少女と盲目のギター弾きが奏でる音色に涙が溢れる秀作。

Culture 2017.08.30

子どもたちがねぐらとする、路上から聞こえる苦楽の音色。
『ブランカとギター弾き』

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仲間とスリを働き、空腹をしのぐストリートキッズの少女ブランカ。路端のギタ ー弾きが稼いだ小銭を缶から盗み、「朝飯代だけ残してくれ」とこの老いた盲人に声をかけられて彼女はハッとする。それが急接近のきっかけ。歌の才がある少女と老人の大道芸コンビが波乱含みにたどる旅路は、どこかおとぎ話のよう。監督は巨匠エミール・クストリッツァと帯同してきた写真家出身の日本人だ。ブランカを慕って助ける孤児が戯れに海へ飛び込む港の一景など、フィリピンロケを生かしたロングショットが開放的で快い。

『ブランカとギター弾き』
監督・脚本/長谷井宏紀
2015年、イタリア映画 77分
配給/トランスフォーマー
シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中
www.transformer.co.jp/m/blanka

*「フィガロジャポン」2017年9月号より抜粋

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