ダイアナ妃が泣きついても女王は助けなかった
Culture 2017.08.30
8月31日の命日を控えて花や写真が飾られる。©ZUMA PRESS/amanaimages
突然の死から20年を数えるダイアナ妃。夫チャールズとの破綻した結婚生活が、ダイアナの肉声で語られる。
ダイアナは、チャールズ皇太子との夫婦関係に悩みエリザベス女王に助けを求めたが、救いの手は差し伸べられなかった――。
8月31日に没後20年を迎えるダイアナ元皇太子妃が、チャールズ皇太子との結婚生活の悩みを暴露した生前の映像が、英チャンネル4のドキュメンタリー「Diana:In Her Own Words」で放映される予定だ。
この映像は、92~93年にケンジントン宮殿でダイアナの元ボイストレーナーが撮影したもの。悩みや昔から抱えていた摂食障害で疲弊したダイアナが泣きながらエリザベス女王のもとを訪れたエピソードなどが語られるという。
映像は、2004年にアメリカで放映されており、チャールズ皇太子との破綻した結婚生活の様子がダイアナの口から語られた。なかでも、チャールズと当時愛人関係にあった、コーンウォール公爵夫人カミラとの問題に直面したとき、チャールズに冷たくあしらわれたことがわかる。チャールズは「愛人がいない唯一のウェールズ王子になりたくない」と言い放った。
さらにダイアナはこうも言っている。エリザベス女王の夫フィリップ殿下は息子チャールズに、ダイアナとの結婚がうまくいかなかったら、5年後にカミラのもとに戻ればいいと話した、と。
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兄のウィリアム王子は、妻キャサリン妃との間に生まれた長女(シャーロット王女)に、ダイアナの名前を与えている。全名は、シャーロット・エリザベス・ダイアナで、後妻であるカミラの存在をシャットアウトするかのようだ。
一方、ヘンリー王子は4月に、母ダイアナの死をきっかけに心の問題を抱えていたと告白して話題になった。幼い頃から兄ウィリアムに比べ、やんちゃで周囲を困らせるようなエピソードの多いヘンリー。ただ、これもわずか12歳で母を失った悲しみが原因だった。4月には、英テレグラフ紙のポッドキャスト番組で、心が「破綻寸前」の状態だったと明かしたばかりだ。
最近では、米Newsweekの独占取材に応え、その胸中を語った。兄に勧められた専門家によるカウンセリング治療を経て、30歳にしてやっと回復したという。自分の経験から、これまでの王族が考えもしなかったメンタルヘルス支援や新たな取り組みに精力的に臨む姿は、亡き母、ダイアナに重なるものがある。
死後20年という歳月を重ねてもなお、人々の心に深く刻まれるダイアナの存在。テープの放映は賛否両論を巻き起こしているが、ダイアナを思う気持ちは多くの人が共感できるものだろう。今一度、その功績に思いを馳せる時期なのかもしれない。
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ニューズウィーク日本版より転載
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部