王室メンバーで知る、英国のエリート教育事情。〈前編〉

特集

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ウィリアム王子に付き添われて初登校するジョージ王子。通学バッグには「ジョージ・ケンブリッジ」のネームタグが! photo : Getty Images

英国王室ウィリアム王子の長男ジョージ王子が、今年9月にトーマス・バタシー・スクールに初登校したというニュースが駆け巡った際、「まだ4歳なのにもう学校に?」と仰天した人は多かったのではないだろうか? それもそのはず、英国と日本では教育システムが大きく異なる。ロイヤルファミリーを頂点とする英国の上流階級の家庭において、子どもの誕生と同時にエリート養成施設である私立校へエントリーするのは常識だ。家柄と財力そして本人の資質がモノを言う、英国が世界に誇るエリート教育システムを、王室メンバーを例にとり覗いてみることにしよう。

初等教育は4歳からスタート。

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1989年9月12日、記念すべきヘンリー王子のウェザビー・プレ・プレップ・スクール初登校の日。グレーとレッドの特徴的な制服に身を包んだ両王子はこのとき7歳と4歳。一般家庭のようにダイアナ妃自ら通学に毎日付き添う様は、当時センセーショナルに報道された。 photo : Getty Images

王室の伝統として、ナニーとガヴァネス(家庭教師)が幼少期の家庭教育を担うのが慣例だったが、「幼い時から普通の家庭のような教育を」という母ダイアナ妃たっての願いのもと、ウィリアムとヘンリー両王子は、他の上流階級の子弟同様、初等教育から私立校のプレ・プレップ・スクールで学んでいる。プレ・プレップ・スクール(Pre Preparatory Schoolの略)とは、4歳から8歳までを対象とした“幼稚園”的位置付けで、8歳から13歳までの教育を行う私立小学校のプレップ・スクールへ入るための準備校として知られる。しかしややこしいことに、4歳から13歳までを受け入れるプレップ・スクールも存在し、ジョージ王子が入学したのはこの後者。幼小一貫教育と解釈するととしっくりくるだろう。

ジョージ王子の進学先に関して、世間は当然のように父親と同じ名門男子校のウェザビー・プレ・プレップ・スクールに行くものと見ていたが、実際に選ばれたのは比較的歴史の浅い共学校のトーマス・バタシー・スクールだった。ウィリアム王子夫妻のこの決断は驚きをもって報道されたが、これには母親のキャサリン妃の意向が大きいと言われる。リベラルな校風のトーマス・バタシー校が教育理念としていちばんに掲げているのは、「Be kind」(やさしくあること)。人間愛を尊重する全人教育を謳い、勉強以外の活動(アート、スポーツ、バレエ、音楽など)に力を入れていることを強調している。社会性や情緒を養うカリキュラムが充実する一方で、生徒の学力は国内水準よりはるかに高く、学業面もおろそかにしない点も未来の国王にふさわしいと選ばれた理由だろう。キャサリン妃はかつて、理想の子育てについてこう述べている。

「私の両親は、やさしさ、尊敬、正直であることの大切さを私に教えてくれました。そして私の人生において、これらが重要な核となっていると気づいたのです。ですから、私とウィリアムも親として、ジョージとシャーロットにこれらのことがどれだけ大切であるかを教えていきたいと願っています。私にとっては、算数やスポーツができることと同じくらい大事なことです」(キャサリン妃)

これはトーマス・バタシー校の教育観と一致していると言えるだろう。ちなみに気になる学費は、年間で18,000ポンド(約267万円)で、卒業生にはトップモデルで女優のカーラ・デルヴィーニュや歌手のフローレンス・ウェルチがいる。

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>>ウィリアム、ヘンリー両王子が8歳から通ったボーディング・スクールって?

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8歳からはボーディング・スクールへ。

ジョージ王子はケンジントン宮殿からロンドン郊外のトーマス・バタシー校まで車で約30分かけて通学しているが、全寮制というプレップ・スクールも存在する。世界に名高いボーディング・スクール(寄宿学校)のシステムだ。英国のボーディング・スクールは、いずれも広大な緑に囲まれた荘厳なお屋敷が校舎として使われており、さながら『ハリー・ポッター』で描かれる世界観そのままの素晴らしい環境で知られる。

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ウィリアム・ヘンリー両王子が在籍した当時のラッドグローブ・スクールのダイニングテーブルは、『ハリー・ポッター』で描かれる寮生活そのままの雰囲気。ラッドグローブはイングランド南東部のバークシャー州にあり、ウィンザー城から車で西に30分ほどの距離に位置する。 photo : Getty Images

ウィリアム、ヘンリー両王子は、8歳の年の7月にウェザビー・スクールを卒業し、9月にはバークシャー州にあるボーディング・スクール、ラッドグローブ・スクールに入学している。全寮制の男子校ラッドグローブも他のプレップ・スクールと同様、11歳か13歳になった時点で入学が許されるエリート養成校のパブリック・スクールに入るための予備校といった位置付けだが、ラッドグローブはとりわけ、最も有名なパブリック・スクールであるイートン・カレッジに多く輩出することで有名だ。父親のチャールズ皇太子は、おそらく息子の誕生前から将来の教育は名門イートン校でと考えていたのだろう。

プレ・プレップにせよ、プレップにせよ、最終目的であるパブリック・スクールにせよ、入学を希望するならば、子どもの誕生直後、もしくは誕生1年以内にお目当ての学校に登録手続きをしなければならず、王族であろうが親が早い段階から計画的に戦略を立てて、奔走する必要がある。とはいえ、この入学プロセスは、あくまでも英国に居住権がある国内生限定の話。海外からの留学生には別ルートが用意されているので、 英国のエリート教育を我が子にと望む方はご安心を!

王室メンバーで知る、英国のエリート教育事情。〈後編〉を見る

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texte : ERI ARIMOTO

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