モテる男ホン・サンスの愛についての考察。その7

Culture 2018.07.12

“「愛している」という言葉は、人生を説明する過程で生じる表現にすぎない”

世界3大映画祭に毎度のごとく招かれ、呼吸するかのように精力的に映画を撮り続ける韓国の映画監督ホン・サンス。どうにも、モテる男だ。男と女の関係を描き、人生を眺め、映し撮る彼の言葉から読みとる、愛とは……何?

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もしも、あの時こう言っていたら……? 人々の言葉選びやタイミングによって微妙に異なりずれていくシチュエーションを、ふたつのパターンで見せる非常にユニークな構成の『正しい日 間違えた日』。

登場人物が「愛している」と言うことで、映画に波風が立つ。ところがホン・サンスは、この「愛している」という告白に過剰に反応する必要はないと言う。「人生において、人それぞれの表現方法があり、ある人が“愛している”という表現を選んだとしても、それはその人が人生を具体的に説明する過程で生まれた表現にすぎないのだから」

『正しい日 間違えた日』

映画監督(チョン・ジェヨン)と観光名所で出会った女性(キム・ミニ)。同じ男女が同じ場所で語らい、些細なタイミングの違いが恋の行方を左右する模様を、ふたつの展開を並べて描くユニークな作品。ロカルノ国際映画祭金豹賞&主演男優賞を受賞。

●監督・脚本/ホン・サンス
●出演/チョン・ジェヨン、キム・ミニ、コ・アソン、チェ・ファジョン、ソ・ヨンファ、ユン・ヨジョン
●2015年、韓国映画
●121分
●配給/クレストインターナショナル
●ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開中
©2015 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED.



Sang-soo HONG

1961年、ソウル生まれ。大学で映画を学んだ後、アメリカ留学で美術を専攻しながら実験映画を制作。96年、『豚が井戸に落ちた日』で長編デビュー。ほかに『女は男の未来だ』(2004年)、『アバンチュールはパリで』(08年)、『自由が丘で』(14年)など。カンヌをはじめ、世界3大映画祭の常連として高い人気を誇る。

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interview et texte : REIKO KUBO

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