フィガロが選ぶ、今月の5冊 言葉の呪いを、言葉が解き放つ。西加奈子の新作短編集。

Culture 2018.06.21

言葉に傷つき救われる、呪縛を解き放つ短編集。

『おまじない』

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西加奈子著 筑摩書房刊 ¥1,404

心の奥に抜けないトゲのように刺さっている言葉がある。8つの短編には不用意な言葉に傷ついた女の子たちがいる。あの時お母さんに言われたひと言が悲しかった。いい子のふりをしている嘘つきな自分が嫌いだった。大人になったいまも、本当はその続きを生きている。西加奈子という作家は、言葉でかけられた呪いを言葉で解き放っていく。人は何げない言葉に傷つき、何げない言葉に救われる。自分のために用意された言葉じゃなくてもきっと大丈夫と思える、タイトルどおり“おまじない”のような言葉がある。もう一度、前を向く力をくれる短編集。

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*「フィガロジャポン」2018年6月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

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