気分で選ぶ、私のおすすめ映画。#02 シトウレイが選ぶ、おしゃれしたいときに観る映画3本。

Culture 2017.01.20

「フィガロジャポン」本誌連載でもおなじみのストリートスタイル・フォトグラファー、シトウレイさんがセレクトしてくれたのは「おしゃれしたいとき」に観る映画。グッチの世界観を彷彿とさせるファンタジーから、世界最高齢のファッションアイコンを追ったドキュメンタリー、そして不朽の名作まで。おしゃれ心を刺激してやまない3本をどうぞ。

ファッションが大好き! 心からそう実感させてくれる作品たち。

アレッサンドロ・ミケーレ率いるグッチの世界観といったら疾風怒濤に世界のトレンドを一気に司り、あれよあれよという間に聞きなれなかった「タッキー」という単語は気がつけば世間一般に浸透するフレーズに様変わり。今シーズンのトレンドたるタッキーなファッションがもっとも凝縮されているファンタジー映画といえばコレがいちばん、『アリス・イン・ワンダーランド時間の旅』。アリスが旅の途中(多分アジア圏にでも行っていたのだと思う)で気に入った洋服を、ヨーロッパのドレスとミクスチャーしたファッションはとてもカラフルでどことなく風変り、つまり見まごうことなきタッキーで、帰国そうそう彼女は周囲の人たちの好奇心と、呆れと、潜在的な憧れ、戸惑い、哂(わら)い、そんな眼差しを浴することになる。もちろん独立独歩のアリスはそんなことなんか全然気にしない。そんなアリスのスタンス含め、すこぶるファッション心は刺激される。「あぁ、おしゃれしたい(チャレンジしたい)!」って。

ドキュメンタリー映画でいえば『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』。ハイエンドのメゾンから路上で売っているものまで彼女がものを選ぶその審美眼は誰よりもフラットでリベラル、かつとてもシャープ。古着か新しいものかメゾンのものかジャンクなものか、民芸品なのかクチュールものか。そういうカテゴライズ自体全然ナンセンスで意味がない。大事なのは素材、デザイン、クオリティ、そして何より自分が好きかどうか。ファッションを楽しむことにおいて大事なのはこのボーダーレスな視線、そして自分の価値観をクリアにしておくこと。ニューヨークファッションウィーク、撮りに行く時にアイリスにいつか会えたらいいなと思う。「アイリス、私もおしゃれ大好きなの!」そう言いたいから。

ファッションは服だけじゃなくて立ち振る舞いや言葉遣い(その奥にあるインテリジェンス)を含めたものなんだなと気がついたのは私の場合は映画から。クラシック作品の中で、かつファッションという観点で見た場合、ベストをあげるとしたら『おしゃれ泥棒』。オードリー演じるニコルの身に着けている服はもちろん、彼女がそれを着たときの佇まいであったり、ちょっとした仕草(特に視線の移し方!!)、言葉の使い方はとても背筋が伸びるもの。「外見も中身も全部が全部でおしゃれになりたい(オードリーみたいに)!」そんな気持ちになる作品。

01. 『アリス・イン・ワンダーランド時間の旅』

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航海を終えてロンドンに戻ったアリス(ミア・ワシコウスカ)は、死んだ家族を探すマッドハッター(ジョニー・デップ)を救うため、再びワンダーランドへ。白の女王の助言で時間を操る“クロノスフィア”を手に入れて過去を変えようとするが、またも赤の女王が立ち塞がる。

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●監督/ジェームズ・ボビン
●脚本/リンダ・ウールヴァートン
●出演/ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイほか
●2016年、アメリカ映画
●MovieNEX(Blu-ray、DVD、デジタルコピー、MovieNEXワールド)¥4,320
●販売元/ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2016 Disney

02. 『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』

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ポップ&カラフルな世界観でいまもNYのカルチャーシーンに多大な影響を与える、アイリス・アプフルに迫るドキュメンタリー。最高齢のファッションアイコンにして現役インテリアデザイナーであるアイリスに、自由に楽しく生きる人生の極意とビジネス成功術を教わる。

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●監督/アルバート・メイズルス
●出演/アイリス・アプフェル、カール・アプフェル、マーガレット・ラッセル、ドリス・ヴァン・ノッテン、カニエ・ウェスト、ブルース・ウェバーほか
●2015年、アメリカ映画
●DVD¥5,076
●販売元/KADOKAWA
©IRIS APFEL FILM, LLC.

03. 『おしゃれ泥棒』

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美術品収集家として知られるシャルル・ボネは実は贋作画家。内偵のため屋敷に忍び込んだ探偵デルモットは、画家の娘ニコル(オードリー・ヘプバーン)にひと目惚れ。自分は“泥棒”だと嘘をついてしまう。ふたりは偽のビーナス像を盗み出すべく美術館に侵入するが……。

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●監督/ウィリアム・ワイラー
●脚本/ハリー・カーニッツ
●出演/オードリー・ヘプバーン、ピーター・オトゥールほか
●1966年、アメリカ映画
●DVD ¥1,533
●販売元/20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

●特集INDEX
●映画監督・俳優の松居大悟が選ぶ、笑いたいときに観る映画。

●アーティストのとんだ林蘭が選ぶ、怖くてドキドキしたいときに観る映画。
●シンガーソングライターの石崎ひゅーいが選ぶ、人生を見つめ直したいときに観る映画。

「フィガロジャポン」2017年3月号は映画特集! 詳細はこちら

シトウレイ Rei Shito
「STYLE From TOKYO」(reishito.com)を軸に活躍するストリートスタイル・フォトグラファー/ジャーナリスト。ラデュレとコラボレートした限定マカロンボックス「シトウレイ」(6個入り¥2,689)が、2017年2月2日より東京のサロン・デュ・ショコラにて発売予定。

selection et texte:REI SHITO, texte:ERI ARIMOTO

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