フィガロが選ぶ、今月の5冊 都築響一がとらえた、Tシャツをめぐる人生の物語。

Tシャツに秘められた、十人十色のストーリー。
『捨てられないTシャツ』

都築響一著　筑摩書房刊　¥2,160

ファッションとしては「それってどうなのよ」と思うのに、捨てられないTシャツがある。持ち主自らに個人的な思い入れを語ってもらったこの本に、つい惹きこまれてしまうのは、十人十色の人生が語られているせいだ。ラモーンズのジョーイとライブ会場で交換したお宝Tシャツもあれば、おばあちゃんの刺繍入り思い出Tもある。ポール・オースターがラジオのリスナーに物語を募った『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』に匹敵するというこの企画。あとがきで都築響一自らの捨てられないTシャツの物語が語られていて、これまたグッとくる。

＊「フィガロジャポン」2017年9月号より抜粋

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