フィガロが選ぶ、今月の5冊 書き下ろしも収録。最果タヒの詩集3部作、完結編。

Culture 2017.11.15

曖昧な記憶と存在の隙間に、突き刺さる言葉の力。
『愛の縫い目はここ』

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最果タヒ著 リトルモア刊 ¥1,296

悲しすぎると笑ってしまったり、幸せすぎると泣いてしまったり。人の感情は大きければ大きいほどぐるりとひと回りして地球を一周する。そして私たちの感情は地球から宇宙へと広がっていく。最果タヒの詩はちっぽけで限りなく広大な、人間への愛にあふれている。昼と夜の境目に、春と夏の境目に、男と女の境目に、子どもと大人の境目に、曖昧に存在する私たちの記憶をまるごとすくい取る眼差しが行間にあふれ出て、読者の胸に突き刺さる。『死んでしまう系のぼくらに』、今年映画化されたベストセラー『夜空はいつ でも最高密度の青色だ』に続く三部作。

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*「フィガロジャポン」2017年11月号より抜粋

texte : JUNKO KUBODERA

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