丸刈り、マタニティヌード、セクシーな水着姿......デミ・ムーアがハリウッドに挑戦してきた軌跡とは?
Celebrity 2025.01.25
デミ・ムーアは『サブスタンス』でオスカーの最優秀女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞も受賞した。長年過小評価されてきた女優の軌跡とは。
デミ・ムーアは、2025年1月5日にビバリーヒルズで開催されたゴールデングローブ賞で最優秀女優賞を受賞した。photography: Ruymen Jim/UPI/ABACA
これはまさにハリウッドならではの物語。そして、私はその物語に魅了された。なぜなら、ここには良いシナリオに欠かせない要素がすべて詰まっているからだ。スキャンダル、愛、失敗、そして苦境を乗り越えた後に訪れる報酬......。デミ・ムーアは、ゴールデングローブ賞を受賞し、さらにはオスカーにノミネートされる可能性もある。1月5日、彼女はアルマーニのオートクチュールドレスをまとって、歴史に名を刻んだ。長いキャリアを歩んできた彼女にとって、これはまさに復讐のような瞬間だ。私の目には、彼女の才能と実績が長年評価されてこなかったように思える。彼女自身もスピーチの中で、「45年以上この仕事をしてきて、やっと女優として何かを手に入れた」と語り、その喜びは溢れていた。また、Instagramに投稿された動画では、娘たちがテレビの前で喜びを爆発させており、その姿には感動が詰まっていた。デミ・ムーアの復活は、私を含む多くの世代のファンにとって、ただの成功ではなく、希望と誇りを感じさせる出来事だったのだ。
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デミ・ムーア。彼女は、その外見やメディアでの露出によって、過度にイメージを作られてしまった複雑な一面を持つ女優のひとりだと思う。1993年の『幸福の条件』で見せた彼女の輝きは、まさに圧倒的だった。当時、私は90年代の少女として、メグ・ライアンと同じように、デミもロマンチックコメディのスターの座を巡って戦っているように感じていた。その後、ジュリア・ロバーツが出演する映画『ノッティングヒルの恋人』で、主人公が女優アナ・スコット(ジュリア・ロバート)を『ゴースト/ニューヨークの幻』のデミ・ムーアと勘違いをするシーンがあった。あの映画は確かに彼女の象徴的な作品だが、彼女のキャリアを語るにはそれだけでは足りない。
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すぐに私は、デミ・ムーアが必ずしもルールに従うタイプではないことに気づいた。特に、ハリウッドのような世界では、自分のやりたいように行動するのは必ずしも歓迎されないものだ。しかも、女性であればなおさらだ。
例えば、デミ・ムーアは『ゴースト/ニューヨークの幻』の撮影前夜にロングヘアを切るという大胆な決断をした。これに驚いた監督のジェリー・ザッカーは困惑したものの、その結果、映画史に残るアイコニックなヘアスタイルが誕生した。私もその髪型を試みたことがあるのだが、うまくはいかなかった。その後、彼女は型破りな役柄に挑戦し、リスクを取った。『素顔のままで』(1996年)では裸を披露し、『G.I.ジェーン』(1997年)では頭を丸刈りにした......。これらの挑戦は、必ずしも実を結ばなかった。彼女の演技に対して批判が殺到したことを思い出すし、「G.I.カットに挑戦する勇気がある」とその選択に注目する声もあった。結局、彼女のキャリアはほんの些細なことで左右されていた。
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特に当時の彼女のパートナー、ブルース・ウィリスがその時代の真のスターでありアイコンであることを考えると、アクション映画はむしろ彼の得意分野だった。彼は爆破シーンや大ヒット映画で大忙し、銃を持ちつつユーモアもこなす。その間、デミ・ムーアはというと、社会的に求められる役割、つまり母親としての役割を全力で努めていた。引退状態で、3人の娘、フランスの観客には奇妙に思える名前を持つルーマー(1988年生まれ)、スカウト・ラルー(1991年生まれ)、タルーラ(1994年生まれ)を育てた。
それでも、彼女は再び常識を打破する。1991年8月、妊娠7ヶ月の裸でアニー・リーボヴィッツのカメラの前に立ち、話題を呼んだ。雑誌「ヴァニティ・フェア」の表紙に掲載されたこの写真は、一部の販売店で撤去される事態に。アメリカ中がショックを受け、私の祖父母も驚いた。しかし、デミ・ムーアは当時タブー視されていた妊婦の身体を解放したのだ。この力強い母性を表現した写真は前例を作り、その後、何度も模倣されることになった。ここでも、彼女には感謝するべきだったのだ。
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砂漠のような時期を経て、離婚を経て、彼女は2000年代初頭に新しい自分を取り戻す。その時、彼女は16歳年下の俳優、アシュトン・カッチャーとの交際を始め、2005年に結婚した。アシュトン・カッチャーは、私たちが高校時代、楽しみにしていた「ザット'70sショー」の俳優だった。「彼女は年上女性として、自分の魅力をしっかりと表現するカウガールのような存在で、若いイケメンと一緒にいることを堂々と楽しんでいた。成熟した自由な女性として自己主張しているけれど、政治的な主張はなく、常に誠実に行動してきた」と分析するのは、ネリー・ロディの消費者トレンド・インサイトディレクターであるヴィンセント・グレゴワールだ。彼はさらにこう続ける。「彼女には一種の本物さがある。彼女が行動するとき、心から、腹の底からやっていることが感じられる。計算じゃなくて、純粋にやっている」。メディアは彼女が年を取りすぎだと批判するが、彼女はその反論として、圧倒的な魅力を持つ武器である自分の完璧なボディを披露した。映画『チャーリーズ・エンジェル』のリメイクで、彼女はドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、キャメロン・ディアスよりも若く見え、まるで水から上がったヴィーナスのように登場し、まるで整形で再生されたかのように完璧な姿を見せつけた。
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しかし、世間はまだ準備ができていない。女性の身体に対するタブーや矛盾に囚われたままだ。ハリウッドは女性が年齢を重ねることを受け入れていないが、同時に時間に逆らって生きる女性を容認しない。デミ・ムーアは膝の見た目を変えたり、胸を豊かにしたりしたと言われている。そして、彼女のロマンスも一度は成功したように思えたものの、結局は2011年11月に流産とともに、6年間にわたるメディアに注目された結婚生活が終わった。それに加えてアルコール依存症の噂も立った。
その一方で、デミ・ムーアは映画界で再起を果たせず、テレビシリーズ「Empire」への出演を試みた。そんな中、2018年にInstagramをスタートし、そこが新しい表現の場となり、再び私たちの記憶に登場する。セレブたちは自分たちのプライバシーを主張する一方で、彼女は遠慮することなく自分をさらけ出した。新型コロナによるパンデミックの際には、元夫やその新しい妻をも含め、家族全員を集めて、再婚家庭というものに自由でクールな新しい形を取り入れた。
彼女が再び注目を浴びるきっかけとなったのは、ファッションの世界での活躍だった。2021年1月、キム・ジョーンズが彼女をフェンディのファッションショーに初めて招待した際、再び注目を集めた。しかし、批評家たちは彼女の登場よりも、彼女が施した整形手術に焦点を当て、議論を呼んだ。あるいは、メイクの問題ではないかとも言われたが、この議論は広がった。彼女の同時代の女優たちが年齢を重ねることを受け入れ、スクリーンや写真でしわを堂々と見せる権利を主張している中、彼女は相変わらずSNSで超セクシーなビキニ姿を披露し続けている。
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ファッションショーの最前列やレッドカーペットでは、彼女はもうチワワのピラフを離さず、超ロングヘアを披露している。再び、彼女は綱渡りのような立ち位置を取り、パリス・ヒルトン風のセクシーな年齢不詳スタイルで少し滑稽に見えることも。正直、私はそれについてどう考えていいのか分からない。
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しかし、彼女に対して無関心でいるのは難しい。なぜなら、彼女は日常生活のほぼすべてをシェアしているから。小さな幸せ(彼女が祖母になったこと)から、大きな悲劇(ブルース・ウィリスが失語症を患っていること)まで、家族とともに前向きに立ち向かっている。そんな姿勢で、デミはますます親しみを感じさせる。「彼女は柔らかく、穏やかで、思いやりのある現代的な生き方をしているのが感じられる。新しい生き方を主張することなく、社会の枠組みを動かしている。彼女は他人の目を気にせず、自分のために物事をしている」と、トレンドの専門家は指摘している。
そして、彼女が長い間囚われていた評判を払拭するかのように、デミ・ムーアは『サブスタンス』での役を引き受ける。この映画は、老いを避けるためなら何でもする女性の物語で、カンヌで強い印象を与え、彼女にとっては輝かしい瞬間となった。私は彼女がこの役に完璧だと思う。「実際、他にこの役をうまく演じられる女優は思いつかない」とヴィンセント・グレゴワールは言う。映画監督コラリー・ファルジャが手がけたこの映画では、デミ・ムーアは「暴露しながらも同時に脆弱さを見せる。彼女は被害者でありながらも、同時に強い女性でもある」。まるで、現実の世界で常に非難されてきたことをスクリーンで受け入れることが、ようやく彼女に「ゴールデン・チケット」を与えたかのようだ。デミ・ムーアのように常に枠にとらわれず自由に生きてきた人物でも、最終的にはハリウッドはそのキャリアを再評価し、成功に導いてくれているようだ。
From madameFIGARO.fr
text: Justine Feutry (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi