ジャズ、ファンク、R&B......さまざまなジャンルの音楽に酔いしれて。
Culture 2024.12.14
国籍も世代も超越した歴史に残る夢の共演。
『ミルトン+エスペランサ』
ミルトン・ナシメント+エスペランサ
グラミー賞を5回も受賞している現代ジャズ界の鬼才と、ブラジルの至宝と称えられるレジェンドとのコラボレーションが実現。ハービー・ハンコックの紹介で知り合ったという逸話もすごいが、宇宙を感じさせる壮大な世界観を持ちながらも繊細な感覚は、ふたりの共通項なのかもしれない。ミルトンの名曲、エスペランサの新曲、ビートルズやマイケル・ジャクソンのカバーなどバラエティに富んだ選曲もユニークで、何よりも静かだが喜びに満ちた歌声に心が洗われる。
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世界中でサンプリングされた逸材の待望作。
『シアン・ブルー』シャーロット・デイ・ウィルソン
ドレイク、ジョン・メイヤー、ジェイムス・ブレイク......ビッグネームの彼らがこぞってサンプリングしたシンガーソングライター、といえば驚くのではないだろうか。カナダのトロントで生まれ育ち、サウンドプロデュースやさまざまな楽器をこなすマルチミュージシャンとしても評価が高い天才肌による2作目のフルアルバムは、アンビエントな雰囲気が漂うオルタナティヴR&Bと言ってもいいだろう。気怠い歌声と緻密なサウンドによるアンサンブルが幽玄的で美しい。
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先鋭的なエレクトロサウンドの最新型。
『ラヴァー、アザー』ロージー・ロウ
ファンキーなブレイクビーツがダンサブルなリズムを叩き出したかと思うと、クールでメロウな淡い空間を生み出す。リトル・シムズらともコラボレートする英国のシンガーソングライターの新作は、「コラージュのようなサウンドにしたかった」と言うだけあって、さまざまな音楽性が絶妙に入り組んだ実験的かつポップな内容。サンプリングを駆使し、先鋭的なエレクトロサウンドを展開していくが、自身の経験や思想を歌詞に反映したことで、内省的なメッセージがにじみ出る重要作となった。
*「フィガロジャポン」2024年10月号より抜粋
text: Hitoshi Kurimoto