テイラー・スウィフトからセレーナ・ゴメスまで、なぜZ世代のアイドルは皆結婚を決めたのか?

Celebrity 2025.09.06

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テイラー・スウィフトとトラビス・ケルシー、セレーナ・ゴメスとベニー・ブランコ、ゼンデイヤとトム・ホランド。これまで結婚したがらないと言われていたZ世代のアイドルたちが相次いで婚約を発表している。恋愛の形が変わっても、ロマンティックな結婚への憧れは健在なのだろうか。

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アメリカンフットボールの試合でのテイラー・スウィフトとトラビス・ケルシー。(カンザスシティ、2025年1月26日、カンザスシティ)。ブルック・サットン/Getty Images

結婚なんてもう時代遅れの制度だし、こだわっていたのはベビーブーマー世代まで。いまでは子どもが出来たり何らかの必要に迫られたりした時に、書類を整えるだけの手続きにすぎない、なんて意見もある。でも実際には結婚する人も依然として多いし、セレブだって例外ではない。最近では4組のカップルが婚約した。昨年の12月にはセレーナ・ゴメスとベニー・ブランコ、1月にゼンデイヤとトム・ホランド、6月にデュア・リパとカラム・ターナー。そして8月26日に、テイラー・スウィフトとトラビス・ケルシーが婚約を発表すると、インスタグラムでは1時間で1400万件の「いいね」と破壊的な数字を叩き出した。

婚約を公式発表していないゼンデイヤも左手薬指に大きなダイヤモンドをはめている姿が目撃された以上、もはや疑う余地はない。デュア・リパはイギリス版「ヴォーグ」誌で幸せな気持ちを語り、その後インスタグラムで婚約指輪を披露。さらに夏じゅう、婚約者とコンサートや海水浴、パーティーに出かける姿をアップし続けた。インスタグラムのクイーン、セレーナ・ゴメスは、音楽プロデューサーのベニー・ブランコとの結婚をインスタ発表。8月には、メキシコのカボ・サン・ルーカスで独身さよなら女子会を開き、巨大なハート型バルーンとマリアッチ楽団も登場したパーティー風景を投稿した。そしてテイラー・スウィフト。彼女の婚約写真には、バラいっぱいの庭の中でひざまづいてのプロポーズ、巨大なダイヤモンドリングと、絵に描いたような風景が続く。

結婚への回帰?

セレブ同士の結婚は珍しくないものの、今回の結婚ラッシュが注目されるのは、彼女たちが新しい価値観で自らキャリアを築いてきた個性の持ち主だからだ。ゼンデイヤは公の場でトム・ホランドと滅多に一緒にいない。彼女は『デューン 砂の惑星』では荒々しい女戦士を、ドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」では愛に翻弄されるティーンを、『マルコム&マリー』や『チャレンジャーズ』では愛に翻弄される女性を演じてきた。香水「LIBRE」のアンバサダーでもあるデュア・リパは変幻自在な存在。独立心を信条とし、「Houdini」の曲ではつかみどころのないキャラをうまく表現した。たとえ今日はパリ、明日はバンコクとまるで年中バカンス状態と思われても気にせず、笑い飛ばすおおらかさも持ち合わせている。

大親友のセレーナ・ゴメスとテイラー・スウィフトは共に、"自分で幸せと成功をつかむ女性"の代表格として、幾度も失恋を経験しつつ、女性の絆を大切にしてきた。フェミニズムが愛や結婚と相容れないことはもちろんないが、それでもなぜ彼女たちは古典的な結婚制度を、極めて伝統的な形で選択したのだろうか。

理由のひとつは、メディアという戦場では常にアピールし続けなければならないからだろう。出演映画、アルバム、ツアーの合間に婚約を発表すれば、世間の注目が集まる。ファンの中には(特にアメリカの保守層に)チャーミング王子に憧れる層もいる。ヒロインが幸せに暮らして子どもがたくさんできました的な結末を喜ぶ層だ。もうひとつ、見逃せないのはファン層のひとつであるZ世代、すなわち18歳から27歳に結婚回帰の傾向が見られることだ。英「タイムズ」紙が2月に発表した調査では、同年齢層の3分の2が結婚を「意義ある制度」と見なしていると回答した。ただし次の女性の回答がこの世代の本音を表している。「いつだって離婚できる。結婚はずっと続くものと思わないからこそ、一度やってみてもいいかなと思う」

若い世代

テイラー・スウィフトらの婚約発表がバラや白いドレスにあふれたロマンティックなものであったとしても、真の現代性は別なところにあるのかもしれない。人気スター同士の結婚は重要な戦略の一環であり、しかもこれまではキャリアも人気も「同格」であるふたりが結ばれていた。ジェニファー・ロペスと彼女の歴代の夫たち、クリス・マーティンとグウィネス・パルトロー、ブラッド・ピットとジェニファー・アニストンや続くアンジェリーナ・ジョリーのカップルが思い浮かぶ。あるいは男性スターの方が有名なケースもある。トム・クルーズとケイティ・ホームズ、ジョージとアマル・クルーニー、ジャスティンとヘイリー・ビーバーなど。

だが今回は様相が異なる。アメフト好きや音楽業界関係者、『ファンタスティック・ビースト』シリーズのファンでない限り、トラビス・ケルシー、ベニー・ブランコ、カラム・ターナーの名前は知らない人の方が多いはずだ。つまり主導権を握るのは、膨大なフォロワー数を誇る女性側なのだ。恋愛も婚約も結婚式のスタイルも、きっと彼女たちのイメージに沿ったものになるのだろう。おとぎ話の裏側にいるのは今や、パワフルな「ボス」の女の子と繊細で優しい男の子なのだ。この彼なら自分を尊敬し、キャリアを支えてくれてどこにでもついてきてくれる。もはや憧れの対象はチャーミング王子ではなく、プリンセスそのものなのかもしれない。いずれにせよ、お幸せに。ふたりだったらフォロワーもさらに増えるかも。

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text: Pascaline Potdevin (madame.lefigaro.fr)

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