ZARAが高級ブランドに進化することを示していた「3つの兆候」とは?
Celebrity 2026.03.22

2年の沈黙を経て、ジョン・ガリアーノが、ファストファッションの巨大企業ザラと2年間の契約を締結した。これは、このブランドがラグジュアリー業界へ段階的に進出しようとしている意図を示す、さらなる兆しといえる。
これはまさに驚きのニュースだ。ファッション業界を大いに驚かせる形で、ザラは3月17日、ジョン・ガリアーノと2年間の契約を結んだと発表した。このイギリス人デザイナーは、2024年1月にマルジェラのために発表したセンセーショナルなオートクチュールショーを最後に、業界の第一線から距離を置いていた。今年、彼は新たな使命を携えて本格的に復帰する。それは「シーズンごとのコレクションを通じて、ブランドのアーカイブを書き換えること」だと、ファストファッションの大手であるザラは声明の中で伝えている。さらにこう続けている。「ガリアーノ氏は、ザラの過去シーズンの衣服を直接扱い、それらを解体し、再構築することで、新たな表現と季節ごとのクリエーションへと生まれ変わらせます。」このクチュリエによる初のコレクションは、2026年9月に発表される予定だ。そしてひとつの疑問が残る。自世代でも屈指の才能を持つデザイナーであるジョン・ガリアーノを起用することで、ザラはラグジュアリーブランドとしてのポジション確立を狙っているのだろうか。
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ガリアーノ以前にはバッド・バニーの例も
というのも、インディテックス社のドル箱であるザラは、ここ数年にわたり、手頃な価格のプレタポルテからラグジュアリー路線へと徐々に舵を切ってきたからだ。なお同グループは、2025年の売上高を399億ユーロで締めくくっており、2024年比で3.2%の増加を記録している。そして、ジョン・ガリアーノに先立つ事例として記憶しておきたいのが、バッド・バニーの存在だ。アメリカで最も視聴されるスポーツイベントであるスーパーボウルにおいて、このプエルトリコ出身のラッパーは、頭の先から足元までザラの衣装をまとって登場した。これは、通信社ブルームバーグによれば、「ザラをよりプレミアムなセグメントへと段階的に再ポジショニングし、同ブランドがまだ本来の力を発揮しきれていないアメリカ市場での存在感を高めるため」の戦略だという。同時にこれは、セレブリティ層、ひいては超富裕層の顧客に対するブランドの正当性を強化する狙いでもある。フランスのクチュールブランドがMETガラでスターたちに衣装を提供し、ブランド価値を高めるのと同じ戦略だ。
ザラは、セレブやファッション界の大物とのパートナーシップやコラボにおいても決して遅れをとっているわけではない。2024年には、ステファノ・ピラーティ(元イヴ・サンローランのアーティスティック・ディレクター)に続き、2025年末にはカプセルコレクションの機会に、ルドヴィック・ド・サン・セルナン(2018年のLVMHプライズファイナリスト)の世界観を取り入れたコレクションを発表している。つまりザラは、少なくとも年に一度は、ファッション業界において最も新進気鋭で、話題性と収益性を兼ね備えたクリエイションやアートディレクションを担う才能と、規模の大きなコラボレーションを仕掛けているということだ。ただし、ひとつ補足すべき点がある。インスタグラムで活動するファッション批評家のディタが指摘するように、「ザラはガリアーノに、自身の名を冠したカプセルコレクションを手がけさせようとしているわけでもなく、彼の名前を一時的な広告的プロジェクトに冠するよう求めているわけでもありません。(中略)ガリアーノはザラの過去シーズンの服を引き継ぎ、それらを解体し、再構築してシーズンごとのコレクションへと生まれ変わらせていくのです。(中略)『ヴォーグ』誌はこれを決定的な言葉で表しています。『再創作』。これこそが本質なのです。」
「アーカイブ」という表現
実際のところ、問題となっているのがこの奇妙な「アーカイブ」という表現だ。ザラがジョン・ガリアーノとの契約を発表すると、多くのネットユーザーが、このスペインブランドがいったいどの「アーカイブ」を指しているのか疑問を抱いた。たとえば、インフルエンサーのリヤスの投稿のコメント欄では、あるユーザーがこう皮肉を込めて書き込んでいる。
「ザラのアーカイブを新たに生まれ変わらせる?むしろデザイナーやブランドからコピーしたルックを作り直すってことでしょ!」ここには、このブランドが近年、たびたび盗作の疑いで批判されてきたことを思い起こさせる背景がある。

ルドヴィック・ド・サン・セルナンによるザラ。 photography: Zara
実際のところ、「アーカイブ」という言葉は本来、ブランドにこそ用いられるものだ。シャネルやディオール、さらにはアレキサンダー・マックイーンといったブランドは、それらを厳重に管理された場所で保管し、ひとつの"遺産"として捉えている。というのも、こうしたブランドは職人とともに仕事をし、ドレスの刺繍に何千時間も費やし、特別な素材を用い、オートクチュールの技術を継承しているからだ。「長い間、名だたるブランドはアーカイブを伝統が受け継がれてきた証として、いわば象徴的な所有権のように扱ってきました」と、インスタグラムでディタは分析する。「アーカイブはこう語るのです。『私たちは続いてきた。だからこそ価値がある』と。」実際、アーカイブは常にブランドの誇りを形づくり、その名やスタイル、そして遺産を、時代を超えて受け継いでいくための役割を担ってきた。たとえばモンテーニュ通りには、ブランドの記憶を集めた一般公開の施設「ラ・ギャラリー・ディオール」がある。さらに多くのブランドでは、こうしたアーカイブを保存・管理する専門の責任者(ヘリテージ担当)を置いているが、ザラにはそのような体制は存在しない。
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徹底的に作り込まれたビジュアル撮影
それでも結論は明白だ。ザラは確実に、そして勢いを増しながら高価格帯へとシフトしている。「シーインやテム、プライマークのようなブランドの登場によって、ファッション業界には"ウルトラファストファッション"という新たなカテゴリーが生まれました」と、ラグジュアリー分野の専門家であり、パリ政治学院の講師でもあるセルジュ・カレイラは、2024年にすでに指摘している。さらにこう続ける。「低価格帯の分野では徐々にシェアを奪われているため、ザラは上の価格帯へと移行する道を選びました。ヨーロッパやアメリカでは、中価格帯のブランドの多くがすでに撤退しており、そこには新たに取りにいける市場が存在しています。そしてそれは、高い知名度と安定した基盤を持つザラにとって十分に狙える領域なのです。」

2024年、マルタ・オルテガ。photography: Bloomberg / Bloomberg via Getty Images
この大胆な方向転換を主導しているのが、創業者の娘であり、2022年4月に会社の舵を握ったマルタ・オルテガだ。彼女は「スペインで最も影響力のある女性」とも評されている。それはまた、ブランド初のストゥディオ コレクションの登場から間もない時期でもあった。より高価格帯に設定されたプレミアムラインであり、徹底的に作り込まれたビジュアルキャンペーンとともに展開されている。ザラでウィメンズ部門の責任者を務めていた彼女の戦略はシンプルだ。スティーヴン・マイゼルやマリオ・ソレンティといった世界的フォトグラファーにキャンペーンを託し、業界に近い著名人とのコラボレーションを打ち出すこと。最近ではケイト・モスとの企画が話題となった。そして、イベント性の高い取り組みに力を入れること。たとえば2021年12月には、ラ・コルーニャで写真家ピーター・リンドバーグの大規模な回顧展を開催している。その会場には、ランウェイや最前列で常に目にするような顔ぶれ―ナオミ・キャンベル、ケイト・モス、リンダ・エヴァンジェリスタといったVIPたちが集まった。
ザラの公式オンラインストアでは、服やアクセサリーは丁寧に撮影され、まるでハイエンドなファッション誌のビジュアルを思わせる仕上がりになっている。エレガンスの証のように、価格はもはや商品に直接表示されていない。編集的に演出されたコートの画像をクリックして、はじめてその価格がわかる仕組みだ。たとえば、裏地がポリエステル100%のレザーコートで179ユーロほどとなっている。さらに、ザラ ホームのラインも見逃せない。虹色にきらめくガラス製の植木鉢が59.99ユーロから、アーティスティック・ディレクターのコリン・キングとのコラボによるランプは1300ユーロにのぼる。こうした動きは、店舗の新たなDNAにも表れている。無駄を削ぎ落としたミニマルな空間、完璧に計算された照明、そしてよりプレミアムな接客とサービスを提供できるよう訓練されたスタッフ。そのすべてが、ブランドの方向転換を物語っている。
From madameFIGARO.fr
text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi





