まもなく上演!東京バレエ団『くるみ割り人形』、沖香菜子と宮川新大にインタビュー。
Culture 2025.12.09
クリスマスの夜に、少女マーシャが体験する一晩の冒険を描いたバレエ『くるみ割り人形』。今年も熱烈なアンコールを受け、東京バレエ団による公演が12月11日より開催される。5組の主演キャストのうち、初日にペアを組む沖香菜子、宮川新大のふたりにインタビュー。

『くるみ割り人形』でペアを組む宮川新大と沖香菜子。photography: Ayumi Yamazaki
(宮川)ブルゾン ¥49,500、Tシャツ ¥13,200、パンツ ¥55,000 (沖)ブラウス ¥47,300、スカート ¥49,500/以上ポール・スチュアート
―新版『くるみ割り人形』でおふたりがパートナーとなるのは初ですね。本番に向け、どんな準備をしていますか?
宮川新大(以下、宮川):今回は11月の『ドン・キホーテ』から『くるみ割り人形』まであまり時間がなく、かつキャストも多いためにかなりタイトなスケジュールでした。だからこそ、いつも以上に密度の濃いリハーサルになるよう、集中して取り組んでいます。とても楽しい作品ですが、王子役にとっては技術的に難しい大きなリフトが多く、体力的にも非常にきつい作品です(笑)。皆さんにクリスマスの雰囲気を楽しんでいただくためにも、僕ら自身も気持ちを盛り立てているところです。
沖香菜子(以下、沖):新大くんとは何度もペアを組ませていただいていますが、とても信頼できる頼もしいパートナーなので、私たちのペアならではの雰囲気を出せるようにと心がけています。技術的には本当に難しい作品ですが、そこばかりにかまけてしまうと、お客様にただテクニックを見せるだけになってしまいますので、劇場に来てくださった皆様を夢にあふれた作品の世界へご案内できるよう、表現の面もしっかりと創り上げていかなければと試行錯誤を重ねています。

photography: Ayumi Yamazaki
―お互いについて、ダンサーとして尊敬しているところはどんな点ですか?
宮川:まずはものすごく練習熱心なところ! 僕はいつもそんな沖ちゃんに引っ張ってもらってます(笑)。そして舞台上での華やかな存在感は理想のバレリーナの姿だなあと。そんな沖ちゃんをすぐ近くで観られるのはパートナーの特権ですね(笑)。
沖:いやいや、私こそいつも練習に付き合ってもらって感謝しかないです(笑)。新大くんは本当に理想的なスタイルに綺麗なつま先をしていて、テクニックもすごいし、私もいつもクラスレッスンの時に新大くんの踊りを見て参考にさせていただいてます。バレエは持って生まれた身体条件に左右されるところも大きいですが、それをここまで磨き上げ、さらに深化している新大くんには尊敬しかありません。

photography: Shoko Matsuhashi

photography: Kiyonori Hasegawa
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―斎藤友佳理団長が演出、振付した東京バレエ団オリジナル版は、2019年の初演以来多くの観客に支持されています。その魅力はどんなところにあると思いますか?
宮川:まずは装置と衣裳がとてもキレイなので皆さんにぜひご注目いただきたいです。僕たち出演者も初演の際、初めて劇場で背景幕を見た時には歓声が起こったほど。それに1幕でドロッセルマイヤーや2幕の各国の踊り(ディヴェルティスマン)があちこちから登場する仕掛けなど、見ていて飽きない工夫が仕掛けられているので、目がいくつあっても足りないくらいです。
沖:あまりネタバレになるようなことはお話できないのですが、マーシャのスリッパを子ネズミが持ち去ってしまい、それが物語の伏線になっていたりと、細かな設定があちこちに散りばめられていて、それがスピーディーな場面転換とダンサーたちの踊りにマッチしているのはこのヴァージョンの魅力のひとつだと思います。

photography: Kiyonori Hasegawa

photography: Kiyonori Hasegawa
―今年ならではの注目ポイントは?
沖:今回、5組の主演キャストがいるのですが、脇を固めるソリストの組み合わせも毎日違うので見逃せません。終幕で踊られる主役のパ・ド・ドゥも、どのペアも少しずつ振り付けが違っていて、それぞれのペアの魅力がいちばん引き立つようにと団長の(斎藤)友佳理さんと創り上げています。それに演技の部分は皆その時々の役の感情で演じていますので、ひとつとして同じ舞台にはありません。まさに舞台芸術ならではの「生」の魅力を楽しんでいただけたら。
宮川:毎年上演している作品だからこそ、いつも来てくださるお客様に「今年も違うものをお見せしよう!」という意気込みで僕たち出演者も舞台に取り組んでいます。見どころにあふれた作品なので、ご自身だけの「お気に入り」ポイントを探すだけでも楽しんでいただけるのではないでしょうか? それからこの時期ならでは、ロビーではクリスマスマーケットなどのイベントも開催されていて、楽しめるスポットがたくさんあります。

photography: Koujiro Yoshikawa
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―おふたりの子どもの頃のクリスマスにまつわる思い出を教えてください。
沖:前にもふたりで話したことがあるんですけど、子どもの頃、欲しいプレゼントをもらった記憶はないですね(笑)。なぜかサンタさんが持ってきてくれるのは私が願っていたものとは違うものばかりでした。あとは留学していた時はクリスマスの時期に生徒だけで『くるみ割り人形』の抜粋でツアーを回っていたりと、私にとってクリスマスと『くるみ割り人形』はセットの思い出になっています。
宮川:僕も留学していていた時は、クリスマスは寮で過ごしていました。いつもより少〜しだけ食事が豪華になっていましたね。それよりもお正月のお年玉の方が楽しみだったかもしれないです(笑)。

photography: Ayumi Yamazaki
―2026年に向けての抱負を教えてください。
沖:いまの私にしか踊れない、いまの私だからこそ踊れる......いままで私の踊りを観てくださっていた方にも新しい私をお見せできる、そんな舞台をお届けできたらいいなと思っています。
宮川:30代になり、ダンサーとしても人間としても環境や考え方にもいろいろな変化がありました。その変化を来年は良い形でそのまま舞台に出していきたいです。
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/nutcracker/
【東京公演】
12月11日(木)19:00(マーシャ:沖香菜子、くるみ割り王子:宮川新大)
12月12日(金)12:30(マーシャ:足立真里亜、くるみ割り王子:二山治雄)
12月12日(金)18:30(マーシャ:秋山瑛、くるみ割り王子:大塚卓)
12月13日(土)12:30(マーシャ:金子仁美、くるみ割り王子:池本祥真)
12月13日(土)17:30(マーシャ:涌田美紀、くるみ割り王子:生方隆之介)
12月14日(日)14:00(マーシャ:沖香菜子、くるみ割り王子:宮川新大)
会場:東京文化会館
入場料金:S席 ¥15,000 A席 ¥12,000 B席 ¥9,000 C席 ¥7,000 D席 ¥5,000 E席¥3,000
【堺公演】
12月24日(水)18:30(マーシャ:足立真里亜、くるみ割り王子:二山治雄)
会場:フェニーチェ堺 大ホール
入場料金:S席 ¥12,000 A席 ¥10,000 B席 ¥7,000 C席 ¥5,000 D席 ¥3,000
【西宮公演】
12月26日(金)17:30(マーシャ:秋山瑛、くるみ割り王子:大塚卓)
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
入場料金:S席 ¥12,500 A席 ¥10,000 B席 ¥7,000 C席 ¥5,000 D席 ¥3,000
【松江公演】
12月28日(日)15:00(マーシャ:金子仁美、くるみ割り王子:池本祥真)
会場:島根県民会館 大ホール
入場料金:S席 ¥9,000 A席 ¥7,500 B席 ¥6,000 C席 ¥3,000
ポール・スチュアート(ポール・スチュアート青山本店)
03-6384-5763





