春を待つ喜びの象徴、しめ縄を芸術・文化の視点で考察して。
Culture 2024.12.16
しめ縄職人として活動する上甲 清(じょうこう・きよし)が、一つひとつ力をこめて綯(な)ったしめ縄作品を展示・販売する企画展「米と藁。 しめ縄職人 上甲 清 展」を12月14日より21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3にて開催。
上甲は、愛媛県西予市で半世紀以上もの間、しめ縄職人として活動。しめ縄専用の稲を自ら栽培し、田植えから稲刈りまで丹精込めて行っている。しめ縄は、こだわり抜いて出来上がった藁と手を擦り合わせながら、健康や平和、五穀豊穣の祈りを込めてひとつずつ手作りされ、全国各地の民藝店やセレクトショップを通じて人々の手に渡っている。そんな彼の営み、伝統的な手仕事や文化と、そこから生まれる藁細工をより多くの人に知ってもらいたいという想いのもと、彼の孫である上甲智香(じょうこう・ちか)が2021年に立ち上げたのが「孫プロジェクト」だ。
本展は、このプロジェクトに共感したマウンテンモーニングのインテリアスタイリスト作原文子とディレクターの今井孝則が、上甲智香の想いを受け企画。上甲 清の製作に伴走するかたちで、フォトグラファーとともに愛媛を訪れ、田植えや製作の様子を写真・映像に収めた。本展は、これらの映像や写真の展示、また作原によるスタイリングを織り交ぜた空間演出を通し、広く藁文化に触れ、体験できる場を作り、多角的にプロジェクトを紹介していく。
作原は、上甲 清の作品(偶然にも、以前から東京の民藝店で購入していたしめ縄は上甲の作品だった)、そして実際に対面してからはその笑顔や人柄にも惹かれるようになったと語る。智香から展示の相談を受けたときは、自分たちに何ができるか悩んだが、彼が守ってきた藁文化を、何かカタチにして残さなければという気持ちが強くなっていったという。
「米と藁。それは、上甲 清さんの生き様を記録した企画展です。一人でも多くの方々に、藁文化を知っていただける機会となりますように」と作原は展示への想いを綴る。もうすぐお正月、日本の伝統的な文化や職人の手仕事について考えるのにもふさわしい時季なので、ぜひ会場へ足を運びたい。
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会期:2024年12月14日(土)〜26日(木)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
東京都港区赤坂9-7-6
営)10:00〜19:00
入場無料
https://www.2121designsight.jp/
text: Natsuko Kadokura