ヴァン クリーフ&アーペルが支援するレコール ジュエリーと宝飾芸術の学校が、赤銅をテーマとする展覧会を香港で開催。
Culture 2025.03.10
ヴァン クリーフ&アーペルの支援のもと、2012年に設立されたレコール ジュエリーと宝飾芸術の学校。そのひとつである、香港を拠点にするレコール アジアパシフィック ジュエリーと宝飾芸術の学校が開校5周年を迎えた。それを記念し、「赤銅:武士の装飾品からジュエリーまで」と題して、新たなキュレーションによる展覧会を4月13日まで開催中。

本展でフォーカスする赤銅(しゃくどう)は、銅94%、金4%から成る合金で、日本において伝統的に武士の装飾品(鍔、目貫、小柄など)に用いられてきた。レコール ジュエリーと宝飾芸術の学校は、これまであまり取り上げられてこなかった赤銅をテーマとする展覧会を通じて、その技法、用途、魅惑的な歴史に光を当てる。
見どころは、19世紀後期に日本で作られた江戸時代の日本の情景が描かれた、赤銅のパーツをあしらったヨーロッパのジュエリー36点。これらのジュエリーはすべてひとつのプライベートコレクションからの出展品で、今回初めて一般公開される。

赤銅の技術は日本だけのものではなく、ほかの文化や文明にも見られ、古代ギリシャの叙事詩『イーリアス』などの古典でも言及されているが、武士の装飾からヨーロッパで19世紀後期にジュエリーへと変貌していったのは、鎖国と廃藩置県による武士の世の終焉、顧客を失った金工師たちが明治政府の輸出政策に後押しされ、ヨーロッパの嗜好に合わせた作品へと切り替えたという歴史的背景がある。
西欧のジュエラーたちが、金、銀、銅の鮮やかな色彩を操る日本の卓越した職人技を目にしたのは、1867年のパリ万国博覧会といわれている。彼らは新味を求めて、ロンドン、パリ、ニューヨークに進出した日本の商人から赤銅の品を購入し、ヨーロッパの装飾に取り込んだのだ。
時代を象徴する装飾品としての価値はもちろん、緻密に表現された当時の日本の風景も好奇心を大いに刺激する。3つのセクションに分かれた会場で、赤銅の知られざるノウハウを探る旅、その興味深い歴史をひもとく旅、海外からの影響が伝統的な世界に与えた効果を見出す旅を楽しんで。



会期:〜2025年4月13日(日)
会場:レコール アジア パシフィック ジュエリーと宝飾芸術の学校
510A,5F, K11 MUSEA, Hong Kong
開)13:00〜19:00
入場無料
https://www.lecolevancleefarpels.com/hk/en/exhibition/
text: Natsuko Kadokura