苦手な同僚との付き合うための、フランス人的対処法。

Culture 2017.07.25

一見普通なのに、あなたの自信を粉々にし、じわじわと弱らせる……。そんな職場にいる毒人間を制するためのフランス風対処法とは?

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毒人間とは……? 職場で嫌みや中傷、あなたの自信を打ち砕くようなことをさりげなく言ってくる、そんな人いませんか? 朝起きた時に、会社に行きたくない。いつの間にかその存在は黒い雲となって頭上に現れ、あなたの輝きを遮ってしまいます。この毒人間、いわゆるトラブルメーカーとは違い、上手に身を潜める術を心得ているから、周囲は誰もその人の陰険さに気づきません。あなたはそのことばかりが気になって、自分が被害妄想に陥っているのか、相手の方が異常なのかの分別がつかなくなってしまうのです。こうなってしまったら、気力は失せ、仕事の能率も落ちていくばかり。そんな悪影響から身を守るには一体どうしたらいいのでしょうか?
組織における人間関係のストレス緩和と活性化をアドバイスする、アルテリ・コンセイユ社の創始者、ベネディクト・オボー氏の話をもとに、「マダム・フィガロ」がまとめた、フランス風対処法を紹介します。

憂鬱の原因を知ろう

“私も前は、職場の誰からも評価してもらえなかったからね”

はじめは、あなたも悪い影響を受けていることに気がつかないでしょう。相手のやり方は実に巧みで、意地悪な人には到底見えないから。機会を見つけては、何気なく非難するようなことを言って、あなたを憂鬱にさせる。オロールの例を紹介しましょう。彼女は、あるとき自分の担当業務が議題となった会議で発言したら、二十歳年上の同僚から、あまり「べらべら喋る」のはやめた方がいい、と忠告を受けました。その際、同僚は彼女に「私も若いときは、職場の誰にも評価してもらえなかったからね」と“フォロー”するのを忘れなかったそう。「毒人間は、このような嫌みをそれとなく言います。周囲はそうした発言の裏の意味にも、職場の雰囲気に悪い影響を及ぼしていることにも、すぐには気づきません」と、ベネディクト・オボー氏は言います。「自分の言動が合っているのか、仕事について思い悩むようになったり、ふさぎ込みがちになったと感じたり、判断力や仕事への熱意が低下するようなことがあったら要注意です」。憂鬱の原因を明らかにするには、 職場の人以外の誰か、たとえば友人や家族に意見を求めるのが得策といえそうです。

>>毒人間とはどんな人? 彼らの頭の中を覗いてみると……

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倒錯的自己愛に近い人格

毒人間が誰なのかを理解してしまえば、問題は半分解決したようなもの。対決する前に、まずは、相手の頭の中を覗いてみましょう。「このタイプの人たちは、評価を得るために、過度に仕事に打ち込んでいる傾向にあります。権力欲が強く、権力を得るためなら、他人を貶め、人の仕事を邪魔することもいとわない。このようなタイプの人たちには、 倒錯的傾向や、自己愛が強い傾向が見られます」。また、往々にして、歪んだ関係に陥ったカップルの場合と同じように、被害者、つまりあなたの方がヒステリーと見なされてしまうことが多いというのも厄介です。つい、騒いだりしつこく自分を正当化する言い訳をしたりしていませんか。相手はあえて冷静を装っているので、あなたが興奮している限り、疑いの目が向くことはありません。肝心なのは、何があっても相手に反応しないことです。

涙は禁物

「相手に応戦するにしても、正面からの勝負は避けましょう。その後何年も一緒に仕事をする可能性もあるのですから」 。 手ぬるいと感じるかもしれませんが、毒人間に対して、思いっきり殴ってやりたいと思っても、有効なのは平静を保つこと。サドマゾゲームを仕かけられても、ダライ・ラマのような心をもったあなたはその手には乗らない、ということを分からせること、そして客観的な態度を崩さないことです。

“すぐに感情的になるから、あなたとは話ができない!”

今度刺のある言葉を言われたら、「そんなことを言うなら具体例を挙げて、と食い下がってみましょう。その際、話が本筋から逸れないように気をつけること。仕事以外の話にならないように、またその仕事の内容や状況を明確にして話すこと」。そして常に、微笑を絶やさないこと。もし問題の同僚に「時間を守るのは、あなたあまり得意じゃないのよね!」と言われたら、何を根拠にそう言っているのか、はっきり聞いてみるといいでしょう。自分がいつ遅刻したのか、 どの仕事が締め切りに遅れたのか具体的に言ってもらいたい、と。その際、大声や涙は禁物です。脅しの言葉も相手を喜ばせるだけ。オロールの場合は、同僚と話し合うことにした時、つい涙が込み上げてきてしまったそう。すると案の定、「すぐ感情的になるから、あなたとは話ができない!」と、やり込められてしまいました。「あなたが感情を露にした瞬間、毒人間はしてやったり、とほくそ笑んでいるのです」。涙はぐっと堪え、そして、この我慢のならない人物に、諸悪の根源は相手であり、あなたではない、ということを教えてあげましょう。

>>まだある、毒人間に対処するために抑えておくべき鉄則。

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中傷されたら戦いより、無関心に徹して

毒人間は、時に狡猾な手段に出ることもあります。同僚や、ひどい場合には上司に、あなたの信用が落ちるようなことをささやきます。最初はとても親切に見えた毒人間につい、「このごろ家庭がうまくいっていないので、夜遅くまで会社にいるの」、なんて打明けてしまったのではないでしょうか? いま頃、毒人間は、あなたは離婚寸前で、精神的に不安定な状態にあるから、重要な案件は任せない方がいいと、職場中に触れ回っていることでしょう。とはいえ、悪口を言われたからといって、応酬するのは時間の無駄。いちばんの解決策は、無視することです。「たとえその人が根拠のないことを言いふらしたとしても、いちいち誤解を解いて回ろうと思わないことです。そんなことをしたらかえって相手の言葉を印象づけてしまいます。どんなに難しくても、相手に反応せず、自分が大人の関係を築ける人間であることを態度で示すことが大事」と、ベネディクト・オボー氏は言います。そのかわり、こうした攻撃をしっかり封じるためには、 会議の席であなたの仕事に関する意見や要望を尋ねてみるのもひとつ。あなたがやるべきことをきちんとしていると周囲が認めてくれればいいだけのことです。

上司に仲裁を求める

たとえば上司を巻き込むのもひとつの手といえます。あなたと毒人間の問題がなかなか解決しないようなら、上司に仲裁を委ねましょう。「あなたと毒人間との関係は上司も気づいているはずです。上司は、問題が起きた際の調整役ですから、現状をきちんと認識する義務があるのです」とオボー氏は言う。ただし、人生にはうまくいかない時もあるもので、あなたを息苦しくさせている毒人間が、当の上司、ということもある。たとえばジェラルディーヌは、上司に「あなたは男性に媚びを売りすぎ」とため息をつかれた。その件について話し合おうとしても、「あなた自身に問題がある」と言われるだけ。契約から2カ月後、モラルハラスメント訴訟を避けるためか、悪くない額の退職金とともに、ジェラルディーヌは解雇された。ベネディクト・オボー氏によると、上司が毒人間であった場合は、解決策はひとつ、逃げること。「できる限り、時間やエネルギーを無駄にしないよう、精神の安定を損なわないように。 身を守る唯一の方法は、退職か異動です。残念ながら、毒人間が態度を改めることはないのですから」

texte : Lucile Quillet (madame.lefigaro.fr)

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