立田敦子のカンヌ映画祭レポート2018 #01 セレブカップル出演作でスタート! 第71回カンヌ国際映画祭。

Culture 2018.05.10

 数ある映画祭の中でも最高峰といわれるカンヌ国際映画祭が5月8日(火)、南フランスのカンヌで開幕しました。
 オープング作品は、『セールスマン』(2016年)などで知られるイラン人監督でカンヌの常連のアスガー・ファルファディの『Everybody Knows』(英題)。
久々に故郷に戻ったヒロインは、娘が誘拐されたことにより、過去の家族の秘密が暴かれていく……というファルファディらしい心理サスペンス。
この作品での夫婦共演でも話題のペネロペ・クルス、ハビエル・バルデムや審査員長のケイト・ブランシェット率いる審査員団、「監督週間」でキャロス・ドール(黄金の馬車)賞という功労賞を受賞する名匠マーティン・スコセッシらも登場しました。

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アスガー・ファルファディ監督作『Everybody Knows』(英題)にて、夫婦役を演じるペネロペ・クルス(左)とハビエル・バルデム(右)。

 審査員団も審査員長のケイト・ブランシェットを含む審査員9人中5人が女性という、時勢を意識したこれまでにない斬新な人選となりました。
 メンバーは、クリステン・スチュワート(アメリカ、女優)、レア・セドゥ(フランス、女優)、エヴァ・デューネイ(アメリカ、監督)、カジャ・ニン(ブルネイ、シンガーソングライター)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ(カナダ、監督)、チャン・チェン(台湾、俳優)、アンドレイ・ズビャギンツェフ、ロベール・ゲティギャン(フランス、監督)。かなり豪華な顔ぶれです。

180510_1_2BWP8050900031M.jpg©Pacific Coast News/amanaimages

審査員長のケイト・ブランシェットをはじめ、オープニングに登壇した審査員団。
 

 また、第71回を迎える今年は、新しい時代に対応すべくさまざまな「変更」が試みられ、映画祭開幕前から物議を醸し出していました。
 ひとつは開催時期。12日間に渡って開催される映画祭は、通常、水曜日に始まり日曜日に閉幕していましたが、今年は火曜日に始まり、土曜日に閉幕。確かマイケル・ムーアが『華氏911』(2004年)でパルムドールを受賞した年も前倒しのスケジュールになってあまり評判がよくなかった記憶があるので、なぜ?と疑問に思うばかり。
 他にも開映時間の遅延の原因になるためレッドカーペットでのセルフィ禁止やこれまでは公式上映前に行われていたプレススクリーニングを公式上映後にスケジューリングするなど(SNSなどによる情報漏洩を避けるため)。
 ディレクターのティエリー・フレモーは、「カンヌはいつも批判されてきた」し、今回の変更も上手くいかなければ、「また変わる」とおっしゃっていましたが、発表後はプレスからの批判も多かったようで、映画祭開始前もまるで釈明のようなメールが映画祭から届き、映画祭開催前日の7日にもディエリー・フレモーの記者会見が急遽開催されました(まだ機上だったので参加していませんが)。
 いずれにしても、新ルールの是非は、映画祭終了時には明確になるでしょう。

映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。
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