ゲランが放つアート展と、リ・ウファンとのコラボレーション。
Culture 2024.11.15
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アート・バーゼル・パリが開催されて世界中からアートファンが集まった10月中旬のパリ。メイン会場のグランパレから徒歩10分の場所にある歴史的な本店を舞台に、10月16日、ゲランの特別展『GOOD MORNING KOREA』展が幕を開けた。
シャンゼリゼ通り68番地ブティックの重厚な扉を開けると、すだれと繊細なニットを組み合わせたポエティックな立体作品に迎えられる。1997年生まれの双子のアーティスト、パク・デェダルとパク・チェビョルがこの展覧会のために完成させたオリジナル作品だ。
アート・バーゼル・パリが幕を開けた10月16日、この本店でもうひとつの展覧会が始まった。『"GOOD MORNING KOREA" IN THE LAND OF THE MORNING CALM』展は、3フロアすべてを使った展示で、新進気鋭のアーティストからコンテンポラリーシーンの大御所まで、さまざまな作品が一堂に集結。また、このエキシビションのために特別に制作された最新作品も登場。ゲラン本店のシックなデザイン空間を、現代アートの数々が彩った。
Kポップや韓流ドラマが世界的なブームを呼ぶ中、韓国のアートシーンも大きな注目を浴びている。
韓国の前衛アートの父とも呼ばれ、身体を使ったペインティングで知られるイ・ゴンヨン、炭の質感を探究するリ・ベーの黒い絵画、社会性のある立体作品で知られる女性作家イ・ブルーーエスタブリッシュトなアーティストを紹介する一方で、若手の注目株の作品も数々紹介された。
ユーモラスな動物やキャラクターを多用し、立体感と鮮やかな色使いで人気急上昇中のウ・グクウォン、スタジオに作り上げた幻想的なシーンを写真にするイ・ジヨン、身体と精神が分離した未来の風景をテーマにしたビデオアートを見せたオマイオ・チョウ。世代もメディアも作風もさまざまなアーティストの作品が、韓国社会とそのアートの多様性を浮き彫りにする展覧会となった。
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リ・ウファンとゲランの出会い。
実はこの『GOOD MORNING KOREA』展の人選には、韓国人アーティスト、リ・ウファンも参加している。ゲランが本店を舞台に毎年2回行っている展覧会を担当するのは、ゲラン アート・カルチャー・アンド・ヘリテージのトップを務めるアン・キャロライン・パラザン。彼女とリ・ウファンの出会いから、いくつものアートへの取り組みが生まれたという。
「10年以上前、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で彼の展覧会を見て衝撃を受けて以来、彼と仕事をするのが夢でした」
時を経て、アーティスト本人と出会った時のことを彼女はこう語ってくれた。
「彼は私のオフィスに来て、書棚に並ぶ本や置いてあるアート作品をしばらく見つめた後、『OK、一緒に何かやりましょう』と言ったのです。これは私にとって人生最高の日となりました」
2人の出会いから生まれたコラボレーションはふたつ。ひとつは世界で21個だけが制作されたエクセプショナルピース「スヴニール ドルキデ」。アート・バーゼル・パリで世界に向けて発表されたこの作品は、香りもボトルもリ・ウファンが手がけたアートピースだ。
「子ども時代を過ごした韓国の山、青い蘭と川と石について語ってくれた。彼の物語から出発し、ゲランの調香師デルフィーヌ・ジェルクがアーティスト本人と何度も意見を交換しながら2年がかりで完成したのは"蘭の思い出"という名の香りです」
山の蘭のフレッシュさに温かみが漂う穏やかな香り。その香りを包み込むのは、ゲランの伝統的なクアドリローブを踏襲したボトルだ。
「初め、彼が描いたボトルのイメージは石でした。でもゲランのアーカイブで1906年に生まれたクアドリローブを見た時、考えを変えたのです」
石の触感を思わせる独特の手触りのセラミック製ボトル。白い肌に、自然を象徴するグリーンの筆跡が残されている。リモージュの磁器メゾン、ベルナルドの手仕事が実現したボトルは、一点ごとにリ・ウファンが筆をとってグリーンを施し、自筆のサインを記した。
もうひとつのコラボレーションは、今年で第2回となるArt & Environment Prize。自然に向き合い、環境を守るコミットメントにアーティストは大きな役割を果たすという考えから、リ・ウファンの協力を得て設立したものだ。ア―ト・バーゼル・パリの期間中に発表された受賞者はフランス系カナダ人のキャロリーン・コーバッソン。リ・ウファン・アルルのレジデンスに滞在して制作活動を行い、翌夏に個展を行うチャンスが与えられる。
リ・ウファンとゲランのコラボレーションは、このアワードを通して未来に繋がっていく。
text: Masae Takata (Paris Office)