フィリピンの鬼才ラブ・ディアス作品がついに日本公開!

Culture 2017.11.29

旅人の哀楽や生死を映す時間、その豊潤な流れに身を任せて。

『立ち去った女』

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私たちが無条件にひれ伏し、涙しちゃう時空を、たとえば旅の途上に、映画はときに息長く現出させる。魂の故郷へ帰ってゆくように。フィリピンの哲人監督のこの大長編もそう。受刑者に読み書きを教えつつ、30年の刑に服した元小学校教師ホラシアは、自分に罪を着せたのが昔の恋人と知り、家財をメイド夫婦に譲って旅立つ。物語の軸は復讐譚。だが、旅先で彼女が出会う物売りや歌唄いやゲイら、宿無し同士の交流の、痛みと浄福に満ちた寄り道の時間こそ本作の真髄だ。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞。

『立ち去った女』
監督・脚本・撮影・編集/ラヴ・ディアス
2016年、フィリピン映画 228分
配給/マジックアワー
シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開中
www.magichour.co.jp/thewoman

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*「フィガロジャポン」2017年12月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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