音の魔術師、テメ・タンがついにデビューアルバム発売。
Culture 2017.12.31
異色の天才がワールドデビュー。
『テメ・タン』/テメ・タン
ホステス ¥2,268
アフリカやブラジルといった世界中のサウンドを取り入れながらも、メロディアスでダンサブルなポップミュージックを生み出す音の魔術師の全貌が現れた。デビューアルバムながら、そのクオリティとオリジナリティは突出していて、どこかふわっとした不思議な雰囲気の歌声に酔わされる。
テメ・タンは、コンゴ民主共和国とベルギーにルーツを持つという、タンギー・ハセヴーツのソロプロジェクト。そのバックボーンだけでも十分ユニークだが、大陸を股にかけて旅をしながら各地の音を採集し、その断片を自身の演奏と組み合わせながらポップチューンに仕立て上げる手腕が見事。コーネリアスを始め日本のエレクトロポップからの影響もあり、まさに国境を超えたワールドポップの最前衛といってもいいだろう。身体を揺らしながら、旅するように聴きたい一枚だ。
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*『フィガロジャポン』2018年1月号より抜粋
réalisation : HITOSHI KURIMOTO