富山と金沢で味わう工芸・アート・食。秋の週末アート旅は『GO FOR KOGEI』へ!

Culture 2024.09.30

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サリーナー・サッタポン『Balen (ciaga) I belong』

東京から北陸新幹線で約2時間。北陸・金沢、そして富山は、趣ある街並みと豊かな食文化、そして歴史と伝統を受け継ぐ現代作家が手がける工芸など多彩な魅力にあふれ、週末旅にぴったりのエリアだ。

しかもいま、工芸とアートの芸術祭『GO FOR KOGEI』が10/20まで開催されている。JR金沢駅のほど近く、ひがし茶屋街として知られる東山エリアとJR富山駅から路面電車で行ける岩瀬エリアで、街歩きをしながら楽しめる"秋の週末アート旅"をご紹介!

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旅の初日は金沢・東山エリアへ!
そぞろ歩きで巡る工芸体験スポット。

紅殻格子の町家が建ち並び、格式ある割烹やモダンなカフェ、こだわりのギャラリーなどが点在する観光地、ひがし茶屋街を擁す東山エリア。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている石畳の街では、路地裏をゆったりと歩きながら楽しめる展示や体験を通して工芸のある暮らしをイメージできる。

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東山エリアにかかる浅野川大橋と浅野川。

まず立ち寄りたいのは、台湾創作料理で人気のお店、四知堂(すーちーたん)kanazawa。明治時代の金沢町家建築を改修したシックで落ち着いた店内では、会期中、ランチと喫茶のスペシャルメニューが木工作家・川合優の『経木の蓮弁皿』でサーブされる。

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薄くスライスした針葉樹をハスの花の形に仕上げたお皿は、紙のお皿よりも省エネで作れて、使い捨てた後も有害な廃棄物を出さない優れモノ。役目を終えたお皿は四知堂のオーナー自身が手がける田畑で、土に還すイベントも企画されているそう。併設されたギャラリー「SKLo(スクロ)」では、地元の作家らによるうつわやガラスなどの展示販売もされているので必見。

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ギャラリー「SKLo(スクロ)」。

四知堂 kanazawa
金沢市尾張町2-11-24
営)11:00〜15:00
休)水
076-254-5505
https://www.tua-kanazawa.jp
Instagram:@tua_kanazawa
SKLo
金沢市尾張町2-11-24
営)10:00〜16:30
休)水
Instagram:@sklo_info

 

四知堂 kanazawaからのんびり歩いて10分ほどの場所にある、INSPICE kanazawaは、その名の通りスパイスの専門店。その2階にはギャラリースペース「locoloco higashi 204」が。約150年にわたって茶筒を作り続ける開化堂の6代目当主・八木隆裕が、現存するもっとも古い110年前の茶筒と現代の茶筒、さらにオイル缶などをリメイクした作品を並べたインスタレーションを行っている。

開化堂の茶筒と言えば、いつかは手に入れたい憧れの逸品。しかも会期中は1階の店舗で販売するスパイスのテスターを開化堂の茶筒に入れて陳列していて、気軽に手に取って使い心地を確かめることができるのも魅力だ。

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INSPICE kanazawaの店内。

INSPICE kanazawa
金沢市東山1-10-2 104号
営)10:00〜16:30
休)水
https://inspice.jp/pages/inspice-kanazawa?srsltid=AfmBOoqcZmofQmEXZAZ658ZvOy2SCiuVquxl9FiGwzmERJ9MU0Z8IXk-
Instagram:@inspice_kanazawa

 

そろそろスイーツタイム、と思ったら、INSPICE kanazawaから徒歩5分もかからずに到着できる和栗専門カフェ、和栗白露(わぐりしらつゆ)へ。会期中は、能登産の和栗を使った2種類のモンブラン、榛摺(はりずり)と金茶(きんちゃ)を、能登・輪島に工房を構える赤木明登による漆のうつわと、金沢を拠点とする金工作家・竹俣勇壱のナイフとフォークを使って味わえる。

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和栗専門カフェ、和栗白露で楽しめるモンブラン。

和栗白露
金沢市観音町3-1-16
営)10:30〜17:00
無休
https://www.wagurishiratsuyu.com
Instagram:@wagurishiratsuyu

 

なお赤木は、カフェから徒歩圏内の展示スペース「KAI」で、日本画家・大谷桃子とのインスタレーション作品を展示。「いまは亡き数多の工人とともに」をテーマに、赤木の漆器と自身が蒐集する輪島塗の歴史的資料による作品には、今年1月の地震によって甚大な被害を受けた能登の再生に向けた思いが込められている。ぜひ足を伸ばしてほしい。

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大谷桃子『蓮と蝶』(2024)。
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⾚⽊明登×⼤⾕桃⼦の展示を行っている会場「KAI」。

KAI
金沢市東山2-8-25
営)10:00-16:30
無休

 

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旅の2日目は、富山・岩瀬エリアで現代アートと食のコラボレーションを堪能。

金沢駅と富山駅は、ローカル線で約1時間の距離。北陸新幹線を使えばわずか23分で移動できてしまう。

旅の2日目は、JR富山駅から路面電車の富山港線、岩瀬浜行きに揺られて約20分。工芸と現代アートのサイトスペシフィックな作品展示が行われている岩瀬エリアの最寄り駅、東岩瀬に到着。

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JR富山駅と路面電車、富山港線。

ここは江戸時代の中頃から明治にかけて、北海道から日本海、瀬戸内海、そして大阪へと往来した交易船・北前船(きたまえぶね)の寄港地として栄えた街。現在は富山の地酒「満寿泉」を製造する桝田酒造店が中心となり、歴史ある町並みを活かしながら食や工芸などの魅力を発信している。

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桝田酒造店 満寿泉。葉山有樹さんの『双竜』が昨年に続いて酒蔵の扉を飾る。

桝田酒造店 満寿泉には、駅から街並みを楽しみながら歩くこと約10分で到着。なんとこの酒蔵の中で、美術家の舘鼻則孝さんによるインスタレーションとレディー・ガガが愛用したことで知られるヒールレスシューズのシリーズが楽しめる。

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舘鼻則孝によるインスタレーション。
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舘鼻則孝『Heel-less Shoes』。

桝田酒造店 満寿泉
富山市東岩瀬町269
営)10:00〜16:30
無休
076-437-9916
http://www.masuizumi.co.jp/index.html

 

桝田酒造店のほど近く、蕎麦屋や家具屋として営まれていた町家、New Anでは、立体作品で知られる磯谷博史、富山出身の澤田健勝と釋永岳、金工作家として世界的に注目を集めている外山和洋、岩瀬に工房を構えるガラス作家の安田泰三ら5名による空間と響き合うようなコラボレーション展示が楽しめる。なお安田の工房兼ギャラリーはNew Anと目と鼻の先。花器やテーブルウェアなど日常使いできる品々が購入できる。

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磯谷博史『花と蜂、透過する履歴』(2018)。
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手前が金工作家、外山和洋の作品。奥はガラス作家、安田泰三の作品。

New An
富山市東岩瀬町336
営)10:00〜16:30
無休

 

美食と美酒の宝庫・富山に来たなら、やっぱり楽しみたいのが地酒。この岩瀬エリアでは満寿泉やクラフトビールを味わいながら、インスタレーションを楽しめる魅力的なスポットが点在している。

桝田酒造店直営の沙石(させき)では、書家の柿沼康二によるダイナミックな書の展示を眺めながら、約100種類ものお酒の利き酒が体験できる立ち飲みスペース。一般に出回ってないお酒やここでしか飲めない限定酒、珍しいヴィンテージものにも出合えるかもしれないという。

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桝田酒造店直営の沙石(させき)と、書家の柿沼康二によるインスタレーション。

桝田酒造店 沙石
富山市岩瀬大町93
営)10:00〜17:00
休)火
Instagram:@masuizumi.saseki

 

また、クラフトビールの醸造所を併設したKOBO Brew Pub(コボ ブリュ― パブ)では、舘鼻則孝さんの絵画を眺めながらチェコスタイルのクラフトビールや、オリジナルレシピのソーセージなどを味わいたい。

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KOBO Brew Pub(コボ ブリュー パブ)」と舘鼻則孝さんの絵画。

KOBO Brew Pub
富山市岩瀬大町107-2
営)11:00〜18:00
無休
076-471-0730
https://www.kobobrewery.jp
Instagram:@kobobrewpub

 

そして、富山湾を一望できる展望台のふもとでは、ニューヨークを拠点に世界的な活躍を続ける美術家、松山智一の新作を含むインスタレーションと、気鋭の美術作家サリーナー・サッタポンによるパフォーマンスやインスタレーションが野外で楽しめる。心地良い海風を感じながら、作品と自然の風景のコラボレーションをゆったりと眺めてほしい。

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松山智一のインスタレーション。
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サリーナー・サッタポン『Balen (ciaga) I belong』パフォーマンス。

富山港展望台
富山市東岩瀬町海岸通り5
営)10:00-16:30
無休

 

日常を離れ歴史ある街を巡りながら、様々な体験を通して、暮らしに寄り添う工芸やアートと出合える、再発見できる芸術祭『GO FOR KOGEI』。ひとりでも、友達や家族とでも、次の週末にさくっと出かけてみては?

『GO FOR KOGEI 2024  くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの』 
期間:2024年9月14日(土)~10月20日(日)
会場:富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
https://goforkogei.com/

text: Naomi

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