立田敦子のカンヌ映画祭レポート2018 #03 ゴダールがフェイスタイムで記者会見に登場!

Culture 2018.05.14

毎年カンヌ映画祭の公式ポスターは、映画界のレジェンドにちなんだものですが、今年はジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』(1965年)のワンシーンのスチール写真(ジョルジュ・ピエール撮影)を元にデザインしたもの。

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ジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』をもとにデザインされた、カンヌ映画祭の公式ポスター。ジャン・ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナのキスシーン。
© Design : Flore Maquin - Photo : Pierrot le fou © Georges Pierre

そう、今年はあの“事件“から50周年、アニバーサルイヤーなのです!
 1968年、当時ヌーヴェルヴァーグの旗手だったゴダールやフランソワ・トリュフォーらが5月19日に体制側への抗議としてカンヌ映画祭を中止に追い込んだ、いわゆる「カンヌ映画祭粉砕事件」が起こりました。「五月革命」の契機となったこの事件により、翌年から現在の併設部門(運営は別)の「監督週間」が創設されることになりました。
 カンヌはハリウッドとは違い、製作者(プロデューサー)でなく映画の作り手=監督にフォーカスする映画祭ですが、その原点であり象徴でもあります。
 今年のコンペ部門には、そんなゴダールの新作『Le Livre d'Image』(原題)が選出されています。

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ジャン=リュック・ゴダールの新作『Le Livre d'Image』(原題)より。
© Design : Flore Maquin - Photo : Pierrot le fou © Georges Pierre

カンヌのコンペは原則として監督が映画祭に出席することが条件なのですが、ゴダールの場合は来たり来なかったりと、いつも気まぐれ。今年もラインナップが発表された時から、“ゴダール来場問題“が話題のひとつでした。
 そんなゴダールですが、なんと記者会見にスマートフォンアプリのフェイスタイムで記者たちの質問に答える方法で“出席“しました。スマートフォンをセッティングしたのは、ゴダール映画の撮影監督として知られるファブリス・アラーニョというのがなんとも贅沢!
 今後も映画作りを続けるのかという問いには「どうだろう、自分ではやりたいと思うけど、手や足や目にかかっている」と発言。
 87歳のゴダール。フェイスタイムの映像から「病院のベッドからだったのでは?」ともささやかれましたが、また元気な姿でカンヌにひょっこり姿を現してほしいものです。  

映画ジャーナリスト 立田敦子
大学在学中に編集・ライターとして活動し、『フィガロジャポン』の他、『GQ JAPAN』『すばる』『キネマ旬報』など、さまざまなジャンルの媒体で活躍。セレブリティへのインタビュー取材も多く、その数は年間200人以上とか。カンヌ映画祭には毎年出席し、独自の視点でレポートを発信している。

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