フィガロが選ぶ、今月のアート5選[2016.08.26~]

Culture 2016.08.26

「フィガロジャポン」10月号で紹介したカルチャー情報を、madame FIGARO.jpでもお届け。現在開催中、近日開催予定の注目アートイベント5件、ぜひチェックしてみて。

 

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ジェリー・グレッツィンガー『Jerry's Map』2016年。50年以上、仕事の合間に想像上の都市の地図を描き続けてきた米国人作家の、のどかな偉業が完結した。

 

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青木涼子『秘密の閨』(試演)2012年。シテ・ワキを一人芝居で演じる。

 

アートを道標に地球を歩き、視線を遠く飛躍させるよろこび。

あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅』

 各地で林立する国際芸術祭のなかでも最大級の規模を誇り、美術はもちろんパフォーミングアーツにも力点を置くことで知られるあいちトリエンナーレ。今年は「旅」をテーマに、人類の叡智が土地と交わる場所で独自の芸術表現を育んできた軌跡を追う。招聘作家の出身地は見事なまでにカラフルだ。キルギス、モンゴル、プエルトリコ、米国アラスカ州、パプアニューギニアなど、世界中から集まった多彩なアーティストの創造の旅に、グローバルとローカル両方の視点から光を当てる。欧米中心に堅牢な牙城を築いてきた現代美術のヒエラルキーや常識から、彼らがどのように逸脱し、跳躍するかは見どころのひとつだ。
 パフォーミングアーツでは、勅使川原三郎演出のオペラをはじめ、いま最もリアルに時代を映す身体表現としてダンスに注目したい。フランスのカンパニー・ディディエ・テロンは、劇場から街へ飛び出し、日常の空間に奇想天外なダンス言語を放り込む。能と現代音楽を融合する青木涼子は、オレリアン・デュモンの楽曲、建築家・田根剛の舞台美術による能オペラ『秘密の閨(ねや)』の世界初演を発表。また、エネルギッシュな群舞と音楽の緻密なシンクロで毎度観る者の心をわしづかみにするCo.山田うんは、愛知県奥三河地方で700年以上にわたり継承される芸能神事「花祭」に着想を得た新作を上演する。
 色とりどりのアートを道標に、視線を遠くに飛躍させながら地球を巡る旅は、民族誌学的・地誌学的好奇心をも刺激するはず。ポケモン捕獲の街歩きでは味わえない、エキサイティングな体験になることは間違いない。

 あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅』
会期:開催中〜10/23
愛知県芸術文化センター、名古屋市美術館ほか(愛知県・名古屋、豊橋、岡崎)
開館時間、定休日は会場により異なる
一般:¥1,800

●問い合わせ先
TEL:052-971-6111
http://aichitriennale.jp/

*「フィガロジャポン」2016年10月号より抜粋

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ナムジュン・パイク『ニュー・キャンドル』1993年。本展タイトルは彼の言葉に由来。

 

アートの先駆者から届いた予言。

『没後10 ナムジュン・パイク展
2020 笑っているのは誰????

1960年代、オノ・ヨーコらと芸術運動フルクサスに参加し、世界初のビデオアートを発表した「ビデオアートの父」。いまや骨董となったブラウン管テレビをビルのように積み上げる鮮烈な光景は、84年に世界同時衛星配信パフォーマンスで結実した。2006年に逝去した作家の全貌と予言を前後期にわたって明らかにする。

『没後10 ナムジュン・パイク展
2020 笑っているのは誰????

会期:開催中~10/10(前半)、10/152017/1/29(後半)
ワタリウム美術館(東京・神宮前)11時~19時(水は21時まで)
休)月(9/1910/1012/51219262017/1/9は開館)、12/312017/1/3
一般¥1,000

●問い合わせ先
TEL:03-3402-3001
www.watarium.co.jp

*「フィガロジャポン」2016年10月号より抜粋

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金氏徹平『ホワイト・ディスチャージ(建物のようにつみあげたもの/丸亀)』2016年。ありふれた事物が「他者性」を帯びてくる。

 

現代人が共有する「他者」感が、呼吸し始めるコラージュ。

金氏徹平のメルカトル・メンブレン』

日常のモノの集積にコーヒーのシミや樹脂などコントロールできないものをコラージュした独特の異物感で現代の共有感覚を捉え、演劇カンパニー「チェルフィッチュ」などの舞台美術でも注目される作家の大規模な個展。コラージュの延長として影響を受けた人や要素を取り込み、彫刻や漫画、パフォーマンスに集約する。

 金氏徹平のメルカトル・メンブレン』
会期:開催中~11/6
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川・丸亀)
10時~18時(8/2721時まで)
会期中無休
一般¥950

●問い合わせ先
TEL:0877-
24-7755
www.mimoca.org

*「フィガロジャポン」2016年10月号より抜粋

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杉本博司『パラマウント・シアター、ニューアーク』2015年。ゼラチン・シルバー・プリント。©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi劇場の廃墟で映画1本分の露光で撮影。

人類の過ちの軌跡を考察する、写真家の文明批評のまなざし。

『杉本博司 ロスト・ヒューマン』

人類の過ちの軌跡を考察する、写真家の文明批評のまなざし。『杉本博司ロスト・ヒューマン』リニューアル記念として世界的写真家のシリーズが展開される本展。2014年、パリのパレ・ド・トーキョーで発表された展示の再編『今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない』では、作家が考えた文明が終わる33のシナリオから歴史を考察。人間とはどこから来てどこへ行くのか。作家独自の辛辣な歴史観に注目。

『杉本博司 ロスト・ヒューマン』
会期:9/311/13
東京都写真美術館(東京・恵比寿)
10時~18時(木、金は20時、9/91021時まで)
休)月(
9/1910/10は開館)、9/2010/11
一般¥1,000

●問い合わせ先
TEL:03-3280-0099
www.topmuseum.jp

*「フィガロジャポン」2016年10月号より抜粋

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篠山紀信『快楽の館』2016年。時が止まり静けさが漂う休館中の美術館にて撮影。

旧邸宅を占拠するヌードの破壊力。

『篠山紀信展 快楽の館』

個人の邸宅であったモダニスム建築の美術館内で、約30名のモデルが佇み、乱舞するヌードを撮影。すました受付嬢の横で全裸で開脚ジャンプをしたり、森村泰昌、宮島達男、奈良美智らの常設展示に絡まったりとやりたい放題だ。写真家やモデルばかりか邸宅を悠然と裸で闊歩した(かもしれない)旧家の人々の「快楽」を想像する。「裸族の王様」の真骨頂だ。

『篠山紀信展 快楽の館』
会期:9/32017/1/9
原美術館(東京・品川)
11時~17時(11/23を除く水曜は20時まで)
休)月(
9/1910/102017/1/9は開館)、9/2010/1112/262017/1/4
一般¥1,100

●問い合わせ先
TEL:03-3445-0651
www.haramuseum.or.jp

*「フィガロジャポン」2016年10月号より抜粋

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

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