カンヌで絶賛! 是枝監督が問いかける家族のカタチ。
Culture 2018.07.20
憎めない犯罪家族の六重奏、そのユーモアと痛切さの融合。
『万引き家族』
親の死を隠して年金を受給し続けた家族――三面記事を飾った詐欺事件を着想の源として是枝監督が描くのは、血縁から弾き出された大人や子どもの疑似家族、彼らが居を構えて生きるための、血よりも濃い連携ぶりだ。死すべき親の役どころ、樹木希林の老婆までが笑えるほど欲深く、それでいて、欲得を超えた情愛が慎ましく波紋を広げる。打ち上げ花火を皆で軒下から見上げるその廃屋空間が、寄せ集めの3世代の関係性を多声音楽のように共鳴させる。2度と繰り返しえない瞬間が、奇跡のように持続する。カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞。
【関連記事】
いまを生きる子どもたちの命が輝くドキュメンタリー。
映画『レディ・バード』は監督が故郷に捧げるラブレター。
*「フィガロジャポン」2018年8月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO