映画監督・齊藤 工について、聞かせてください。 金子ノブアキ「常に適温」

Culture 2018.02.22

映画を愛する俳優・斎藤 工が、映画監督・齊藤 工として初長編作に挑戦、2018年2月初旬よりシネマート新宿にて公開中だ。2月24日からは劇場数を拡大して全国にて順次公開される。この最新作『blank13』は国内外の映画祭に招聘され、6つの賞に輝いた。
齊藤 工とともに映画を創ったキャスト&スタッフに聞いた「映画監督・齊藤 工ってどんな人ですか?」 現在書店に並んでいる「フィガロジャポン」の最新号2018年4月号でのコメントに加えて、こちらではほぼ全コメント、紹介します!

どういうきっかけで、『blank13』に出演なさったのですか?

初めは友情出演的にちょっとの予定だったのですが、そこから徐々に広がっていきました。

—齊藤監督から、出演・音楽製作に関してどのような準備を求められましたか?

ストーリーの概要を伝えられたのと、精神性が主でした。

—演じ手としての人物像の指示はありましたか? また、他の映画の引用、どんな映画のどんなシーンを連想してほしいなど、具体的な指示はありましたか?

いわゆる葬祭における泣き屋と呼ばれる業者の役でしたので、深く精神の介入がないことが前提でした。

—『blank13』は、人間のありようへの一種の諦観と、諦観にもとづきながらも、その存在への愛を感じました。齊藤監督の「ひと」を観察する視点・視線に関し、どのような評価・感想をお持ちでしょうか? 齊藤監督とプライベートでも交流のある金子さんゆえ、この作品における対話や会話にかかわらず、映画人としての齊藤工さんの姿勢に関して感じることがあれば教えてください。

穏やかで柔和なオーラですが、その奥に常に燃えている炎を感じます。セクシー俳優的なポジショニングを甘んじて務めているのも、こういった本質の発信への道筋を作っているのだと思います。なかなか真似できることではない。タフな方です。

—齊藤監督はクリエイターから出てくるものを待つタイプですか? それとも細かく指示するタイプの監督でしょうか? 出演・音楽製作両方に関して教えてください。

細かな指示はほとんどありません。空気感で伝えるというか、そんな感じです。自身も演者の顔を持っているというのが大きいのかな。とにかく精神を共有しながら、傍らにいてくれる。

—齊藤監督は、それぞれのキャスト・スタッフの方々への接し方はまったく同じでしょうか? それとも、あえて違う接し方をする監督でしょうか?

相手によって何かを変えるというのはありません。とても誠実ですし、いい意味において、彼は自分を疑っているようなところがあるので、現場が荒れることもありません。「常に適温」という印象です。

—企画段階、撮影現場、ポストプロダクションすべてにおいて、特に「こういう部分にこだわるのだなあ」と感心なさったポイントがあれば教えてください。

人と人とを繋げるのがとても好きで、それが作品のキャスティングにも出ていると思います。

—俳優・斎藤工と、映画監督・齊藤工で、まったく印象が違う部分がありますか?

どちらも一貫しています。逆に珍しいと思います。

—できあがった映画を最初に観た時、齊藤監督に対してどんな想いを抱きましたか?

監督の人間性をとても感じることができました。

—個人的にどのシーンが、もっとも好きでしたか?

ラストシーンが本当に美しい。

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—齊藤監督と、今後どんなクリエイションでタッグを組んでみたいですか?

『blank13』のように、また映画を一緒に作りたいです。

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NOBUAKI KANEKO
1981年6月5日生まれ。ミュージシャン、俳優。RIZEのドラマーで現在はソロ活動もしている。俳優として『新宿スワン』シリーズ(2015年、17年)、「白ゆき姫殺人事件」(14年)、『東京無国籍少女』(15年)など。齊藤工監督とはプライベートでも親交がある。『blank13』の音楽を108(煩悩の数)のビートで作った。また、泣き屋の役として出演もしている。



映画『blank13』は家族の物語である。妻と息子ふたりを残し忽然と消えてしまったひとりの男=父親と、残された家族が、13年後、父が余命3ケ月の状態で息子(次男)と再会し、逝き、葬儀へといたる。その過程を、登場人物たちの心の経緯をなぞるようなかたちで表現された映画である。実話を軸にしている。

『blank13』
出演/高橋一生、松岡茉優、斎藤 工、神野三鈴、佐藤二朗、リリー・フランキーほか
監督/齊藤 工
2017年、日本映画/70分 
配給/クロックワークス
シネマート新宿にて公開中、2月24日より全国順次公開
Ⓒ2017「blank13」製作委員会  photos : LESLIE KEE
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