モテる男ホン・サンスの愛についての考察。その2

Culture 2018.06.16

“信じる心が、人に健康と幸福をもたらす。
そして満たされた心によって、人は謙虚になる”

世界3大映画祭に毎度のごとく招かれ、呼吸するかのように精力的に映画を撮り続ける韓国の映画監督ホン・サンス。どうにも、モテる男だ。男と女の関係を描き、人生を眺め、映し撮る彼の言葉から読みとる、愛とは……何?

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©2017 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED.

『 それから』のヒロインの「信じる心が人を健康で幸せにしてくれる」という台詞は、現在のホン・サンスの境地そのもの。フランスの「レザンロキュティーブル」誌の記者に、恋愛騒動の影響を率直に問われた彼はこう答えている。「僕にとって重要なのは、他人の言葉ではなく、僕自身が感じること。今回の経験を経て、信念を持つことを学び、率直で正直に生きることが大切だと気付かされたのが僕の中の大きな変化だ。以前の僕の心は真の意味で自由じゃなかった。でも心が満たされた瞬間に、人は謙虚になる。正しいか、正しくないかを考えることを止め、人生そのものを受け止められるようになった」

『それから』

出版社の社長のもとへ新入社員(キム・ミニ)がやって来る。昼食後、会社に乗り込んできた社長の妻がふたりの関係を疑い、彼女をビンタ! お詫びとして、この社長が彼女を夕飯に誘うと、今度は昔の愛人が舞い戻って……!? タイトルは夏目漱石小説から。

●監督・脚本/ホン・サンス
●出演/クォン・ヘヒョ、キム・ミニ、キム・セビョク、チョ・ユニ
●2017年、韓国映画
●91分
●配給/クレストインターナショナル
●ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開中
©2017 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED.



Sang-soo HONG

1961年、ソウル生まれ。大学で映画を学んだ後、アメリカ留学で美術を専攻しながら実験映画を制作。96年、『豚が井戸に落ちた日』で長編デビュー。ほかに『女は男の未来だ』(2004年)、『アバンチュールはパリで』(08年)、『自由が丘で』(14年)など。カンヌをはじめ、世界3大映画祭の常連として高い人気を誇る。

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interview et texte : REIKO KUBO

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