映画監督・齊藤 工について、聞かせてください。 佐藤二朗 「君、おもしろいなあ」

Culture 2018.02.23

映画を愛する俳優・斎藤 工が、映画監督・齊藤 工として初長編作に挑戦、2018年2月初旬よりシネマート新宿にて公開中だ。2月24日からは劇場数を拡大して全国にて順次公開される。この最新作『blank13』は国内外の映画祭に招聘され、6つの賞に輝いた。
齊藤 工とともに映画を創ったキャスト&スタッフに聞いた「映画監督・齊藤工ってどんな人ですか?」 現在書店に並んでいる最新号2018年4月号でのコメントに加えて、こちらではほぼ全コメント、紹介します!

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—どういうきっかけで、齊藤監督の映画に出演なさったのでしょう? 出演を決めた決定的なクドキ文句はありましたでしょうか?

かなり昔ですが、堤幸彦監督から名古屋弁だか何だかよくわからないセリフを指示され、それをまったく臆することなく嬉々としてやっていた若い俳優が、当時無名の工でした。その時、「君、おもしろいなあ」と工に声を掛けたのを覚えています。それから15年ほど経ち、こうやって工の監督作品に呼ばれたのがとてもうれしく、喜んで参加しました。

—齊藤監督から、どのような準備を求められましたか?

僕も驚いたのですが、工から俳優陣へのメッセージとして台本の最初に「セリフを覚える必要はありません。ガイド程度に考えてください」みたいなことが書いてありました。それでも僕は、その場を「回す」役だったので、流れだけは一応頭に入れていきましたけど。結構セリフもあるし、ホントにこれ覚えなくていいのかよ、と不安いっぱいで現場に行きました。で、現場でも工に「これ、ホントに覚えなくていいのかよ」と聞いたら「大丈夫です。二朗さんはいつもどおりやってください」って。いやいや俺いつもセリフ覚えてやってるし、と思いましたが(笑)。でも結果、ホントに覚えてなくても大丈夫でしたねえ(笑)。

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—佐藤さんご出演の場面は、アドリブによるアドリブの応酬です。このアドリブに対しての齊藤監督の反応は? どのような言葉をもらいましたか?

撮影後に一言、「助かりました」と言われました(笑)。

—齊藤監督との何げない会話の中で(たとえば趣味やよもやまバナシなど)、映画や文学、ステージなど、クリエイションへの渇望や熱いものを感じられた瞬間はありましたか?

知り合って15年くらいの間、そんな頻繁に会っていたわけではないので、よくはわかりませんが、僕が主宰する演劇ユニット「ちからわざ」の公演をよく観に来てくれました。その「ちからわざ」は僕が出演の他に、脚本も書いてまして、俺がどんなホンを書くのか興味あるのかなと、何となくですが思ってました。俳優の芝居以外の可能性みたいなものに興味があるのかな、と。だから今回、工が映画を撮ると聞いても、さほど驚きはなく、「やはりきたか」みたいな感じでした。

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JIRO SATO
1969年5月7日生まれ。96年、演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げし、現在まで全作の作・出演。近年、テレビドラマや映画への出演も多数。2008年の映画『memo』やドラマ「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」(LaLa TV)では脚本、監督も務めた。昨年末、ツイッターでのつぶやきに自身のコメントを添えた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店刊)を出版した。



映画『blank13』は家族の物語である。妻と息子ふたりを残し忽然と消えてしまったひとりの男=父親と、残された家族が、13年後、父が余命3ケ月の状態で息子(次男)と再会し、逝き、葬儀へといたる。その過程を、登場人物たちの心の経緯をなぞるようなかたちで表現された映画である。実話を軸にしている。

『blank13』
出演/高橋一生、松岡茉優、斎藤 工、神野三鈴、佐藤二朗、リリー・フランキーほか
監督/齊藤 工
2017年、日本映画/70分 
配給/クロックワークス
シネマート新宿にて公開中、2月24日より全国順次公開
Ⓒ2017「blank13」製作委員会  photos : LESLIE KEE
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