ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃が引っ越しを検討中と伝えられるフォートベルヴェデーレとは。

Celebrity 2025.08.01

madamefigaro.png

ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃は、ウィンザーにあるフォート・ベルヴェデーレへの引っ越しを検討しているようだ。かつてエドワード8世が住んだことでも知られるこの歴史的建造物は、広さ的にもプライバシー保護の観点からも、ふたりの条件にピッタリなのだ。

250731-fort-belvedere-01.jpg

フォート・ベルヴェデーレの空撮写真。(ウィンザー、2004年9月24日)photography: David Goddard / Getty Images

4部屋しかないアデレード・コテージから豪華なフォート・ベルヴェデーレへ。英「デイリー・メール」紙が宮殿関係者に取材したところによると、皇太子夫妻はウィンザー・グレート・パーク(ウィンザー王立公園)内のフォート・ベルヴェデーレへ引っ越そうかと考えているらしい。「(現在の住まいの)アデレード・コテージがやや手狭になってきたので、もっと広い場所に移りたいようです。あそこはおふたりにとって理想的な住まいでしょう」と取材を受けた関係者は同紙に語った。

ウィンザー王立公園内の珠玉のネオゴシック建築

8つの大きなスイートルーム、大きなプール、テニスコート、バラ園や菜園のある24ヘクタールの庭園、2つの湖を擁するフォート・ベルヴェデーレはまさに理想の邸宅だ。1750年頃にイギリス国王ジョージ2世の末子カンバーランド公のために建てられた要塞は、1820年代に建築家ジェフリー・ワイアットヴィルによって拡張工事がおこなわれ、現在の建物の特徴であるネオゴシック様式に作り替えられた。英「サン」紙によれば1860年代にはヴィクトリア女王がここでしばしばティータイムを楽しんでいたという。

関係者たちの間では"ザ・フォート(The Fort)"と呼ばれているこの邸宅の場所もいい。仏「ポワン・ド・ヴュ」誌によれば、「ウィンザー城から車でたった17分、子どもたちが通うランブルック校から15分、イートン校からも22分」と皇太子夫妻にとってはまさに理想的。2026年にジョージ王子がイートンに進学する可能性があることを考えれば、なおさらだ。

エドワード8世の邸宅

250731-fort-belvedere-02.jpg

エドワード8世は皇太子時代、フォート・ベルヴェデーレで暮らしていた。(ウィンザー、1963年6月12日)photography: Evening Standard / Getty Images

美しいフォート・ベルヴェデーレは、イギリス王室での20世紀最大の事件と関連のある場でもある。1929年、それまで空き家だった邸宅を国王ジョージ5世は息子エドワード皇太子(後のエドワード8世)の頼みに応じて皇太子に譲渡した。サン紙によれば当時、国王は老朽化した物件を息子がなぜ欲しがるのか不審に思いつつ、承諾したそうだ。

すると独身のエドワード皇太子は巨額の資金を投じて邸宅を改修・増築し、1931年から32年にかけて、自分用の贅沢な住まいに仕立てた。各部屋に浴室を備え、セントラルヒーティングシステム、大型プール、スチームサウナも設置した。ここで皇太子は上流社会の貴族を招いて華やかなパーティーを開催した。プライベートで所有していた飛行機用の発着場もあったそうだ。やがて彼の恋人、離婚歴を持つアメリカ女性のウォリス・シンプソンも一緒に住むようになる。1936年12月10日、エリザベス女王の伯父、エドワード8世はこの邸宅の1階の執務室で退位文書に署名し、邸宅の記念ノートを手に国外へと去った。

250731-fort-belvedere-03.jpg

アメリカ女性のウォリス・シンプソンは最初の夫と離婚し、2番目の夫と離婚裁判中の身だった。彼女と結婚するためにエドワード8世はイギリスの王位を放棄。翌日にはウィンザー城からBBCでラジオ演説を行った。photography: Univeersal History Archive / Getty Images

皇太子一家の新生活

エドワード8世の退位後、フォート・ベルヴェデーレは20年間空き家となっていた。ただし第2次世界大戦中には、ロンドン中心部から避難したクラウン・ランズ委員会の拠点として使用された。現在もこの邸宅は王室の所有物としてこれまでさまざまな貴族や王室関係者に貸し出されている。そのひとりがエリザベス女王の従兄弟ジェラルド・ラッセルズで1956年に入居した。この人物は30~40室あった邸宅を8部屋の住まいに改装している。1980年代からはカナダの富豪、ガレン・ウェストンがこの邸宅を借り受け、王室との親密な関係を築いた。ウェストン家は敷地内にポロ用の厩舎を建て、妻ヒラリーの60歳の誕生日の折にはエリザベス女王やフィリップ王配、モナコのカロリーヌ公女らを招き、大きなテントの下で盛大なパーティーを開催した。ガレン・ウェストンは2021年に80歳で死去したが、その後も家族はこの邸宅に住み続けている。しかし、それも時間の問題かもしれない。ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃にとって、フォート・ベルヴェデーレへの引っ越しは、平穏な家庭生活、とりわけ「がんとの闘病」後の生活を守るための理想的な選択肢のように思えるからだ。

フォート・ベルヴェデーレはイングランドのサリー州、ウィンザー王立公園内にある。 photography: Central Press / Getty Images
1929年以降、フォート・ベルヴェデーレはエドワード皇太子(後のエドワード8世)の住まいとなった。ここは1936年に彼が国王退位宣言をした場所でもある。(ウィンザー、1963年6月12日)photography: Hulton Archive / Getty Images
エドワード8世の退位後、フォート・ベルヴェデーレは20年間空き家となった。photography: Universal History Archive / Univer / Getty Images
エリザベス女王のいとこ、ジェラルド・ラッセルズが妻のアンジェラと1956年にこの邸宅に入居。(ウィンザー、1956年4月5日)photography: Evening Standard / Getty Images
1750年頃にカンバーランド公のために建てられたフォート・ベルヴェデーレには現在、大きなプール、テニスコート、広井庭園がある。(ウィンザー、1976年7月5日)photography: Evening Standard / Getty Images
フォート・ベルヴェデーレの空撮写真。(ウィンザー、2004年9月24日)photography: David Goddard / Getty Images

From madameFIGARO.fr

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
和菓子
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.