春休みに行きたい、美術展4選。

Culture 2025.03.21

物質と精神を豊かにしてきた「本当の色」。

『カラーズ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ』

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デジタルデバイスの画面を通して「仮想の色」に慣れつつある現代、物質と精神の豊かさをもたらしてきた「本当の色」を存分に体験したい展覧会。近代から現代までの美術家たちが獲得してきた「色彩」とその表現に注目し、色彩論や色を表現する素材との関係に触れながら、色彩の役割についてあらためて考察する。チューブ入りの油絵具を駆使した色彩表現によって視覚世界の可能性を追求した19世紀の印象派や新印象派から、20世紀のフォービスムや抽象絵画、そして色彩の影響力によって観る者の身体感覚を刺激する現代の作品にいたる色彩の歴史を読み直す。目にも彩なる色感の妙に唸らされた後は、展示の最後を飾る草間彌生によるネオンカラーの迷宮に身体ごとダイブすべし。

『カラーズ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ』
会期:開催中~5/18
会場:ポーラ美術館 展示室1、2、3、アトリウム ギャラリー
0460-84-2111
営)9:00~16:30 最終入場
休)会期中無休
料)一般¥2,200
https://www.polamuseum.or.jp/

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ふたつの土地の経験と思考から生まれる表現。

『今津景 タナ・アイル』

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2017年インドネシアのバンドンに拠点を移したアーティスト、今津景の初の大規模個展。彼女が現在生活するインドネシアと自身のルーツである日本、ふたつの土地での経験と思考にもとづく作品群を発表する。インターネットやデジタルアーカイブといったメディアから採取した画像をモチーフとする絵画には、インドネシア移住後に経験した事柄、オランダと日本の支配下にあったインドネシアの歴史や神話、近年の都市開発や環境問題にまつわるイメージなどが配置される。アプリケーションで加工を施しながら構成した下図をもとに、大型キャンバスに油彩で描かれたそれらの作品は、膨大なイメージや情報が彼女の身体を通過することで生み出される独自のダイナミックな表現が圧倒的だ。

『今津景 タナ・アイル』
会期:開催中~3/23
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
050-5541-8600(ハローダイヤル)
営)11:00~18:30最終入場
休)月、2/9、25
料)一般¥1,400
https://www.operacity.jp/ag/

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美術館を貫く、ただひとつのインスタレーション。

『玉山拓郎:FLOOR』

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絵画を出発点に、立体の造形物や光、映像、音を組み合わせたコンセプチュアルかつ洗練されたインスタレーションを展開し、いま最も注目を集める若手作家のひとりである玉山拓郎。一見デジタル絵画的な空間のようだが、あくまで現実の空間とありのままに存在する物質に注目し、生身の身体と視覚で受け止める体感を重視してきた。2年かけてプランを練り上げた本展で展示される作品はただひとつのインスタレーションのみ。特徴的な展示空間に、建築とも構造物とも、あるいは立体作品や彫刻ともつかない巨大な物体を貫入させる。光の移ろいにより刻々と変化する展示室にさまざまなかたちで現れる空間と時間の中、何かを体験することをあらためて見つめ直す意識を持つことだろう。

『玉山拓郎:FLOOR』
会期:開催中~5/18
会場:豊田市美術館
0565-34-6610
営)10:00~17:00最終入場
休)月 
※2/24、4/28、5/5は開館
料)一般¥1,200
https://www.museum.toyota.aichi.jp/

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普遍性に揺さぶりをかけ次元を超える表現。

『雨宮庸介展|まだ溶けてないほうのワタリウム美術館』

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溶けかけたりんごの彫刻や、観客を別世界に引き込むレクチャーパフォーマンス、西暦3314年まで6名の人が小さな石を5年ごとに引き継いでいく「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」など、日常の事象に対しわずかなズレを重ねることで人間や世界の普遍性に揺さぶりをかけ、日常の地続きから次元を超えていくようなスケールの表現が高く評価を受けてきた雨宮。本展では最新VR作品を中心に、最初期からの代表作を一堂に体験できる。これまで語られることのなかった「雨宮がなぜ溶けたりんごを作っているのか=普遍性2.0について」を説明したビデオ作品も展示され、作家の視点を通して観客もこの世界に思いを馳せ、自身の場所に立ち戻る体験になりそうだ。

『雨宮庸介展|まだ溶けてないほうのワタリウム美術館』
会期:開催中~3/30
会場:ワタリウム美術館
03-3402-3001
営)11:00~19:00
休)月
※2/24は開館
料)一般¥1,500
http://www.watarium.co.jp/

*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

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