ミレニアル世代の日本のミュージシャン5選。

Culture 2016.11.05

 ミレニアル世代の才能豊かな若いミュージシャンが続々と登場している。なかでも今回、洋楽好きなFIGARO読者にオススメしたい気鋭のバンドを5組ほど取材した。D.A.N.SANABAGUN.The fin.ミツメTempalayに共通して言えることは、“メンバー募集”といった形でバンドを組むために知り合ったのではなく、多くの時間を過ごしている友人同士で結成していること。ゆえに音楽はもちろん、映画やアート、ファッションなどの情報を共有し、互いの感性を育てながら音楽活動を始めている。それは本誌&webで取り上げたSuchmosにしてもそう。同世代で同じエリアで時代を感じて生きてきたからこそ、あえて言葉で説明しなくても通じ合えることが強味になっている。

 だから、売れるとかメジャーデビュー云々より、“まずは好きなこと、やりたいことを楽しんでやる”が一番のモットーだ。マイペースで自分たちの音楽の理解者を着実に増やす、その肩の力の抜け加減も程よい魅力と言っていいだろう。同じように、フェス・ブームの特徴の一つである「踊れ!」「盛り上がろうぜ!」と、熱量の高いパフォーマンスで観客に会場の一体感を求めるスタイルが席巻しているのに対し、その流れからは距離を置き、「僕らの音楽を各自好きなように楽しんでもらえれば」と、個々の在り方を尊重している点も共通している。

 デジタルネイティヴな世代ゆえ、バンドによってはプロの手を借りずに自分たちで機材を駆使し、早くから表現を形にしてきたことも大きい。音源(CD含む)制作やアートワーク、動画の撮影やグッズのデザインなどもそれぞれ得意な友人に関わってもらうなどし、自分たちの世界観をブレることなく具現化。それらが認められていくことは、明らかに自信に繋がっている。なかでも印象的だったのが幼稚園からの幼馴染達と結成したThe fin.。「周囲を無視する“無視のスタイル”を貫くことで、考え方と発想といった自分達の世界観を大切にすることができた」と話し、バンドのスタート時は自分達で撮影した映像で動画をアップ、SNSから広まった音楽はアジアをはじめ欧米からも注目されるようになり、今年の9月からイギリスに活動拠点を移したほど。「自分たちのやりたい音楽には英語の歌詞の方が馴染むから」と英語で歌ったことも功を奏したのだろうが、そのうち逆輸入のような形で話題になることもあるかもしれない。

 ライヴハウスで開催されるライヴの多くは対バン形式で複数のミュージシャンが登場するが、今は自主企画など、バンド主体のパーティ感覚のイベントが急増し、幕間にDJが登場したり、友人がライヴのVJを担当したり(メンバーに入っている場合もある)、仲間内だけで運営できてしまうことが当たり前に。そんなDIY感や仲間意識も心地良く、さらにクリエイティヴな交友関係が広がっている。

 この取材をしている間も、yahyelやWONKなど、気になるバンドが次々と魅力的なアルバムを発表し、ライヴを行っている。正直、洋楽邦楽と区別するのは意味ないと思えるほど、そのセンスに魅了される。ぜひ、インタビューでそれぞれのバンドの音楽への取り組み方や音楽をチェックして、気になったら気軽にライヴ会場へ足を運んでみてはどうでしょうか。

ピックアップした若手ミュージシャン、5組のインタビューをチェック!

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Tempalay(テンパレイ)
遊び心をふんだんに盛り込んだTempalayの音楽世界

 

photos : KO-TA SHOJI, texte : NATSUMI ITOH

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