メーガン・マークルの熱愛表現が許される理由。
Culture 2018.03.06
5月19日まで約2カ月となりいよいよ秒読みとなった、ハリー王子とメーガン・マークルのロイヤルウェディング。そのスケジュールが明らかになった。式は正午からウィンザー城内のセント・ジョージズ・チャペル内にて執り行われ、そののち午後1時からふたりは馬車に乗ってウィンザーの中心部を回って、観衆からの祝福を受ける予定とされている。
photo : Alexi Lubomirski via Getty Images
実はこの日、多くのイギリス人にとってもうひとつの大きな行事がある。それはウェンブリーで開かれるFAカップの決勝戦。サッカーが国民的スポーツのイギリスでは待ったなしの大イベントだ。サッカーとロイヤルウェディングなんて、まったく関係ないようにも思えるが、ハリーの兄のウィリアム王子は毎年貴賓として観戦し、勝利チームにトロフィーを渡す役割を務めている。さすがに夕方からのキックオフに間に合うように、結婚式を抜け出してウェンブリーに向かうことはないだろうとは誰もが思っているものの、今年はどうするの?という声もいまだにちらほら聞こえている。
さて、式を待たずにハリーに同行するかたちですでに公務をスタートしているメーガンだが、どこに行っても大人気なのはご存知のとおり。婚約から4カ月経って初めて公式に姿を現したキャサリンとは違い、おめでたいニュースが全世界を駆け巡った直後から、あちこちに出向いては親しみやすい笑顔でロイヤルファンを虜にしている。そして、どこに行く時もハリーとしっかり手を繋ぐフレッシュで仲睦まじい姿も共感を呼んで、ファンのハートを掴む要因となっているようだ。
キャサリンは公の場でウィリアムと手を繋ぐことをしない。婚約発表の場ですらもウィリアムの後に続いて会場に入り、サファイヤの婚約指輪がよく見えるような角度で腕を組んだものの、いまどきの恋人たちらしい、喜びではじけた表情や振る舞いを見せることはしなかった。婚約インタビューでもふたりは別々の椅子に離れて座って質問に答えていた。
婚約発表当日、無数のカメラが待つケンジントンパレスの庭に寄り添い手を握り合って幸せいっぱいで登場し、インタビューでも離れることなく同じソファでくっつき合って熱愛ぶりを披露していたハリーとメーガンとはあまりにも対照的だ。
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まったく違う立場のカップル。
その理由はウィリアムとキャサリンは未来の王と王妃だからといえそうだ。現在の王族のマナーは在位50年を越すエリザベス女王が築き上げたと言っても過言ではない。約70年前にまだ王女だったエリザベスはエジンバラ公フィリップ殿下との婚約発表した時、うれしさで顔を輝かせながらも「未来の女王らしい振る舞い」から外れることはなかった。そして現在、式典などで並んで歩く必要のある時以外はフィリップ殿下は女王の一歩後ろを歩く。ウィリアムとキャサリンは、この女王の記したルールブックを誠実に守っているといえる。
一方ハリーはウィリアムとは違い、もう少しリラックスした立場。キャサリンが第一子を妊娠中に、彼女とウィリアムの子どもは性別に関わらず王位継承権を持つと法律が改められたため、ジョージ王子、シャーロット王女、そして4月にふたりの間に新たなベイビーが誕生すれば、ハリーの王位継承順位は6番目となる。ウィリアムとハリーは女王の孫であり次期王の息子、そしてなによりもふたりだけの兄弟でありながらも、まったく違う立場なのだ。その行動に兄ほどの厳格さは求められていないのだろう。
将来の女王としての気品を保つべく振る舞うキャサリンと、親しみやすさあふれるメーガンもまたしかり。それぞれの立場に合わせて異なる「キャラクター」を配した英国王室が、TVドラマばりの人気を得るのも納得といえるのかも?
texte : MIYUKI SAKAMOTO