チャールズ3世によって放置されたダイアナ妃の幼少期の家...。地域住民を憤慨させる「惨状」とは?

Celebrity 2025.05.13

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ダイアナ妃が14歳まで育った邸宅、パークハウスが荒れ放題なのを知ったイギリス国民から非難の声が起きている。

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ダイアナ妃ゆかりの邸宅、パークハウス。チャールズ3世がここを放置していることが疑問視されている。photography: ABACA

チャールズ3世の壮麗な別邸、サンドリンガム・ハウスが完璧に維持されているのと対照的に、すぐ近くにあるパークハウスの邸宅は荒れ果てている。ヴィクトリア様式建築のカントリーハウスは「ハートのプリンセス」と慕われたダイアナ妃が出生から14歳までを過ごした場所だ。だが今や見る影もない。芝生には雑草がはびこり、ペンキは剥げ、レンガは汚れ、付属する施設は壊れたまま。英「ミラー」紙の独占記事によって惨状が明らかになり、憤りの声が上がった。

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国王が所有するサンドリンガムの敷地内にあるパークハウスはかつての面影もない。photography: ABACA

建物の変遷

ダイアナ妃は1961年にパークハウスで生まれた。14歳で父スペンサー伯爵の家が代々所有するノーサンプトンの本邸、オルソープへ家族で引っ越すまでここで暮らした。寝室が16室ある大邸宅はダイアナ妃の両親がエリザベス女王から借りたもので、その後、慈善団体のレナード・チェシャー協会に預けられ、障害者のためのショートステイ施設となった。しかしながらコロナ禍と物価の高騰で資金不足に陥った協会は2021年5月に建物を国王へ返還せざるを得なかった。以来、パークハウスは無人のまま放置されている。

「建物の現状に心が痛みます。近隣住民が知ったらショックを受けるでしょう。ただ、道路から見えないので、建物がどこにあることを知らない人がほとんどなんです」と隣村のスネッティシャムに住む38歳のセリナ・レインズはミラー紙に語った。

ひどい有様

建物はひどい状態だ。物置の屋根に穴が空き、窓ガラスが割れている。かつてダイアナ妃が弟や姉たちと遊んでいた庭の風景も台無しだ。ダイアナ妃がよく泳いでいたプールは金属の防犯フェンスに囲まれて立ち入ることすらできない。ここから500メートルも離れていないところにあるサンドリンガム・ハウスの壮麗さとは対照的な、荒涼とした光景だ。

地元民の多くは、パークハウスの放置をダイアナ妃の思い出への冒とくと感じている。「敬意がないと感じます。昔の姿に修復すべきではないでしょうか」と憤慨するのは匿名希望のウェートレスだ。ショートステイ施設だった頃の元従業員たちも同意見だ。施設閉鎖までここで障害者の世話をしていた作業療法士は働いていた当時を懐かしむ。「素晴らしい場所でした。でも今は嘆かわしい状態です。当時、設備は新しく、なにもかもが素晴らしく、利用希望者のウェイティングリストまであったのに。元の状態に戻ればいいと思いますが、現在の健康制度では無理でしょうね」

疑問視される優先順位

それにしても今とりわけ疑問視されているのは、パークハウスが放置されている一方で、チャールズ3世が同じサンドリンガムの敷地内で複数のプロジェクトに巨額投資をおこなっていることだ。昨年6月、国王はサファリテント15張りにオートキャンプ場を備えた10ヘクタールの豪華グランピング施設の開発許可を得た。その数カ月後の11月には、自らのエコロジー信念に従い、2,000枚のソーラーパネルを設置して所有地の二酸化炭素排出量抑制に努めた。どちらも立派なプロジェクトだが、計画の優先順位については疑問が残る。「チャールズ国王はキャンプ施設に投資する金はあっても、ダイアナ妃が育った家に投資する金はないようだ」とある地元住民は嘆いた。

パークハウスは今後どうなるのだろう。地域社会に貢献する社会福祉施設への復活を願う住民は多い。死後28年経った今も人気が衰えないダイアナ妃を追悼する場所になればいいと思う人もいる。今のところ、サンドリンガムの領地やバッキンガム宮殿からのコメントはない。

ダイアナ妃の亡霊

ダイアナ妃の思い出と密接に結びつく場所の惨状は、ダイアナ妃への愛着が今も強いこの国では衝撃的なことだ。このことが報道されたタイミングも最悪だった。ハリー王子が5月3日、BBCの取材でイギリス王室、とりわけ父チャールズ3世や兄ウィリアム皇太子との緊張した関係を語ったばかりだったからだ。王子が強調したのは、家族とイギリスに来ることができないのは警備問題のせいであり、招待されない限り帰国は無理ということだった。

さらにダイアナ妃の名前を直接出さないまま母の死にも触れた。「歴史を繰り返したくない」という言葉で母がパパラッチに追いかけられてパリのアルマ橋のトンネル事故で亡くなったことを匂わせると「同じことが起きてほしいと思っている人たちがいることを知ってぞっとした」と言葉を続けた。イギリス王室の上に今もダイアナ妃の亡霊が漂っている。

From madameFIGARO.fr

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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