新年に出かけたい、注目の展覧会4選。

Culture 2025.01.03

伝統の枠を超え、歓喜に満ちた円熟期の絵画。

『ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965』

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建築家ル・コルビュジエは、その活動の後期、建築の指揮のもとで絵画や彫刻を繋ぐ試みを「諸芸術の綜合」と言い表した。本展は、近代建築の巨匠として世界的に知られながら、視覚芸術の他分野にも革新をもたらした彼の後期の絵画に注目する初の展覧会。1930年代以降に手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリー、さらに新しい技術の芸術的利用にもスポットを当て、後期の建築作品も併せて紹介することで、伝統的な枠組みを超えたル・コルビュジエの円熟期の芸術観を明らかにする。楽観的で歓喜に満ちた作品群は、機能主義者のイメージを超えた新たな像を結ぶだろう。また、レジェやアルプといった同時代の芸術家たちとの対比により当時の芸術潮流における立ち位置も浮かび上がる。

『ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965 』
会期:2025/1/11~3/23
会場:パナソニック汐留美術館
050-5541-8600
営)10:00~17:30 最終入場 10:00~19:30最終入場(2025/2/7、3/7、14、21、22)
休)水 ※2025/3/19は開館
料)一般¥1,200
https://panasonic.co.jp/ew/museum/

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幅広い人々の記憶に語りかける風景画。

『小西真奈 Wherever』

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現代日本の風景画の可能性を拡げるアーティストのひとり、小西真奈の美術館で初の大規模個展。アメリカ東海岸の美術大学で学び、帰国後に描いた作品が2006年に若手作家の登竜門であるVOCA賞を受賞。雄大な風景を大画面に収め、しっかりと描き込んだ理知的な絵画は広く人気を得た。コロナ禍の隔離生活の中、小西は近所の公園や温室、小川の風景を描いた。対象との距離は近く、筆運びは即興的でおおらかに、色はより感覚的に選ばれるようになる。本展では2000年代の代表作を精選し、近作と新作をたっぷりと展示。どこでもあるようでどこでもないアノニマスな場所を描いたその風景画は、感情を抑えた描写が観る人に懐かしさを感じさせ、穏やかに記憶に語りかける。

『小西真奈 Wherever』
会期:開催中~2025/2/24
会場:府中市美術館 2階企画展示室
050-5541-8600
営)10:00~16:30最終入場
休)月、12/29~2025/1/3、14 ※2025/1/13、2/24は開館
料)一般¥800
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

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抑圧に立ち向かう非暴力の抵抗と自由意思。

『ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう』

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オランダの現代美術を代表するアーティストのひとり、ファン・オルデンボルフ。映像作品やインスタレーションを通じて、人種差別、ジェンダー、歴史、植民地主義などの支配的言説や権力構造に対峙する作品を発表してきた。近年は日本とオランダ、そしてインドネシアと繋がりのある女性の表現者のリサーチを進め、そこには山口県とゆかりの深い女優・映画監督の田中絹代や、作家の林芙美子が含まれる。本展では新作を含む4作品を公開するとともに、クィア文化に触発された多様な文化や社会を表す装置として会場をダンスフロアに見立てたインスタレーションを展開。他者からの圧力に暴力を用いずに立ち向かう術を探り、何ものにも分類されない意思に根差した自由を謳歌する。

『ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう』
会期:開催中~2025/3/15
会場:山口情報芸術センター[YCAM]
083-901-2222
営)10:00~19:00
休)火、12/29~2025/1/3、2/12、2/26~3/6 ※2/11は開館
入場無料
https://www.ycam.jp/

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画家が身体ごと立ち上げてきた絵画の展開。

『画家の肖像―『MK 』出版記念展』

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1957年東京生まれの画家・小林正人は、高校時代の恩師であり恋人でもあった人の導きにより絵を描き始めた。97年には伝説的なキュレーター、ヤン・フートに招かれて渡欧、ベルギーのゲント市を拠点に制作に取り組む。2006年に帰国後は福山市・鞆の浦にアトリエを置き、自らカンヴァスを支えて素手で布地に擦り込むように色を載せ、同時に木枠に張りながら絵画を立ち上げる独自の手法を発展させる。東京藝術大学教授(24年退任)として若い世代を鼓舞しながら、「存在することで少しも失墜しない絵画」を一貫して目指した。40年にわたる展開を追った初の包括的な画集『MK』の出版を記念する本展では、この5年取り組んでいる「画家の肖像」シリーズの新作を中心に展示。

『すべてのものとダンスを踊ってー共感のエコロジー』
会期:開催中~2025/1/25
会場:シュウゴアーツ
03-6447-2234
営)11:00~18:00最終入場
休)日、月、祝、12/28~2025/1/6
入場無料
https://shugoarts.com/

*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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