現代音響芸術集団サウンドウォーク・コレクティヴとパティ・スミスによるエキシビションが開催中。
Culture 2025.05.02
伝説の詩人パティ・スミスが9年ぶりに来日を果たし、現代音響芸術集団サウンドウォーク・コレクティヴとの最新プロジェクト「コレスポンデンス」のパフォーマンスを東京と京都で行う。本作品は、さまざまな地理や歴史、自然環境を横断する作品として、パフォーマンスとエキシビションの2形式で発表し、公演は5月3日で終了するが、エキシビションは6月29日まで東京都現代美術館にて開催中。

「コレスポンデンス」はパティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴによる10年以上におよぶ協働プロジェクト。彼らの創造的な共同制作では、世界各地でのライブパフォーマンス、展覧会、上映、詩の朗読会、ワークショップと多岐にわたる形式で作品を発表してきた。最近では2022年にパリのポンピドゥー・センターで展覧会「エヴィデンス」を開催。

アジア初開催となる今回のパフォーマンスは、パティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴのステファン・クラスニアンスキーが10年にわたり交わしてきた"対話"から生まれた作品。現在進行中で絶えず進化し続けるこのコラボレーションプロジェクトは、さまざまな土地の「音の記憶」を呼び起こし、芸術家や革命家、そして気候変動の継続的な影響の足跡を体現している。ステファンが詩的な霊感や歴史的な重要性をもつ土地を訪れ、フィールドレコーディングによって「音の記憶」を採集し、パティがその録音との親密な対話を重ねて詩を書き下ろし、さらにそのサウンドトラックに合わせてサウンドウォーク・コレクティヴが映像を編集する。こうした"往復書簡(=コレスポンデンス)"によって生まれたのが、本エキシビション
/パフォーマンスの根幹を成す8つの映像作品。

エキシビションではこれらの映像が本会場に合わせて構成されたオーディオビジュアル・インスタレーションとして展示され、展示空間全体をサウンドウォーク・コレクティヴのフィールドレコーディングとサウンドデザイン、パティ・スミスの声で包み込み、訪れた人を合計約2時間の没入型体験へと誘う。いま、地球が抱える課題を探究するとともに、アンドレイ・タルコフスキー、ジャン=リュック・ゴダール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ピョートル・クロポトキンといった芸術家や革命家を参照しながら、人間と自然の関係やアーティストの役割、人間の本質について問いかけるのだ。



会期:〜2025年6月29日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F
開)10:00〜18:00 *入場は閉館の30分前まで。
観覧料:一般¥1,800、ブックレット付き¥3,000、小学生以下無料
休)月(5月5日は開館)、5月7日(水)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOTPlus-correspondences/
text: Natsuko Kadokura