の視点で検証する展覧会。

Culture 2024.07.04

戦後ドイツ美術の第一人者であり、世界的アーティストのヨーゼフ・ボイスの作品や活動を、現代日本の視点で検証する展覧会が、7月17日よりGYRE GALLERYにて開催。

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ヨーゼフ・ボイス ヴィトリーヌ#1, #2

本展は、戦後日本の現代作家によるダイアローグ形式の作品構成によって「いまなぜヨーゼフ・ボイスなのか」という問いかけを行う展覧会。マルセル・デュシャンやアンディ・ウォーホルと並び、20世紀を代表するアーティストであるボイスは、亡くなる2年前の1984年に来日した。8日間の滞在中に彼はインスタレーションやアクション(パフォーマンス)、レクチャーや学生との討論会などの幅広い表現方法を通じて「拡張された芸術概念」を提唱。またこの「拡張された芸術概念」とともに展開したのが「社会彫刻」という概念で、これはボイスの思想と活動の原理と言えるもの。提唱されたこれらの概念は「すべての人間は芸術家である」というボイスの言葉に代表される。ボイスの没後38年を過ぎた現在、国際的な美術界において彼はいまなお影響を与え続けている。

本展は、現代美術作家の若江漢字が開設したカスヤの森現代美術館の所蔵品の中から、美術館がヴィトリーヌ(ガラスケース)を任意に配置したヨーゼフ・ボイスの作品となる。ヴィトリーヌとは、科学標本や聖遺物の展示ケースや民俗学的・自然史的遺物を収納するガラスケースのフランス語による名称。彼の「ヴィトリーヌ」シリーズは、作家自身の活動で用いられた遺物を展示する装置として作品化したものとなる。

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ヨーゼフ・ボイス ヴィトリーヌ#1

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ヨーゼフ・ボイスの対話相手となる出品作家は、ボイスと深い交流のあったコンセプチュアルアーティストの若江漢字、来日した当時のボイスのポートレートを撮影した写真家の畠山直哉、認識論に基づいて統合的な時間感覚を再考する磯谷博史、心象と事象を織り交ぜながら「私」と「社会」が相対的に立ち現れるような絵画作品を制作している加茂昴、人間とは異なる視点やふるまいをもつ動物たちとの共作を通して、人と生き物の関係性を再考するAki Inomata、そして都市における「風景」の在り方や、それを取り巻く人々の意識の移ろいを表象する武田萌花の6名。彼らがボイスの現代性を問いかけ、現代におけるアポリア(哲学的難題、一般的には解決の糸口を見出せない難問)を浮かび上がらせる。

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若江漢字 「気圧」#1  1988-89年 H700×W1200×D70mm ガラス付ヴィトリーネ、写真、オブジェ(6点組) Photography : Tadasu Yamamoto

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加茂 昴 「惑星としての土/復興としての土」#1 2023年 H1940×W1620mm 油彩、堆肥顔料、キャンバス 

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磯谷博史 「花と蜂蜜、透過する履歴」#1 2018年 H670×W460×D460mm 蜂蜜、集魚灯、ボトル

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AKI INOMATA 「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」#4  2014年 A cape made of dog's hair for human A cape made of human hair for a dog

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ヨーゼフ・ボイス:1921年ドイツ・クレーフェルト生まれ。脂肪やフェルトを素材とした彫刻作品の制作、アクション、対話集会のほか政治や環境問題にも介入し、その活動は多岐にわたった。第二次世界大戦には通信兵として従軍し、戦後、23歳でデュッセルドルフ芸術アカデミーに入学。53年に初の個展を開催。61年にデュッセルドルフ芸術アカデミーの教授に就任。以降もさまざまな作品、アクション(パフォーマンス)を発表。1982年、ドクメンタ7で開催地のカッセル市に7000本の樫の木を植えるアクションを展開。彼のアクションに賛同した人々のように、自ら意思を持って社会に参与し、未来を造形することを「社会彫刻」と呼び、それこそが芸術であると提唱。84年に来日し、西武美術館で個展を開催。86年没。
Photography : Naoya Hatakeyama

『ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展』

会期:2024年7月17日(水)〜9月24日(火)
会場:GYRE GALLERY
東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
tel : 0570-05-6990(ナビダイヤル11:00〜18:00)
https://gyre-omotesando.com/artandgallery/josephbeuys-dialogue

企画:飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長)
展覧会出展作家:ヨーゼフ・ボイス、若江漢字、畠山直哉、磯谷博史、加茂昂、AKI INOMATA、武田萌花

text: Natsuko Kadokura

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