モテる男ホン・サンスの愛についての考察。その9

Culture 2018.07.14

“官能的なものは危ういが、美しい。その美しさを守るために、たゆまぬ努力が不可欠”

世界3大映画祭に毎度のごとく招かれ、呼吸するかのように精力的に映画を撮り続ける韓国の映画監督ホン・サンス。どうにも、モテる男だ。男と女の関係を描き、人生を眺め、映し撮る彼の言葉から読みとる、愛とは……何?

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©2017 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED.

夭折したフランス人監督ジャン・ヴィゴの『アタラント号』(1934年)は、ホン・サンスが涙した愛の映画のマスターピース。ル・アーヴルと田舎町を結ぶ艀船アタラント号に乗り込んだヒロインが、新婚のときめきに胸熱くするのもつかの間、パリの華やぎに心奪われ……。「シーンごとに愛があふれ出し、その美しさを見つめていると涙がこぼれてくる。官能的なものがいかに危ういか。危ういけれど美しい。その美しいものを守るために、たゆまぬ努力が必要なんだ」

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『クレアのカメラ』

カンヌ国際映画祭の裏通り。突然、映画会社を解雇された女性(キム・ミニ)が、パリから来た音楽教師と出会い……。『3人のアンヌ』でも組んだイザベル・ユペールが監督との相性のよさを発揮しながら、鬼才の映画作りのエッセンスを伝える。

●監督・脚本/ホン・サンス
●出演/キム・ミニ、イザベル・ユペール、チャン・ミヒ、チョン・ジニョン、ユン・ヒソン
●2017年、韓国映画
●69分
●配給/クレストインターナショナル
●ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開中
©2017 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED.



Sang-soo HONG

1961年、ソウル生まれ。大学で映画を学んだ後、アメリカ留学で美術を専攻しながら実験映画を制作。96年、『豚が井戸に落ちた日』で長編デビュー。ほかに『女は男の未来だ』(2004年)、『アバンチュールはパリで』(08年)、『自由が丘で』(14年)など。カンヌをはじめ、世界3大映画祭の常連として高い人気を誇る。

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interview et texte : REIKO KUBO

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