モナコのアルベール2世大公、在位20年を振り返る。

Celebrity 2025.04.12

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数々の写真で振り返る - 2005年の即位から今日に至るまで、アルベール2世公はモナコ公室の伝統に深く忠実であり続けてきた。即位20周年を迎えるにあたり、伝統を守りながら、時代の変化にも寄り添ってきた謙虚な君主の歩みを振り返る。

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一時は不仲や距離を噂されたふたりだが、現在では穏やかで支え合う関係へと変化した。公の場にも家族そろって登場することが増えている。67歳となった今、アルベール2世は幸せそうな姿を見せている。モナコで行われたル・バル・ド・ラ・ローズで。(2025年3月29日)photography: Getty Images

2005年4月6日、アルベール2世は父レーニエ3世の後を継ぎ、モナコの君主として即位した。レーニエ3世がこの世を去ったのは、そのわずか2日前のことだった。それから20年が経った今も、常に慎重に、控えめながらもしっかりとした姿勢を貫いている。運命を受け入れた彼は、驚くほど一貫した姿勢で責任を果たし、決して揺るがない信念を持ち続けてきた。伝統を守りつつもそれに縛られず、モナコ公室の精神を保ちながらも、モナコを21世紀の時代へと確実に導いてきたのである。

アメリカで学んだアルベール2世は、ハリウッドスターでモナコのプリンセスとなった母グレース・ケリーの影響を受けて育ったが、モナコを近代化した父レーニエ3世による厳格なしつけの下でも育った。マサチューセッツ州のアマースト大学では、政治学、経済学、音楽を学んだ。また、外交術も学び始めた。並行して、競技精神を養い、サッカー、水泳、柔道などの複数のスポーツに取り組み、氷上の狭いコースを高速で滑るボブスレーにも挑戦した。彼はモナコ代表として5回の冬季オリンピックに出場した。

1980年から1990年代にかけて、アルベール2世は多くの場所を訪れた。父親の代わりとして活動し、さまざまな経験を積みながら学び、時には注目を集めることもあった。クラウディア・シファーと一緒に黒いスーツを着て現れたり、ナオミ・キャンベルと一緒に夜のイベントに姿を見せたりした。派手に振る舞うことはなかったが、それでも社交界の一端を経験した。アルベール2世は、現在のプリンスとしての地位に至る前に、権力や社交界の裏側を長い間見てきたのである。

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冒険家のプリンス

即位以降、アルベール2世は落ち着いた雰囲気を保ってきた。派手な演出や目立つ行動はなく、正確で実行力のある行動を取ってきた。こうして彼はモナコ公国の外交を強化し、環境問題にも積極的に取り組んできた。2006年に設立されたアルベール2世財団は、60カ国以上でプロジェクトを支援し、海洋生態系を守り、気候変動に警鐘を鳴らしている。彼は北極に足を踏み入れた初めての君主であり、単なる写真撮影のためではなく、明確な目的があっての訪問であった。

私生活もまた、控えめな形で進んできた。唯一、2011年に行われた元南アフリカの水泳選手のシャルレーヌ・ウィットストックとの結婚式は華やかでメディアを招いて行われ、広く報じられた。そして、2014年に双子のガブリエラ公女とジャック公子が誕生したことは、彼にとってより個人的な転機を迎える出来事となった。コロナ禍でシャルレーヌ公妃が長期間姿を見せなかったことや、離婚の噂が絶え間なくあったものの、近年では彼女は以前にも増して夫とともにより多くの時間を過ごし、積極的に活動している。現在、ふたりは穏やかな関係を築き、これまで以上に絆が強まっているようだ。

From madameFIGARO.fr

1958年3月14日、モナコ公室のアルベール2世は、レーニエ3世とアメリカ人女優グレース・ケリーの第2子として誕生した。グレース・ケリーとアルベール2世。photography: Getty Images
父レーニエ3世と母グレース・ケリーの間に生まれた彼は、大きな運命を背負っていた。姉で長女のカロリーヌ公女と末っ子の妹ステファニー公女と。(モナコ、1976年7月7日)photography: Getty Images
水泳、スキー、サッカーに優れた才能を発揮し、若い頃から競技に情熱を注いだ。(モナコ、1981年)photography: Getty Images
19歳で柔道の黒帯を取得。(モナコ、1970年代後半)photography: Getty Images
1981年、マサチューセッツ州のアマースト大学で政治学の学位を取得。在学中はボート競技や陸上競技にも取り組んだ。米アマースト大学で。photography: Getty Images
国際的なアイコンである母グレースとともに、若くしてメディアの注目を浴びるようになった。この写真の数か月後、母親は交通事故により52歳で他界した。(1982年4月5日、モナコ・テニストーナメント)photography: Getty Images
家族は公の場に登場し、常にモナコ国民との深い絆を育んできた。(モナコ、1980年代後半)photography: Getty Images
1988年から2002年まで、モナコ代表として5回の冬季オリンピックにボブスレー競技の選手として出場した。非常に厳しいこの競技に情熱を注いだ。オリンピックに出場するアルベール2世。photography: Getty Images
ル・マン24時間レースでフランソワ・フィヨン元仏首相と。(フランス、1992年6月)photography: Getty Images
一方で、チャリティガラやファッションウィーク、映画祭など、華やかなイベントにもたびたび登場。ナオミ・キャンベルとともに。(フランス・サントロペ、2002年)photography: Getty Images
それ以前には、ホワイトハウスや国連で研修を受け、オブザーバーとして国際政治の現場を経験した。(モナコ・モンテカルロ、1983年12月)photography: Getty Images
1990年代にはエイズ撲滅、子どもの保護、絶滅危惧種の保護など、多くの現場で積極的に活動した。(モナコ大公宮殿、1983年12月)photography: Getty Images
ブラジルのリオデジャネイロで行われた1992年の地球サミットに出席し、治世前から地球環境保護を訴える数少ない王族として国際舞台に登場した。その後も国外での取り組みを積極的に展開。(南アフリカ、2002年9月)photography: Getty Images
アルベール2世は、その2日後、モナコの君主として正式に即位。グリマルディ家第14代の当主として、新たな時代の幕を開けた。(モナコ)photography: Getty Images
56年間にわたるレーニエ3世の治世を経て、モナコは新たな時代へ。レーニエ公の葬儀。(2005年4月)photography: Pool BENAINOUS/LEGRAND / Gamma-Rapho via Getty Images
2005年7月12日、正式な即位式が行われた。伝統と現代性が融合した厳粛なセレモニーだった。(モナコ、2005年7月)photography: Getty Images
2000年に南アフリカ人の競泳選手シャルレーヌ・ウィットストックと出会い、数年後に交際が公になった。スポーツイベントに登場したアルベール2世とシャルレーヌ。(2006年)photography: Getty Images
2010年、ふたりは婚約を発表。モナコ公室のロマンティックなイメージを再び世に蘇らせた。2010年6月19日、スウェーデン・ストックホルムにて行われたヴィクトリア王女とダニエル・ベストリングの結婚式で。photography: Getty Images
2011年7月1日と2日、モナコは2日間にわたって豪華な結婚式を祝福した。結婚式後、王宮を出るアルベール2世とシャルレーヌ公妃。photography: Mark Cuthbert / UK Press via Getty Images
2014年12月10日、双子のガブリエラ公女とジャック公子が誕生。ジャック公子が公位継承者となる。王宮のバルコニーで。photography: Corbis via Getty Images
アルベール2世とシャルレーヌ公妃は、私生活と公務のバランスをとりながら、子どもたちの露出を控えめにしている。(モナコの聖ヨハネ祭、2020年6月23日)photography: Getty Images
アルベール2世は、母グレース・ケリーの遺志を継ぎ、1954年に創設された「ル・バル・ド・ラ・ローズ」などの伝統行事や慈善活動も継続している。(モンテカルロ、2016年3月19日)第62回ル・バル・ド・ラ・ローズで、カロリーヌ公女、カール・ラガーフェルドとともに。photography: Getty Images
ガブリエラ公女とジャック公子を伴い、アルベール2世は家庭的でありながら規律ある教育を大切にしている。(モナコ王宮の中庭、2024年11月19日)photography: Stephane Cardinale - Corbis / Corbis via Getty Images
健康上の理由で長らく公の場から姿を消していたシャルレーヌ公妃は、アルベール2世の隣に立つ姿で華やかに復帰した。(クリスマスツリーの式典、2024年12月18日)ジャック公子、ガブリエラ公女、シャルレーヌ公妃、アルベール2世、カミーユ・ゴットリーブ、ステファニー公女とともに。photography: Getty Images
一時は不仲や距離を噂されたふたりだが、現在では穏やかで支え合う関係へと変化した。公の場にも家族そろって登場することが増えている。67歳となった今、アルベール2世は幸せそうな姿を見せている。モナコで行われたル・バル・ド・ラ・ローズで。(2025年3月29日)photography: Getty Images

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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